【感想・ネタバレ】北風 小説 早稲田大学ラグビー部のレビュー

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Posted by ブクログ 2020年01月13日

早稲田大学ラグビー部の春から大学選手権決勝に至る1年間を新入部員の草野点の視点から追ったスポーツ小説。あくまでもフィクションですが、おそらくは著者の藤島氏自身の経験(著者は元早稲田大学ラグビー部在籍)と取材を基に、描かれており、80年代の早稲田大学ラグビー部の実情をかなりのリアリティーで描いています...続きを読む。巻末の解説でも清宮克幸氏(元早稲田大学ラグビー部監督)が触れておられますが、本書に登場する個性あふれる部員の姿は「おそらくあの人」という、実在の選手がモデルになっているようです。
描かれているのは日常の練習風景が大部分です。冬の公式戦でのレギュラー獲得を目指して、部員一人ひとりが自らを鍛えぬく様子は、自らの実体験を通して描かれているだけに臨場感満載です。
草野点がフッカーというスクラム最前列のポジションであるがため、スクラムを組んでいる時にどんな駆け引きをしているのかという部分は非常に細かく描写されていて、本書のそれはおそらくは「やった人間にしか分からない」レベルです。
「サイドフォロー」、「ヘッドスピード」、「回転ヘッド」などの名称の各種練習メニューや菅平合宿の練習風景の描写、タックルの強化のために鉄柱に肩をぶつける個人練習を続ける先輩、後輩の指導に時折練習場に訪れ圧倒的なスクラム技術を披露するOB、多くを語ることなくラグビー部を引っ張る主将、草野点のライバル同級生の狂気じみたスクラムの様子等、魅力的な人物描写が読者を早稲田大学ラグビー部という独特の世界に誘ってくれます。
本書終盤、対抗戦終盤の早慶戦、早明戦直前のピリピリとした緊張感は読んでいるこちらまで張りつめてくる程でした。すべての試合が終了した後の懇親会のシーン。1年生部員から見て、あまりにも大きな存在で直接言葉を交わす事など1年を通じてほとんどなかった主将が「ありがとうな。俺、お前らの事、一生忘れないからな」と語りかけるシーンは印象的でした。
ラグビーを扱った小説はもともと数少ないですが、ラグビー好きの方なら絶対に一読をお勧めします。また学生時代に部活動を経験されている方なら、共感できる部分もたくさんあるのではないかと思います。私自身、弱小運動部ではありましたが、最後の公式戦に掛ける思いや、日々の練習に向けた気持ちとか、懐かしい思いを感じつつ読むことができました。

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Posted by ブクログ 2019年01月12日

福島から上京した草野点は、早稲田大学ラグビー部の一員となった。チームに息づく精神、同期とのライバル関係…。日本一を目標に掲げる伝統のクラブでの日々を描いた武骨な青春小説。

ノンフィクションライターでJ-SPORTSのラグビー中継の解説を務める筆者による小説はまさに『無骨な青春小説』だった。スクラム...続きを読む(筆者はFBらしいけど)やタックルの描写、早慶・早明戦前の部内の緊張は、経験者でなければ書けないだろう。清宮克幸元監督による解説も素晴らしい。ちなみに作中よく登場する西武柳沢の札幌ラーメン店は私もよく通った経験があり、懐かしかった。
(A)

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Posted by ブクログ 2021年11月03日

まさに粗削りな小説です。そもそも本当に小説なのか?打ち立ての腰が強すぎるうどんを、粉も落とさず茹で上げた、そんな物語です。今の科学的なスポーツや部活の指導からは、想像もできないような練習の数々が紹介されていますが、その中に宿る魂は忘れてはいけない大事なものでした。何か大切なものを思い出させてくれる一...続きを読む冊でした。

