あらすじ
「いま僕たちはどんな時代を生きているのか」「この不透明な時代に何を捨て、何を守るべきなのか」
社会学者・宮台真司が、旬のニュースや事件にフォーカスし、この社会の“問題の本質”を解き明かす。
「明日は我が身の時代」に社会という荒野を生き抜く智恵を指南する書。
過激発言で人気の宮台真司ラジオ時事批評(TBSラジオ『荒川強啓 デイ・キャッチ!』金曜コメンテーター)を200%ボリュームアップして一冊に!!
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
本書における著者宮台さんの言論については必ずしも意見が一致するわけではありません。
ただ、2015年発刊で少し時代背景もコロナ前ということを差し引いても、自分にない視点や社会学の見識は参考になりました。
オウムー奪われた「共同体にとっての価値」の代替的回復
オウム真理教の事件が起こったとき、前代未聞の国家転覆計画に驚いた記憶と、一般的にエリートとされる人々が多く加わっていたことに驚きました。
著者は、そこに見られたのは「目標に到達できなかった」という挫折感ではなく、専ら「目標に到達したのに自分は輝いていない」という〈こんなはずじゃなかった感〉だと言います。
社会思想家アクセル・ホネットの「愛による(個体性の)承認」「法による(権利の)承認」「連帯による(共同体にとっての価値)承認」の枠組みを用いて動機の背景を分析しています。
「連帯による(共同体にとっての価値)承認」の認識不足が〈代替的な地位達成〉に向かう動機づけを与える、ということです。
エリーㇳ教育を受けて社会の中で〈共同体にとっての価値〉を承認して貰えると思ったのに全てダメで、世俗の「外」の宗教に〈代替的な承認チャンス〉を探すようになったのです。
心理学と社会学はどこが違うか