あらすじ
浅田次郎が描く米国人青年ニッポン発見の旅。
日本びいきの恋人、ジェニファーから、結婚を承諾する条件として日本へのひとり旅を命じられたアメリカ人青年のラリー。ニューヨーク育ちの彼は、米海軍大将の祖父に厳しく育てられた。太平洋戦争を闘った祖父の口癖は「日本人は油断のならない奴ら」。
日本に着いたとたん、成田空港で温水洗浄便座の洗礼を受け、初めて泊まったカプセルホテルに困惑する。……。慣れない日本で、独特の行動様式に戸惑いながら旅を続けるラリー。様々な出会いと別れのドラマに遭遇し、成長していく。東京、京都、大阪、九州、そして北海道と旅を続ける中、自分の秘密を知ることとなる……。
圧倒的な読み応えと爆笑と感動。浅田次郎文学の新たな金字塔!
※この作品は過去に単行本として配信されていた作品の文庫版となります。
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Posted by ブクログ
私がこの著者である浅田次郎さんと出会ったのは、他のエッセイを通してでした。
描写の豊かさ、テンポ感の良さ、物語の壮大さに惹かれてファンとなって、本作へと読み進めました。
主人公ラリーは、アメリカニューヨーク出身で。日本が大好きな婚約者ジェニファーの願いによって日本へ飛び立ちます。
表向きの理由は、日本を知ってもらうことそして北海道で鶴を見てもらうこと、でしたが、もしかしたら裏にはジェニファーの思いに父親と向き合ってほしいと言う願いがあったのでしょう。
ラリーは日本に着いてからすぐに北海道へ向かわず、東京、京都、大阪、別府などをめぐり最後には北海道へ行きます。それぞれの土地で出会う日本人や外国人との触れ合いが、彼の内面に影響与えます。正確には、彼の内面での自己との対話に影響与えました。
アメリカ人としての視点から見た日本の国民性や文化の違いも書かれていて、その比較が興味深かったです。旅の中で、自分の人生やルーツジェニファーへの思いと向き合い続けました。
食べ物や観光地の車がとてもリアルで、まるで自分が旅しているな臨場感もあり、読みながら、文章を目で追うだけで、楽しいと感じるほどの流れる文体に魅了されました。
最後には、ラリーが1つの心をジェニファーに伝えます。そこに至るまでの過程がとても自然が数説得力を持って描かれていました。
自分自身を大切な人とのつき合い方、そして内面への自己の対話が丁寧に、ユーモラスに描かれていて、心に残る1冊でした。
Posted by ブクログ
結婚の条件としてPC、スマホ無し3週間の日本旅行を命じられるアメリカ人ラリーの日本と自分探し物語
前半は勘違いもありながら楽しい旅行記ですが、後半はラリーの重い人生観と、浮気性なアメリカ男に嫌気が……
プロポーズを受け入れてもらうため、価値観を同じくするため日本に来ているのに、日本人女は抱くし、更に別の女性とまでそういう展開になりそうになる。2人目の女性は、地下街で知り合って仲良くなった小学生男子の母親
アリエナイ
こんな男からのプロポーズは受けなくていいと思います、ジェニファー
Posted by ブクログ
主人公はアメリカ人の青年で、結婚を申し込んだ彼女から、「日本を旅してきて」と言われる。彼の中には、日本びいきの彼女から吹き込まれた「素晴らしい国・日本」の印象と、日本と戦争をした退役軍人の祖父から聞かされ続けた「油断ならん国・日本」の印象が混在する。
彼女(わが心のジェニファー)を想いながら旅をする彼の、本音(心の中)と、建前(彼女への手紙の記述)のギャップが面白い。旅をしながらいろんな個性的な日本人と出会って、ちょっとロマンス(?)もあってこっけい。
最後には彼女の提案や、祖父の日本嫌いの裏に、いろんな思惑があったことが分かり、なかなか感動しました。