【感想・ネタバレ】原発事故と「食」 市場・コミュニケーション・差別のレビュー

あらすじ

農水産物の一大供給地であった福島は、3・11以後、現在にいたるまで、「デマ」や風評が飛び交い、苦しい状況に追い込まれている。一方で、原発事故と震災の忘却は着実に進行している。本書は、流通や市場の課題、消費者とのコミュニケーション、差別の問題などから、「食」について多面的に論じる。「食」を通して、あの事故がもたらした分断を乗り越えられるのか――。これからの社会を考える試み。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

福島県産の農水産物を買うか買わないかについて、2011年3月以降、誰もが一度は考えたであろう。その後、「食べて応援」と積極的に購入する人がいる一方、福島のみならず東日本産のものは一切買わないという人までいると聞く。
著者は、そういう分断が起きた原因、現在も埋まらない溝がある理由について、どちらか一方を批判することなく、冷静に分析する。作物ごとの違い、つまり、比較的早く市場に出回るようになったものと、いつまでも安値でしか売れないものの違いの分析など、市場を通した考察は中々興味深い。そして、リスクコミュニケーションのあり方についても考察されていて、社会学が何をする学問なのか、こういう事例でどう役に立つのか、ということも少し分かったような気がする。

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2018年03月24日

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