あらすじ
ソフトウェア設計の定石集である「デザインパターン」は,今や開発者の必須知識となっています。Wikipediaに代表される「Wiki」は,多くの人々に使われるソフトウェアに成長しました。「XP(エクストリームプログラミング)」は,現在主流となりつつあるアジャイルな開発方法論です。
デザインパターン,Wiki,XP。
一見,何の関係もなさそうに思えるこの3つは,実は同じ起源から発生した兄弟です。
しかもその起源は,ソフトウェア開発とは何の関係もない異分野の人である,建築家クリストファー・アレグザンダーの思想にあります。
本書では,アレグザンダー(パターンランゲージの発明者),ウォード・カニンガム(Wikiの発明者),ケント・ベック(XPの提唱者)らが織りなす約半世紀の歴史物語をたどりながら,優れた創造を行うための共通原則に迫ります。
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Posted by ブクログ
アレグザンダーの「6つの原理」がデザインパターン、XP、Wikiへどのように影響しているのかが非常に分かりやすく解説されている。分厚い「パターンランゲージ」はなかなか読む気が起きないので、こうしてその内容を端的にまとめ、その波及の仕方まで描かれている本は非常にありがたい。
Posted by ブクログ
パタンランゲージのことを勉強したくてこの本を読んだ。
第一部は、ソフトウェアに全く関係なく、アレグザンダーの建築のことが述べられている。
パタンランゲージに興味なかったら頭に入っていなかっただろうと思うと、今のタイミングで読んでよかった。
パタンランゲージの片鱗だけでも理解できただろうか。もっと奥深そうだなぁ。
-引用-
アレグザンダーの思想の中心にあった価値観は、無名の質を備えた建築を作り上げることでした。無名の質とは、古い年の調和した街並が備えている生き生きとした建物や町が持つ特性です。
ベックは無名の質を備えたソフトウェアを目標とし、カニンガムは無名の質を備えたWebサイトを目標としたのだと言えるのではないでしょうか。
パターンと同じように、ここの意味や社会的背景、組み合わせ規則といった性質を持つものがほかにもあります。それは「単語」です。人は単語を組み合わせて文を作ります。このような活動と概念の集合を言語と呼びます。...そのために、1つの建築活動に必要なパターンの集まりを「パターンランゲージ」と名付けたのです。
6つの原理
1. 有機的秩序の原理
2. 参加の原理
3. 漸進的成長の原理
4. パターンの原理
5. 診断の原理
6. 調整の原理
Posted by ブクログ
タイトルに上げられた3つの一見すると関係なさそうな項目の起源や関連を見ていくという野心的な本。自身としては「一見すると関係なさそう」と最初に思ってしまったので、無理な理論展開などがあるんだろうなと思い込んでしまい、しばらくの間「積読」状態でしたが、一旦読み始めるとかなり引き込まれました。
というのもそれは、クリストファー・アレクザンダーの建築における多大な実績によるところが大きいと思う。彼が解決しようとしていた問題のスケールの大きさや、問題解決に対するアプローチの仕方が非常に興味深く、ソフトウェア業界がそのような功績に注目したのも頷ける。
ソフトウェアにおけるパターンムーブメントについても、GoFといった人たちのことは知ってはいたが、実際にどのような形で進んでいったかという歴史・背景を知る上で非常に参考になった。比較的同時発生的に、幾人かの人たちがこのような問題に着目して、OOPSLAなどで洗練されていったというも興味深い。
またKent BeckによるXP(eXtreme Programming)のプラクティスがプロセスパターンなども含めたパターンの成果から生まれてきたというのは、これまで全く想像していなかったことなので、それについても興味深かった。
あとはWikiに関する章については、単純に読み物として面白かった。
Posted by ブクログ
良い本だと思う。
技術書ではなく、読み物。
情報共有のためのWiki
開発プロセスのXP
別々のものだけど、起源を辿ると建築家アレクザンダーのパターンランゲージに行き着く。
これを読んでおくと、XPを学習した時に思想や起源が分かるので入りやすいのかも。
(XPの学習はしてないから、なんともいえないけど)
読んでて、
Wikiで設計書を書いたら面白いんじゃないかなんて事も考えた。
(設計書書くためのWikiエンジン作ってしまうとかね)
Posted by ブクログ
XP目当てで読んだけど、理論的な新情報はなかった。
タイトルの通り、成り立ちとか、前身になってる考え方を物語風に紹介している。
XPとかをやるときに、よく自分達で変えていくんだ的なことを言われるけど、それって結局どうやってくの??って辺りの参考にはなるかも。
というか、ベックさん達はパターンとか考えながら自分のベストプラクティスまとめたんだなーというお話。
