【感想・ネタバレ】アドラーに学ぶ よく生きるために働くということのレビュー

あらすじ

アドラー心理学・第一人者の最新刊
あなたの「価値」は、あなたが決める!

本書では、「働くということ」を、狭い意味ではなく、歳を重ねたり、
病気になったりして働けなくなった時のことまで視野に入れて、考察しています。
そこまで視野を広げて考えた時、働くことは生きるということと同義であり、
生きることが幸福を目標にしているのであれば、働いていて不幸だと感じるのであれば、
それがたとえ巨万の富をもたらすものであっても見直さなければならないのです。
アドラー心理学の見地から、なぜ働くか?という問いを見つめ直し、「働くこと」そのものの意味を考え、
最終的には幸せになるためにはどんな働き方をすればいいかについて言及します。

*自分に価値があると思えない仕事に意味はない
*経済的優位は人間関係の上下には関係しない
*自分の価値は仕事以外でも見出せる
*成功は人生の目標ではない
*明日は今日の延長ではない
*自分に価値があると思える勇気を持とう etc.

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

 岸見一郎先生は、単にアドラーが残した言葉を伝えるだけではなく、哲学者としての視点からの解釈を加えることによって、アドラー心理学を現代に蘇らせる仕事をなさっているような気がします。
 2014/12/24『嫌われる勇気'13/12/16』、2015/01/24『アドラー心理学入門 (ベスト新書)2014/6/27』、2016/11/20『アドラー心理学実践入門 (ワニ文庫)2014/6/27』、2016/11/22『人生を変える勇気 (中公新書ラクレ)2016/10/14』、2017/01/21『幸せになる勇気2016/2/26』、2017/02/19/『アドラーに学ぶ よく生きるために働くということ (ベスト新書)2016/7/9』と刊行順とは違うが、岸見一郎先生の本を読んできた。

 本書は、序盤、同じ文章が何度も繰り返されるので若干読みにくいが、アドラー以外の先人による言葉も引用され、最後の第四章では、心理学というよりも哲学、哲学というよりも宗教?と思えるような昇華を見せる。どれか一冊を選ぶということであれば『実践入門』を薦めるが、脳に擦り込みたい方には、本書も決して無駄にならない。

0
2017年04月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

現在、働かないと人は経済的に暮らしていけないため、働くか働かないかという選択肢は事実上ない。したがって、なぜ働くのかということを考える意味はあろう。
アドラーは、「誰かが靴を作るとき、自分を他者にとって有益なものにしている。公共に役立っているという感覚を得ることができ、そう感じられるときにだけ、劣等感を緩和できる」と述べている。すなわち、人は働くことで他者に貢献すれば貢献感を持つことができ、そのことで自分に価値があると思えるため、働くことは自分のためでもある。その意味で、自分から働くことに意味はあり、働くことは生きることと密接な関係にあると言えよう。
自分が仕事をすることで共同体(職場)に役立っていると感じることは、自分に価値があると思うことになる。上司は部下に〇〇すべき、〇〇すべきでないという様々な主張がなされているが、そのことを踏まえれば、上司は部下が貢献感を持てるように援助することが大切なのである。この貢献感は、誰かから与えられるものではないので、部下に貢献感を持たせようとするのではなく、あくまで自発的に持てるように援助すべきである。
一般に、仕事が楽しくないと考えられるのは、第一に、自分が取り組んでいる仕事の遂行に必要な知識・技術が十分に身についていないとき、第二に、その仕事に貢献感を持てないときである。自分には不向きと思うような仕事でも、その仕事を極めることで、自分の力に自信を持てるようになったり、貢献感を持つことができるようになったりする。一見、自分に向いていないような仕事であっても、全力を尽くすことで、自分に価値を生み出すことがある。したがって、まずは、目の前の仕事に前向きに全力で取り組むことが大切なのである。

