あらすじ
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すべての数学は集合論の上に築かれる――集合と位相、そして実数論は、現代数学を学ぶうえでもっとも重要な基礎知識のひとつである。定評『線型代数入門』の著者が、それらを初学者向けにていねいに解説。豊富な問題と詳細な解答が理解を深め、テキストとしても好適。
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Posted by ブクログ
全体を通して「選択公理」の威力を味わう数学書。実数体の定義については類書が少なく本書がメインになることが多いだろう。一方で位相空間論は他と大差はなく,既習なら難しくない。付録の公理的集合論は,むしろここが本筋といっても過言ではないと思う。
まさに数学の基礎
この本は、集合と位相の教科書としては適切ではないかもしれない。しかし、独特の切り口で数学の基礎が語られている。著者の記述には無駄がなく、ストレスを感じずに読み進める事ができると思う。内容はかなり抽象的で、分かりづらい箇所も多少はあるが、何度も読み返す事で理解が深まる。公理的なアプローチの難しさと優しさに触れる事ができる貴重な良書である。
Posted by ブクログ
この本は集合・位相の本ではないことをまず断っておく。それに関する部分ももちろん語られているが、実数体の構成等、本来の意味での現代数学の基礎に重きが置かれていることに注意されたい。
Posted by ブクログ
集合・位相が主体の本であるが、特に実数体の構成に力をさいている。最後の付録には、公理主義的集合論ZFC(ツェルメロとフレンケルの選択公理を採用した標準的公理系)を載せて自然数を構成している。
前書きでいわく、日本の本で、実数論をがっしり書いている本はほとんどないとのこと。また、公理主義的集合論もほとんど教えられていないということ。
前半では、集合一元論的な態度、自然数から整数環、有理数体、実数体の構成などがある。有理数体からの完備化、完備化の一意性などなど。
後半は、位相に入り、開集合系、閉集合系、閉包、開核、近傍系によるそれぞれの位相の定義と同等性などから始まり、距離空間、ハウスドルフ空間、稠密、コンパクト性、連結性などなど。
一番最後に論理式の導入から公理系の記載、自然数の構成など。
「この本の内容は数学者志望の人向けであって、自然科学者や工学者志望の人がやるのは時間がもったいない。これを知らなくても立派な数学者や自然科学者になれる。現に知らない数学者はけっこういる。」とか、「これから群・環・体の定義を示すが、ここで代数論をする気は全くない」とか、「複素数体の構成を示すが、これは有理数体の構成同様、少しめんどくさいが難しいことはない。しかし全くおもしろくない。」とかいったような内容のことが書いてあって、おもしろいなって思った。
少々変わった本かも知れないけど、説明はかなりわかりやすい。また、完備化や切断のアイディア、位相空間論の斬新な概念、集合の濃度のことなど、非直感的な概念・定理であふれているこの世界はかなりおもしろい。
そして、新しい数学は無限との闘いだったのだ!ということを知りました。ポイントと思われるところ(例えばちょっと同じに見える開集合系と閉集合系の定義の違い)に必ず無限が!