あらすじ
父親を亡くし、たった十一歳で王位を継いだサディアスは、深い悲しみの中にいた。
かつて一匹の獣が山の神により与えられたこの国は代々獣人の王が治めており、国の化身である王の気分によって天候は変化するといわれる。ゆえに、サディアスの悲しみのせいで、国には悪天候が続いているのだ。
国全体が疲弊し始めた頃、傷ついた仔豹を拾ったことでサディアスは明るさを取り戻していき…。
※こちらの作品には、紙版に収録の口絵・挿絵等のイラストは収録されておりません。
感情タグBEST3
孤独な王の癒し
獣人の国の王×王が拾った養い子
王サディアスが11歳の時に目の前で父王が叔父に殺された。すかさず敵討ちを果たしたが、幼くして王位を継ぐ事になった。父を亡くし叔父を殺したサディアスはその時からずっと心が凍りついたままだった。この国は神から初代の王が賜った国であり、神から託された王族は国から出る事もできず、その心模様が天候に現れてしまう。ずっと雪が降り続け、国の終焉を予感していたある日、サディアスは血を流した豹の赤ちゃんを拾う。城に連れ帰り獣医師を呼んで怪我の手当をして夜は添い寝。自分の孤独を慰める存在に、いつしか雪は止み穏やかな気候になった。
虎ちゃんと黒豹ちゃんです。
ぶっちゃけ、結果的に光源氏計画ですね。
受けはひどい目に遭いませんが、賢い子だったのでさまざまなことを考えます。周りに愛され続けすくすく育つのですが、発情期のあと子供ができる体質だと知り攻めがビビります。
攻め以外、読者も含め周囲は
『えっ?おいお前、ダダ漏れのくせに直前でこれかよ!答えは分かりきってるだろうが!(意訳)』
と呆れるばかり…
某先生ならこのあと受けは隣国に行って捕まり、性奴隷にでも成り下がるところですよ!
しかし彼の生い立ちを考えると、臆病にならざるをえないのかもしれません。
比較的穏やかなお話で悪人があまり出てきません。それでもしばしば涙がでるような切ないエピソードがあり、占い師の家系という設定も存分に生かされていました。孤独な王の救済の物語ですね。面白かったです。