あらすじ
画期的な批判的研究の書として、多くの識者の支持を得た名著!!
「本書は非マルキストによる現実態としてのマルクス思想史=共産主義史の金字塔的著作である」(竹内洋。解説より引用)
全体主義に抗す自由主義の論客として知られ、渡辺一(政治思想史)、高坂正堯(国際政治学)、矢野暢(東南アジア史)、木村汎(ソ連研究)、
西原正(安全保障研究)、五百旗頭真(日本政治外交史)、戸部良一(日本政治外交史)ら錚々たる学者を門下から輩出した政治学者、猪木正道。
防衛大学校校長も長く務めた氏が、共産主義の思想と運動の歴史を一貫した視点で平易に読み解く。
マルクスの思想とマルクス主義はまったく違う!
マルクス、フォイエルバッハ、ラッサール、レーニン、スターリン、チトー、フルシチョフ、毛沢東に加えて、その後の文化大革命と非毛沢東化、
非スターリン化、ソ連共産党独裁政権の官僚化と軍事力を背景とした力の外交、そしてユーロ・コミュニズム、グラムシにまで論及。
共産主義の思想と運動の歴史を平易に一望する大傑作!
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Posted by ブクログ
これはすごい。
マルクスから、レーニン•スターリン・毛沢東という実践家へ、そしてフォイエルバッハ、トロツキー、チトー、果てはローザルクセンブルクまで体系的に、個々の思想を紐づけてその発展と課題、現実などを究めて平易に記してある。それぞれの思想が、有機的に繋がって立ち上がってくる。
はっきり言って、「マルクス主義」を名乗る大学生はおそらくこの世から完全に駆逐されており、「なんとなく」の理解しか誰も持っていない。これは社会変革を志す学生にとって、自分の思想の系譜を辿る上でも必読ではないかと思う。
Posted by ブクログ
マルクスの思想を踏まえてレーニン、スターリン、トロツキー、ローザルクセンブルク、グラムシ、チトー、毛沢東への変遷を踏まえマルクス主義は無神論の宗教だから他宗教や個人主義に敵対するとか、日本では軍国主義が抜けた空白に共産主義がはまっただけとか、私的資本による本源的蓄積をせず国家が強引に本源的蓄積しただけのソ連と中国は非スターリン、毛沢東化を進めて近代化されるとか、ナルホド!という指摘が多く面白い。
Posted by ブクログ
タイトル通り。
共産主義を、その起源から、1970年代まで一本の流れでつかむことのできる本です。
お恥ずかしながら、40代になるまで共産主義とは何か、その中身に無関心に生きてきました。
読書会で齋藤幸平さんの『人新生の資本論』を読み、初めてマルクスの思想の一端を理解した次第です。
作中語るべき気づきはたくさんありますが、一番の発見は、共産主義と言葉一言でいっても、その中身は千差万別だ、ということです。
マルクスが描く資本の共有と富の分配は
スターリンが目指した、一国主義とは似て非なるものです。
その後を継いだフルシチョフはすぐに非スターリン化を打ち出しました。
では隣のシンパ、中国共産党は変わらずロシア盟友であるか?それも違います。毛沢東の実践するイデオロギーは、それ以前のものとは違います。
実のところ、資本主義、帝国主義のアンチテーゼになる主義主張を、全部ごちゃ混ぜにしただけ。
それらを分かりやすく共産主義とまとめたようにも読み取れました。
さらに本作では、そのごちゃ混ぜを整理し、比較し、体系化する、広範な思索が為されています。
読後は近代史に対する理解が深まること請け合いです。
最後に、個人的な感想です。
広範な知識をベースに書かれているため、歴史的な事実や思想、哲学用語が断続的に使われます。解説無しに。
読む時には、スマートフォン片手に読むことをお薦めします。
Posted by ブクログ
共産主義について、マルクス以降の展開を1970年代初まで追った名著。部分的な知識が1つにつながるだろう内容なのだが、その部分的な知識も十分でない身にとっては、難解であった。