あらすじ
世界各国で「創造性」「課題解決力」「科学技術」を重視した教育改革が進み、さまざまなEdTech(Education x Technology、革新的な教育・人材開発技法)の教育現場への実装が進んでいる。国内では、経産省主導のもと『「未来の教室」とEdTech研究会』が設置され、先日最終報告回を終了した。本書は研究会の座長代理を務める佐藤昌宏氏(デジタルハリウッド大学大学院教授)が海外・国内での先行事例を紹介。また、国内におけるエドテックを進めるキーパーソンとして、デジタルハリウッド大学学長の杉山知之氏、「カラオケ!English」を手がけ、料理研究家としても著名な行正り香氏、ソニー・グローバルエデュケーション代表取締役社長の礒津正明氏、「世界最高齢のプログラマー」として知られる若宮正子氏がインタビューに登場。日本の学び方がどのように変わるべきか、それぞれの思いを語る。
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Posted by ブクログ
「学校」が「教育」が変わるEdTech
この本が出版されたのは2018年で、当然新型コロナウイルスによる一斉休校と、そこから急激に進められようとしている一人1台タブレットの未来は予測されていない。ここまで大きなことがなければ、日本の学校教育は変わっていなかったんだろうとしみじみ思う。
明確にEdTechの利点を述べている。一人一人に合わせた教育ができるところ、どこでも学べるところ、学校の名前よりも学習歴が大事になるところ。しかし、ICT教育が進んでも学校が必要だという理由であるファシリテーターとしての教師、モチベーションとしての仲間の存在、つまりリアルな学校生活が新型コロナウイルスで大打撃を受けた。これからは、ICT教育が進んでもなお必要とされるリアルな学校生活をどうしていくかを考えなくてはならない。
「テクノロジーの得意なところ」と「リアルの人間関係が必要なところ」を切り分けるのは、多分学校関係者のあまり得意でないところだ。情熱や努力、献身などとして肯定されてきたものをもう一度見つめ直す。リモート授業でもできることと学校に来ないとできないこと、ICTが役に立つところと直接関わらないとダメなところを、見極めていこう。それが、それまでにもあったのに目を背けていて、新型コロナウイルスが可視化させた「学校は必要なのか」という問いに対する答えのひとつとなるだろう。