全体を通して著者は、働くことを通じて、貢献感を持つことの大切さを説いている。貢献感を持つことができれば、自分に価値があると思うことができ、価値があると思うことができれば、対人関係の中に入っていく勇気が持てるし、その分プライベートも豊かになるという流れである。
確かに社会人として働いてみて、自分がその組織に役立っているという満足感が働くインセンティブになっているときもあるが、著者はその貢献感を絶対視しすぎているようにも感じられた(その意味で本書の内容は、理想論のようにも思われた)。
また、儲かる仕事か好きな仕事かどちらかを選ぶという問いに、著者は当然、好きな仕事を選ぶべきであると主張している。しかし、仕事は、自分に合っているか合っていないかで決めるべきであり、その仕事の好き嫌いを気にしすぎない方が良かろう。好き嫌いだけではなく、自分の性格、能力、得意不得意に適合した仕事を選ぶべきではなかろうか。

0
2018年01月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

岸見一郎氏によるアドラー心理学を「働く」ということにフォーカスした著書。著者のアドラー心理学の本を読まずにこの本だけを読む分には有益かもしれないが、既にいくつか読んだ人からすると繰り返しの内容に聞こえてる部分も多々ある。
根底には当然ながらアドラー心理学の思想があるため、著者によるアドラー心理学の著書と同じような内容が多数散見される。さらには、著者の実体験や著者の哲学者の側面も多分に要素として含まれており、特に後半部分にはその側面が多用されている。
・仕事も、そこで仕事をする職場も、それに合わせて自分が受動的に入っていく場所ではありません。自分ちまた仕事のあり方や職場の環境を変えていくことができますし、そうする責任があるわけです。会社という組織に自分を合わせなければならないわけではないのです。
・評価とは評価される側だけでなく、評価する側の教師、あるいは上司の指導方法について、それが通切なものかを知るためです。試験をしてみて点数が低い時、無邪気に学生や部下の無能を責める教師がいますが、そのような教師や上司は自分の指導が問題であることに目を向けたくはないのです。
・仕事が楽しくない時に考えられるのは、一つにはまだ自分が取り組んでいる仕事のことがわかっておらず、仕事の遂行に必要な知識、技術ともに十分身についていないということです。初めから楽しくて仕方ないというような仕事はないと考えた方がいいでしよう。次に考えられることは、仕事にどれほど習熟したとしても、その仕事によって何らかの仕方で貢献感を持てなければ楽しいとは思えないということです。仕事は自分を犠牲として誰かに尽くすことではありません。
・やる気が出ないというのは、多くの場合、本当ではありません。実際には目下取り組んでいる仕事がら逃げたい、少なくとも積極的に取り組みたいとは思わない人が、やる気が出ないことを仕事をしないことの理由にしているのです。仕事をしたくない人には、いつまで待ってもやる気は起こりません。
・まず、自分が何のために仕事をしているのかという本書で考えてきたことをしっかり理解しなければなりません。自分がしている仕事が何かの形で他者に貢献していると感じられなければ、仕事を続けることは難しくなります。次に、待っていてもやる気が出ないのですから、やる気が出ようと出まいと、例えばパソコンの前にすわってみることは必要です。
・行き詰まったのであれば、そこで決断し直せばいいだけです。困難、あるいは不可能だと思つた時、目標の達成に固執したり、反対に、一つの方向で道を遮られても、目標そのものを放棄したりしなくてらいいのです。目標を変えず、それに固執することは、人生の無駄遣いになってしまいます。
・今を楽しめる仕事というのは、楽な仕事であるということではありません。ちょうど自分について自分に価値があると思い、そんな自分を好きだと思えるためには、自分が誰かに何らかの形で役立つている、貢献していると思える。自分の仕事が誰かの役に立つていると思える時、自分のことを好きになれるのであり、そんな仕事であれば楽しむことができるのです。
・先に、自分に価値があると思えたら、対人関係の中に入っていく勇気を持てると書きましたが、自分に価値があると思えることがすでに勇気のいることです。仕事の場面で「競争社会で多言てきた人じとっくは、結果を出せないことば恐怖以外の何物でもあません。とたえ、競争に勝っていると思っている人であっても、いつ負けることになるかもしれないと思っていると安閑としていられません。
・仕事も、生きることも決して競争ではないということを知ることが最初に必要です。さらに、競争するのでなくても、人と関わることで何らかの摩擦が生じ、そのため傷つくことを恐れ、対人関係の中に入っていこうとしない人には次のことを知ってほしいと思います。他者は隙があればあなたを陥れようとする強い人ではないということです。

0
2017年03月20日

「雑学・エンタメ」ランキング