あらすじ
現代数学は数学者だけの高度なものと考えがち! だが、じつは考え方そのものは日常の生活のなかでよく経験している。著者はそういって、集合・関数・構造・群・位相などの概念の本質を、古代からの数学の歴史をたどりつつ、卓抜な比喩で解き明かす。本書前半「数学は変貌する」では、読者はその名調子に身をまかせ安心して聞きほれることができる。堅苦しい数学観も一変するにちがいない。学校数学になじんだ理系学生にも、その闊達な筆致のデッサンは魅力だろう。後半「現代数学への招待」はその詳論。解説はらせんを描きながらより高みへと読者を誘う。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
群・体などの代数系や位相などの“構造を扱う数学”の方が理解しやすいと説き、いくつかの例について定理や証明をきちんと出しながら紹介している。実数や複素数などの計算法・応用例・いくつかの定理を知らないと抽象代数学を楽しむことなどできるはずは無いと思っていたから、著者の考えと説明の仕方には驚かされた。
Posted by ブクログ
1970年の講演を収録した前半「数学は変貌する」と、後半「現代数学への招待」に分かれる。
特に前半は数学史を古代ー>中世ー>近代ー>現代への変遷として解説しており、経験的から帰納的・演繹的・構造的に変遷する様や物理など応用が語られており大変分かりやすい。氏のように微積分や集合を教授していただければ学生時代に数学で挫折することもなかったかもしれない。(まぁそれは自分の勉強不足のせいですね。。)
後半は集合論と構造論(群・環・体・位相)を主とした、まさに現代数学入門。入門者にとっては難解さはグッと増す。
前半は間違いなく★5つだが、後半のやや専門的内容を踏まえて★4つとした。前半部分は飛びぬけて面白いのでぜひ読んでいただきたい。
Posted by ブクログ
紛れも無い数学書。
「変貌する数学」と「現代数学への招待」の2部からなる。
前半は数学史を古代、中世、近代、現代の四つに区分して叙述。いわく幾何学の歴史の一面があると。ユークリッド、デカルト、ヒルベルトが画期であると。古代、書物を書くのは二流の人だった。
後半はカントルの集合を使った無限へのアプローチ、群・体・環から多元環と四元数、距離と関数空間、近傍、位相空間と分離公理。大学での現代数学の道具について、入り口まで丁寧に説く。