Posted by ブクログ
webの登場により複数の作業者による並行編集が目に見えるカタチになったけど、世の中に本しかない時代にもアイデアはあったのだ、という話。wikiとアジャイル開発を結びつけて考えたことがなかったが、源泉は同じなのだな。思考はハードウェアに導かれるのであり、その逆ではない、とかも思った。
Posted by ブクログ
アジャイル開発の手法の一つ、XPについてその思想の源流をたどっていく。
元々は建築家の都市を、利用者と一緒に漸進的に作り上げていく、という考え方にその原点とも言えるものがある。
自然な都市には言葉に出来ない何かしかの価値がある。
それは全てを計画してから作ったからではなく、中の生活者達が作り上げていくなかで生まれたもの、との考え方だ。
その例としてwikiを上げる。
wikiとは利用者がページを作り上げていくことが出来る仕組みだ。
この中にも上記の都市と同様に、漸進的に利用者によって作り上げられている、という特徴がある。
それによって、全てを設計して作ったページとは異なるところに価値がある。
アジャイル開発も同様だ。
顧客を開発に巻き込み、一緒に価値のあるものを生み出していく。
システムとは、構築を任された者だけが作るのではなく、利用者も一緒に作り上げて行くものだと感じることが出来る。
Posted by ブクログ
『個人的な生活に置いて、平均的な生活に従うことを強制されていると個性を保てない』
家族で生活しているときの居間は、
父にとってはテレビを見る場所・
母にとっては本を読む場所・
子どもにとってはゲームをする場所と様々な解釈があり、
その機能はオーバーラップして存在している。
そんな場所で「テレビを見ること」しか許されていなければ、多様な価値観は形成できない。
『良い都市とは、その人が個性的に生きることが許されているものである』
そういう構造を創るための方法論とは?
個人的にはそのまま「理想の構造」についての考察が続けば嬉しかったが、歴史的な流れに力点を置いて話が進んでいった。
そういうのを期待している場合、後半に関してはおススメできない。
Posted by ブクログ
建築の世界からソフトウェア開発への至る歴史や思想がわかる。また、パターン・ランゲージについても触れている。
書名にもあるデザインパターンやXP、Wikiについて生まれた背景や思想、パターンの適用などが記述が少ないながらも纏まっている。
Posted by ブクログ
江渡さんの本。読んだことなかったので読んでみた。
Wikiのルーツについて、源泉にさかのぼってものすごく詳細にかかれていた。
パターン・ランゲージも読みたい。
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人工都市がツリー構造になってしまう理由は、人間の認識能力に限界があるから
『XPエクストリーム・プログラミング入門』
40時間ルール:週40時間以上働かない。これを2週続けて超過しない
Wiki Wiki Web の Wiki とは「すばやい」「quick」のハワイ語
Posted by ブクログ
パターンランゲージという建築の思想が,プログラミングやWikiにおいて形を変えて実現されているという,非常にエキサイティングな本でした.
プログラミングもWikiも,作っていくうちに,計画通りいかないこと・事前に予測できないことが必ず発生するので,その都度徐々に改良していくことが必要になるから適用できたのかと思います.
その点では研究も同じなので,研究の進め方に活かせるアイデアがいくつもあるなという読み方もできました.
Posted by ブクログ
デザインパターン、Wiki、XPの起源について。これを知ったから新たな何かを出来るようになるような書籍ではないですが、今やシステム開発での利用が常識となりつつあるこれらのものがどのように生まれたか知ることは自分の思考のヒントになるのではないでしょうか。
Posted by ブクログ
2年近く積読したものの、読み始めたら 1日で読み終わった。
XP やデザイン・パターンの源流が建築家アレグザンダーのパターン・ランゲージに影響を受けているという話は有名だし、僕も知識として知ってはいたのだが、実際にここまで似通ったものだとは、この本を読むまで知らなかった。適用分野こそ異なるものの、XP の原則はアレグザンダーが提唱した(たとえばオレゴン大学の実験で示した)原則のアナロジーどころか、一言一句同じと言ってもいいくらいだ。
常々、ソフトウェア業界が抱える問題の一つは「建築のアナロジー」であって、あたかも高層ビルを建てるかのようにプログラムを開発しようとする姿勢だと思っていた。しかし、建築業界にもソフトウェア業界が抱えているのと同じ問題があったらしい。それを解決しようとしたアレグザンダーが建築業界では異端とされ、ソフトウェア業界では主流になりつつあるという現象は面白い。