あらすじ
写実の奥を描いたと激賞される「トロッコ」、一つの事件に対する認識の違い、真実の危うさを冷徹な眼差しで綴った「報恩記」、芥川文学の転機と言われる農民小説「一塊の土」ほか中期の名作21編を収録。
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Posted by ブクログ
没落の侘びと寂びの話。
久しぶりに芥川龍之介を読んでみた。
昔と今で印象が変わった話としては、「庭」が昔繁栄していた名残りでまだ何とか体裁を保っているけど、確実に没落していく荒廃の感じが隠せない今現在の日本を現しているようでとても興味深いかった。
ニコ没も良いと思うし、没落自体侘び寂びがあるけど、中身はないのに体裁だけは必死に整えながら、それ自体も無くなり忘れられていく詫び寂びのある没落も良いな、と。
あと、表紙おしゃれ。
Posted by ブクログ
ご町内のカフェでの定例読書会の課題図書。
先月は会場の都合かなにかでスキップしたので二月ぶりの開催。
そして今回も、前回に続いて芥川作品。短編では圧倒的に芥川人気が高いのか。
もう、何をか言わんが分かりやすい。
トロッコという運搬の車両、軌道沿いの往きて復りし物語。少年は、何に導かれ線路の先を目指すのか、禁忌を犯し境界線を越えたのはどの地点か、成長、あるいは手にした経験は? と、ついつい分析的に鑑賞してしまいたくなるのも無理ない要素に富んでいる。
しかも最後、この物語は「回想」だったことも示唆され、その少年が大人になった現代も描かれる。
大正末期から昭和にかけての時代。鉄道を敷き、国を発展させようという動きと、軍靴の響きが喧しい時代を遠景に、著者はどれほどのメタファ―をこの作品に込めたのだろうか? という深読みもしたくなる。
それほど物語としては簡潔で、単純極まりなく、少年時代のとある一日の冒険に、読者はそれぞれ何を見るのかと、問いかけてくるようでもある。
欧米のHero’s Journeyとの対比で読むもよし、であれば、同じ線路沿いの少年の冒険という点では、スティーブン・キングの『The BODY』(映画『スタンド・バイ・ミー』の原案)と較べてみるのも、面白い発見がありそうだ。
日本と欧米の物語に託すメッセージの違いも見て取れそうで興味深い。
読書会で聴ける他参加者の感想、分析も楽しみ。