あらすじ
ぼくらは、壊れても手をつないだままだった。
あのとき、手をはなしてさえいれば――。
大学生で作家のぼくは、入院した遠縁のおばあさんの家……白い桜の木がある、アニメに出てきそうな洋館・「白桜館」の管理を任された。そこにりりなと称する謎の多い10歳の女の子が現れ、彼女の世話をすることに。わがままなりりなの世話と執筆に追われつつも、いままで感じたことのない満たされた毎日を送る僕。しかし、あたたかい二人の日々は唐突に終わった。それがお別れになるとは知らず、二人が向かった先とは? りりなの本当のすがたは? 愛する人の喪失、自分自身の喪失、絶望の淵に落ちても、それでも生きていこうと思えたのは、亡き彼女からの贈り物だった。
TVアニメ、劇場映画で話題の「若おかみは小学生!」の話題の著者による「喪失」を抱えた主人公の物語。愛する人を喪い、自らをも失っても、愛することを畏れず、生きていけるのか? 感動と成長の物語。
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Posted by ブクログ
表紙とタイトルが可愛くて、手に取りました。
「白桜館」での出来事がとても楽しそうで、私も住みたいなぁと思いながら読んでいました。
予想外の展開で、展開のもっていき方が上手いなぁと思いました。
りりなの正体がわかった時、涙が止まりませんでした……
涙が止まった時、前を向いて歩いていける気持ちにさせてくれました。
出会えてよかったなと思える作品でした。
Posted by ブクログ
読み終えた時すーっと心に染みた作品でした。
〝無理に変えようとしないから悩まないでいられるし、思い通りにならないからって怒らないから、自然体でいられる。〟
こんな人でありたいと心から感じました。
決まった家族のカタチも無ければ、決められた家族の幸せがある訳では無い。
分かってはいるようでも実際に自分の身に起こらなければ自覚できないような事故や病気の現実を、今一度考えさせられる作品でした。
Posted by ブクログ
メルヘンタッチな表紙に可愛いタイトル。
そしてこの物語の舞台はアニメに出てきそうな洋館・「白桜館」
遠縁のおばあさんに管理を任され小説を書きながら1人で暮らしていた大学生の颯太の元に突然現れたちょっと生意気な10歳の少女りりな。
ギクシャクしていた二人が兄妹、父娘の様にどんどん仲良くなって行く姿に気持ちが温かくなり読み進めていると中盤になり物語は急展開する。
すっかり油断していた事もあり、その後の辛すぎた事実にやりきれない思いが溢れる。
ファンタジー要素にミステリーを加え、そしてラストの思いがけない事実にジンと来る。
Posted by ブクログ
作者が「若おかみ」シリーズで小学生に大人気の作家で、この作品は初めての一般書として書いたという情報だけで読んだ。
始めのりりなと颯太の部分は昔の少女マンガみたいで、正直「こんなもんか、やっぱり」と思いつつ読んだのだが、後半は良かった。
ストーリーは大島弓子みたいだな(私としてはかなり褒め言葉)、と。(「金髪の草原」とか、黄金期の名作の雰囲気)終わり方は、ちょっと児童文学臭がしたけど。もしかして作者は大島弓子ファンなのではとすら思った。
もう少し終わりの説教じみたところをどうにかしてくれたら、随分いいのではないかと。
一般書とは言うけど、中高生でもいいと思う。(恋人が親のいない日に泊まりに来るシーンはあるけど詳しく書かれてはいない。)
令丈ヒロ子のファンも成長してるからいい時期にこういう作品が出たな、と。
元々のファンのためにも、セクシュアルな表現は抑え目にして、文学界の大島弓子を目指してください。
Posted by ブクログ
この本は何なんだ!
ハンマーで打ちのめされ、マシンガンで吹き飛ばされる!!
読後~何とも言えない気持ちになる!!!
この子供はどうゆう子だ!
頭に来る~~! と思っていたら
後半まったく違う展開に突入!
どうなるんだ!
勇気をもらえた小説です。
Posted by ブクログ
大学生作家の颯太は遠縁のおばあさんの家「白桜館」の管理を任される。白桜館での生活を楽しんでいたある日、おばあさんの孫だという10歳の女の子りりなが現れた。りりなは颯太にあれこれとワガママを言うのだった。
白桜館でのほのぼのとしつつも、りりなとのドタバタな毎日を描いた作品。かと思いきや、物語は急展開を遂げます。白桜館での生活が理想であったからこそ、その後の展開のもつ意味が際立たされます。
「喪失と再生」喪ったものはもう二度と手には入れられないけれど、完全に無になる訳ではないのかもしれない。起こったことはなかったことにはできない。記憶の奥に仕舞い込んでも、なかったことにはならない。喪ってもそこからまた新たなものを手に入れなければいけない。それは辛いことかもしれないけれど、そうすることによって喪ったものが消え去らずに永遠のものになるのだろう。
理想として書かれる白桜館だけど、りりなは初めは颯太とぶつかり合います。りりなはワガママを言い、颯太はそんなりりなを疎ましくも思います。しかしお互いがお互いのことを知ろうとし、気持ちを伝え合うことでふたりの距離は縮まっていきます。何故理想の世界なのに、そんな手順を追うようなことにしたのだろう。そこに何か意味があるのではないか。それを考えた時にりりなという存在の理由が見えてきます。
りりなは理想の象徴でありながら、理想の世界から颯太を切り離す存在でもあるのでしょう。理想の夢に居続けても喪ったものは戻って来ない。喪ったものを再生するためにどうすればいいのか。それを示す役割があったのかも知れません。
Posted by ブクログ
プロローグでなんだか可愛いなあと思う反面、少し怖い思いを抱きながら本文へ。
穏やかなお話なんだと思いました。最初は。笑
読み進めていくと、兄と恋人、大切な2人を失ってしまった颯太の事がどんどん分かっていきました…。
それでもりりなは、那亜里は、颯太に強くなってほしいと伝えました。
前半の夢は穏やかな日常のお話なんかじゃなかった。
那亜里が伝えたかったことが詰まっていた。
個人的に、颯太がバスの中で那亜里の最初で最後の本を読んでいるシーンがとても大好きです。
虚しい切なさに晒されながらも、読みきりました。
読み終わった後で、プロローグと書名の意味が分かり、とても苦しくなりました。
Posted by ブクログ
するするサクサクと読めるお話やった。
児童文学作家さんとのことで、とっても読みやすい、優しいふんわりとしたお話やった。
颯太が頑張って前をむいて歩けていけますよぉに。
Posted by ブクログ
前半はのんびりした大学生の作家が、ひょんな事から雰囲気ある屋敷に住むことになり、そこへ不思議な女の子が訪れて、だんだん心が通いだし…ほのぼのなお話かと思いきや…後半は意外な事実が明らかに。ネタバレするといけないので感想が書きずらいが、心って喪失感って、乗り越えられるものかな…。