あらすじ
私は、よく娼婦の顔をしていると言われる。
今までに、ホステスを含めた何種類かの職業を経験したという話をすると、「もしかしてあれも?」と売春をほのめかした聞き方をよくされるのだ。十六歳で家出して、野宿から始めた生活ではあったが、ぜったいに売春だけはしなかったのに。
ところが、私は思い出した。十五歳のとき、私は娼婦だったのだ。売春宿のおかみは私の実母で、ただ一人の客は私の育ての父だった……。
養父との関係に苦しむ多感で早熟な少女の怒りと哀しみと性を淡々と綴り、読む者の心を揺さぶった自伝的小説。
衝撃の出版から25年、著者が凄絶な過去を公表し、生身をさらして生きることで、性的虐待の後遺症に苦しむ女性たちに「me,too」と精神科医を受診する勇気を与えたという。
解説は、当時「被害当事者側から書かれた貴重な作品」と評価した精神科医の斎藤学氏。
25年後のあとがきがついた、完全版で登場!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
とても文章が巧くハードな内容なのにスルスルと読めてしまう。これだけの壮絶な体験をしながらよく生き抜いてこられたと思う。表に出にくい性虐待の真相を白日のもとにさらしたという点でも大変価値のある作品だと思う。
Posted by ブクログ
暗くて重い内容なのに、内田春菊さんの凛としてあてどこか冷静な書きぶりがかっこいいと思う。性的虐待とDVの凄惨な実態が書かれているがラストシーンが特に最高。お金を握り締めて家を出ていく少女の姿を頭に思い浮かべて、自由になった爽快感が駆け巡りました。母にこういう風に当てつけを言われたというクドイ描写もありますが、親にちゃんと愛されたかったと言う気持ちはあって当然と思うので、仕方がないと思った。傑作
Posted by ブクログ
恥ずかしながら、この大御所の本を一切読んだことがなかったのです。特に悪い印象があったわけではないのだけど、なんとなく「私は岡崎京子さん派だから・・・」という気持ちはあったかもしれない。
そんな私が、某トークイベントに行くことになって、そこに内田春菊さんが特別ゲストと登壇されたんです。金髪で、チャーミングという言葉がぴったりな女性でした。そして、肩に力が入っていない様子でお話しされるのだけど、言葉は一つ一つ選ばれぬかれたもので、全身からクリエイター・オーラに溢れていました。
会場で少し割引価格で販売されていたこの文庫本を買いました。このデザインいいですよねー。
内容に関しては、ただ読んだだけの私まで傷ついてしまったような感じがあるので、ちょっとまだ感想を言える状態ではありません。
でも、内田春菊さんが、その後4人もお子さんをもたれたことは幸せだったのだろうと思います。
内田春菊さんの本を他にも読むことにします。
Posted by ブクログ
内田春菊の壮絶な話を読んだ後に、「そうか、わたしの悩みなんて、あんまり大したことではないのか。書くほどではないし、伝える価値がない」なんてこと、考えないでほしい。
心の傷に大小はなく、それはどこかでしっかり吐きだした方がいい。
本作の両親は糞だが、恋人のヒロキもかなり変だ。彼女を妊娠させて一悶着があった後、勉強し始めて、彼女にただしい漢字を聞くシーン。
描き方がうまいんだけど、怖いな、って思う。
Posted by ブクログ
内容が、ハードなのに、サラッと書き上げている印象。
それじゃないと、とても、最後まで、読めないかも。
それくらい、壮絶な人生…。
自叙伝。
続編が、あるらしく、是非読みたいと思っています。