あらすじ
森川晶は、営業部の若きエリート社員。仕事を他人に任せず、何でも一人で抱え込み、残業と休日出勤をしながら、いつもパニック状態。ある日、彼を高く評価している猛烈部長が会社で殺される。死に至る断末魔の表情がコピーされ、社内にばらまかれていた。この全社騒然の異常犯罪で、森川が疑われるが……。会社人間たちの心理をリアルに描きながら、最後に号泣のどんでん返し! 感動のミステリー。
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Posted by ブクログ
ほとんど私の今の願望がそのまんまタイトルになっているなと思えるエバーグリーンな名作サラリーマン小説です。吉村達也さんは初読みなのですが、現代に生きる社会人が永遠に抱え続ける深いテーマの大人の寓話だなと思えましたね。ミステリ自体は飾りと言って良い水準作ですが、作中作「プロメテウスの休日」は行き止まりの袋小路から脱出する素晴らしい発想でしたね。会社人間の性が引き起こした夫婦の諍いの残念無念な結末には悲哀の涙を誘われましたが著者はきっと同様の悩みを抱える夫婦を救おうという願いを込めて本書を書かれたのでしょうね。
Posted by ブクログ
赤川次郎的なユーモアミステリ。トリックらしいトリックも特にない。謎は犯人の動機ということになるのでホワイダニットになるだろう。
会社組織の小さな世界での小競り合いや競争に一喜一憂する姿に、サラリーマンなら思う所があるだろう。
社内で死体となって発見された部長。殺した犯人の正体と動機も「あるある」と思ってしまった。
事件の規模が小さいので二つのネタを合わせて一本にした印象。
この作家の描く「些細な動機で踏み外す」感じにサラリーマンのリアリティーを感じるので、他の作品も読んでみたいと思う。
Posted by ブクログ
帯に有栖川有栖の言葉が載ってたので衝動買い。
ミステリーというより、サラリーマンの悲しさが詰まってた。
こういう過去があって、今の働き方改革なんだろうけど、今もモーレツ社員は一定数いて、会社にいいように使われてる。
会社がなくなったとき、家族を大事にしていないとツケがくるよね。
妻の悦子の、自分のために頑張ってるんでしょっていう台詞が刺さる。
これを忘れないように生きていこう。