あらすじ
この世とあの世の狭間にある、亡くなった人の魂がのぼる「黄泉坂」。
でも未練を残して死んでしまうと、人はその執着が重くて坂をのぼれない。
現世で死亡し、ある事件を経て魂がクラシックカー「デューセンバーグ」と一体化、黄泉坂を行き来するタクシーとなった速人(はやと)の仕事は、迷える魂たちの未練を解消して坂の上へと導いてやること。
相棒である少女・彩葉(いろは)とともに、様々な背景をもつ魂と日々接していく。
親の認知症に悩むサラリーマンの決意、オンラインゲームのメンバーに隠された友情、「交通安全おじさん」だった老人が身を挺して救おうとした少女、子を亡くした親と死者を「忘れる」ということ……。
いつだって、人は誰かを思いながら、この世からあの世に渡っていく。
そして、車の姿になって久しい速人も、現世に妻と娘を残してきている。
しかし、自分が何者だったのか、また、妻や娘の存在を咄嗟に思い出せないことが増えてきていて……。
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Posted by ブクログ
シリーズ5作目
2017年「小説屋sari-sari」初出の5話と、書き下ろしの最終話で、これで完結かな?
初めて読んだ人は、はじめのうち、強い未練を残して死んで三途の川を渡れずにとどまっている人を車の姿になった速人が運ぶという状況設定が理解できないと思う。
身重の娘が小学生の身代わりに事故死したことを悔やんでいた柔道の捨て身技が得意な元警察官。
7年間引きこもりのネットゲーマー。(死んでない?)
子供の頃自分のせいで行方不明になった女の子を探し続ける認知症の男性。
通り魔に殺された状況を知らず、毎日自宅に帰って家族と食事する男子中学生と、その子を好きなまま病死した女の子の話がとっても切ない。
速人の生前の記憶が消えていく前に、玉置の女神と結婚させて、小学生の娘と妻を招待するという、村人たちの企てはよく理解できないなあ。