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Posted by ブクログ 2020年07月26日

1970年代の最後のあたりから1980年代なかばの早稲田大学ラグビー蹴球部を舞台とした小説である。主人公は福島県出身のフッカー・草野点(くさの・ともる)。彼の大学一年生の一年間が描かれている。※「岡田次郎」という大学二年生のキャラクターが、早大学院(早稲田大学の付属高校)が昭和52年度に初めて花園出...続きを読む場した時に高校3年生という設定なので、時代背景としては「1979年」の要素が大きいか。
作者・藤島大は早稲田大学ラグビー部出身のスポーツライターで、卒業後はコーチを務めるなど長く早稲田大学ラグビー部に関わっているため、文章のあちこちから往時の「ワセダラグビーのリアル」が色濃く感じられる。もともと藤島大の書く記事も叙情的なスタイルであり、その文章に度々触れているせいか、フィクションであるこの小説の登場人物たちも実在するプレイヤーのように感じられるのがおもしろかった。
とりあえず今作だけでも完結はしているのだが、主人公・草野点の成長を読んでみたいなと感じさせられた。

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Posted by ブクログ 2020年01月15日

硬く素っ気なさを意識したハードな文体なのに所々で甘えん坊さんのかわいい系を狙った感じが出てしまうのはなんなんだろう。早稲田大学ラグビー部での日常こそが既に非日常であり異彩を放っているので、文体で遊ぶ必要は全然ないと思うのだけど。
主人公の他者性のなさき自閉した感じで独特。ライバルとか同期とかってもっ...続きを読むと鮮烈じゃない?先輩の最後の試合ってもっと華やかなものじゃない?中学時代に捨てた不良の仲間に対する思い入れはなくてラグビーの仲間だけがあなたの本当の友達なの?おおこわ、ドライに過去を切り捨てるのこわ。
と文句ばかりになりましたが大変面白く手が止まらな9なるので読むべし。

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Posted by ブクログ 2019年12月06日

早稲田の強さとスタイルを知る意味ではとても参考になったけど、小説としては展開もちょっと遅いし、主人公以外のキャラが立ってないなと感じた。

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Posted by ブクログ 2019年11月27日

他大の体育会の部活のことを知りたい、
ちょうど知り合いに早稲田のラグビー部出身の人がいた、
世間はラグビーブーム、
といった理由で購入してた小説を読んでみた。

独特の文体でちょっと読みづらいが、
後半からは感情移入してしまう。

今は部活といえども楽しくが主流の時代だが、
私はこういう部活が好きだ...続きを読む

緊張。解放。弛緩をとことん排除。

誇らしいチームをつくりたい。

無限。未知の難問。突破して解決。ラグビーの知性。

「戦法に応じた基本」

本流。

そういった伝統のあるチームをつくりたい。

以上

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Posted by ブクログ 2019年01月24日

1月16日のNHK「クローズアップ現代+」では大学ラグビー日本一になった明治大学を特集していました。題して「組織大改革明大ラグビー部育成術」。イマドキ学生をどうモチベートし、どうプロアクティブ人材に育てるのか、というテーマでした。その内容は帝京大学の岩出監督の著書「常勝のプリンシパル」に相通じるもの...続きを読むがありました。その帝京の10連覇の夢を天理が破り、それをまた明治が破るという結果は、今までの「体育会系」文化に限界を感じされるものだったりします。日大アメフト事件で顕在化したスポーツ・ハラスメント体質からの脱却とかいう以前に、そうしないと強くなれない、いや、チームが作れないのが時代の流れ。しかし、本書は早稲田ラグビーというプランドのもとに理不尽の自分事化に青春をかける若者の群像劇であります。無名校出身の実績のない、もしかしたら才能がない選手の成長物語は、とてもスィートで鼻の裏がツンと来るものがありますが、でも、オヤジの懐メロになってしまっているような気もします。イマドキ学生は、こういう物語を自分事にできるのだろうか?と心配になりました。

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Posted by ブクログ 2019年01月13日

日本一を目指すということはこれほど過酷な練習を積み重ねていくことが必要なのか。
脈々と受け継がれてきた早稲田ラグビーの本流がまざまざと描かれており、レギュラーしか着ることのできない赤黒のユニフォームがいかに神聖なものか。
「意識」「緊張」「ベストの限界を知る」、早稲田のラグビーを奥深く知ることができ...続きを読むる。

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Posted by ブクログ 2018年10月29日

作者の藤島大さんも早稲田大学ラグビー部OB、この作品では福島のツッパリ少年が、地元高校でラグビーと出会い、上京し早稲田へ。無骨な青春小説。

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