【感想・ネタバレ】イオンを創った女――評伝 小嶋千鶴子のレビュー

あらすじ

【内容紹介】
「弟を日本一にする――」
そういって、巨大流通グループ「イオン株式会社」の創業者・岡田卓也を人として、経営者として育て上げた、小嶋千鶴子。
ほとんど外に出てこないため、その存在はあまり知られてはいないが、その類まれなる実力と功績をたたえ、人々は彼女を「人事のレジェンド」とさえ呼ぶ。
企業やリーダーたちによる不祥事が取りざたされることが多い昨今、あらためて企業とは何か、リーダーとは何か、人が働くということはどういうことかを考え直すきっかけと本書はなるだろう。
また、これからビジネスを拡大したいと思っている人にも、ぜひ読んでいただきたい。

【著者紹介】
三重県生まれ。岡田屋(現イオン株式会社)にて人事教育を中心に総務・営業・店舗開発・新規事業・経営監査などを経て、創業者小嶋千鶴子氏の私設美術館の設立にかかわる。美術館の運営責任者として数々の企画展をプロデュース、後に公益財団法人岡田文化財団の事務局長を務める。その後独立して現在、株式会社東和コンサルティングの代表取締役、公益法人・一般企業のマネジメントと人と組織を中心にコンサル活動をしている。特に永年創業経営者に師事した経験から得た、企業経営の真髄をベースにした、経営と現場がわかるディープ・ゼネラリストをめざし活動を続けている。
モットーは「日計足らず、年計余りあり」。
著書に『イオン人本主義の成長経営哲学』ソニー・マガジンズ、『商業基礎講座』(全5巻)(非売品、中小企業庁所管の株式会社全国商店街支援センターからの依頼で執筆した商店経営者のためのテキスト)がある。

【目次抜粋】
はじめに
第1章 小嶋千鶴子を形成したもの――その生い立ちと試練
第2章 善く生きるということ――小嶋千鶴子の人生哲学
第3章 トップと幹部に求め続けたもの――小嶋千鶴子の経営哲学
第4章 人が組織をつくる――小嶋千鶴子の人事哲学
第5章 自立・自律して生きるための処方箋
終章 いま、なぜ「小嶋千鶴子」なのか?

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Posted by ブクログ

ネタバレ

イオンの経営者、裏の立役者とされる小島千鶴子氏に関する本。
第二章の人生哲学が良かった

メモ
•イオンは三重県四日市市が出自
•岡田卓也氏の9つ上のお姉さん
•書物からドイツのインフレを学び、戦後の現金を商品化 
•合併 人事制度、社内用語の共通化
•地域性
•幸福や自分の成功の姿をはっきり描き、より具体的に実行に移すこと
•善く生きるとは与えられた環境や境遇に甘えることなく、すねることもなく、与えられたものを上手に活用する以外ない。
•信頼の基礎は責任感
•社会的信頼の構築
•人真似より先進性を尊ぶ
 経済性より優位性を考える
 コンセンサスよりもインパクトを考える
•短期より長期適合性
•どんな人でもその人に合ったやり方さえ考えれば、人はどういうふうにでも社会の役に立つことができる

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2025年11月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日本最大の流通グループになったイオン。イオンの創始者岡田卓也氏の姉千鶴子氏は、両親・姉の死去で、23歳でイオンの前身・岡田屋呉服店(創業1758年)の社長となった(1939年)。婚約者もいたが結婚を延期しての就任、一人身で、戦中・戦後の混乱期を乗り切った。その後、1954年、10歳年下の弟、まだ早稲田大学在学中の岡田卓也を社長にし、結婚(23歳で婚約していた画家と)を期に完全にしりぞき、住居も四日市から大阪住吉に移し「本屋」を開店。
 1959年、請われて、ジャスコを率いる岡田を支えるブレーンととして復帰。当時の流通業としては先駆的に大卒社員の定期採用、女子社員の戦力化、パートタイマーの積極的雇用、高卒社員を対象に小売業初の企業内大学を発足。連邦制経営めざし、企業の合併・統合をとおしての企業理念・行動規範を作成、制度・規定を整備。ジャスコ厚生年金基金を設立、ジャスコ大学の設立、商品試験室・経営監査室設置、東証・大証・名証への上場まで実現。今から約50年も前、「経営人事」「戦略人事」を掲げ、管理部門、特に人事・組織経営の専門家として、「人事のレジェンド」、「影の実力者」と称された。
 「上げに儲けるな、下げに儲けよ(浮利を追わず堅実に)」「見えざる資産(知識、技術、人脈)の蓄積をせよ」「店舗は人材育成の錬成の場」「個人の意思をベースにした仕事(主体的)には感激がある」「仕事が人を創る」「(大切なのは)情報の共有、目的の共有、結果の共有」「不満の本質を見極めよ」等、いくつか名言を残している。
 「私が全国行脚し、志を同じくする小売業の経営者たちの提携交渉に注力できたのも、千鶴子がジャスコの内部固めを一手に引き受けてくれたおかげ。時には悪者となり、社員に厳しかった。『あんた会社を潰す気か』と雷を落とされた幹部は多い。ジャスコの精神的な支柱だった」(岡田卓也「小売業の繁栄は平和の象徴」)。
 60歳で自ら定めた規定にそって取締役を退任し常勤監査役に、65歳で監査役も退任。
 ライフコーポレーションの清水信次会長や、セブンイレブンの鈴木敏文前会長、渥美俊一氏や商業界の倉本長治氏からも一目も二目を置かれていたという小嶋千鶴子氏。本書は、小嶋氏のもとで働いていた著者が、イオンの社員だけが読めるという「あしあと」(小嶋氏が81歳の時発刊)も抜粋、エピソードを交え、経営哲学・人事哲学を紹介。小嶋千鶴子は1916年生まれ、今年103歳になるが、四日市に住み、今でも「エコノミスト」を購読されており健在とのこと。
 「経営とは人事のこと。これまで読んだ中で最高の人事本。この本全社員に配りたいくらい」(ファーストリテイリング・柳井正会長)。柳井氏は、大学卒業し、ジャスコに就職したが、その時の面接官は小嶋氏だったとのこと。

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2020年03月30日

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