あらすじ
思想の重要なポイントが毎回出題される「センター試験・倫理」。哲学を学び直すなら、これにあたるのが一番。ソクラテス、プラトンからニーチェ、ウィトゲンシュタインまで、厳選20問にチャレンジし、解説とイラストを楽しむうちに西洋思想の基本がサラリと頭に入ってくる。大ベストセラー『哲学用語図鑑』の監修者、初の書き下ろし新書!
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Posted by ブクログ
古代から近代までの主要な哲学の辿った道を簡単に学ぶことができた。
近代になると科学技術が哲学の領域に大きく影響を及ぼしているように感じて、小難しく理解が難しいと思った。
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入門書というのは、そこから原典や他の書物へと読者を誘うことができれば、ほぼその著作としての目的は達せられるという意味において、この本は出色の入門書と言えよう。
まず、センター試験の設問を手掛かりにするという発想がいい。さらには、ともすれば難解になりがちなところを、いかにも馴染みのある例を提示して説明しているところがいい。何より、説明を容易にしてくれるイラストがいい。個人的には、今すぐにでもニーチェの著作が読みたくなった。
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哲学の勘所をうまくおさえてまとめていると思うが、初学者にそれがうまく伝わるかは微妙。そこは哲学用語図鑑と同じ。ある程度わかっている人にはわかるが、ある程度わかっている人にとってはたいして面白くない。ただ、ハイデガーとウィトゲンシュタインのところはちょっと面白かった。あと、ブックガイドは新書や文庫が多くて参考になる。
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「試験に出る」というタイトルから受験生向けかと思うとさにあらず。
センター試験に出たことのある哲学の問題から著者が厳選して集めた問題を取っ掛かりとして広く浅く西洋思想が学べわる仕組みになっている。
小難しい話は置いといて西洋思想ってどんなもん?と気軽に読める入門書。
難しくは無いけれど中身は充実。
巻末のブックガイドがとてと重宝でありがたい。
Posted by ブクログ
現代の成人の多くが通った「センター試験」という入り口を構えることで、日本人には馴染みの薄い哲学への入門を誘う一冊。
内容も試験形式で設問があり、それを解くことにより理解が確認できる方式を取っている。最初は解けなかった設問が解けるようになることで、しっかりと満足感を得やすい哲学入門書になっている。
おすすめの西洋哲学入門書として、ここに記録しておきたい。
Posted by ブクログ
2021.07.11 読み終わるのに意外と時間がかかった。試験問題をうまく使うとでただ読むだけでなく、再読につながって良い。難しすぎずとても学びになったのではないかと思う。また、自身の得意、不得意がよくわかる。
Posted by ブクログ
センター試験の問題を呼び水にして西洋哲学の変遷を纏めた著作
紀元前のソクラテスから近代のウィトゲンシュタインまで
私自身、紀元前の哲学は退屈さが否めなかったのだが、本著では関係性と影響を重ねながら時代を下って行くので、過去の哲学の意義について理解が深まった
自然を畏怖し、神を絶対とした価値観から自然科学へ転換するには、これ程までに思慮深い方達の思索が積み重なる必要があったのだと感慨深かった
何も知らずとも、自然科学の知識を学べる今が幸福であると感じるが、その価値すら理解できなくなっている世界に辟易ともする
Posted by ブクログ
「神とは何か」「自由とは何か」「知識とは何か」とか普段考えることがほとんどない。語りもしない。
哲学?何でこんなにまどろこしい言い方するんだろう。結局何が言いたいのかわからない。
それでも最後まで読み切った。少しは見えてきた。気がする…
Posted by ブクログ
センター試験!
なんと懐かしい響きだろう!
そして、高校「倫理」の科目も。
地理も公民も得意で、好きだったし、教員免許だってあるのに、しかも公務員試験で勉強し直したはずなのに、キルケゴールもヤスパースも、大陸合理論もイギリス経験論もごっちゃごちゃ。
ちゃんと覚えているのは、「無知の知」くらい。
言葉としては、洞窟のイドラ、超人、神は死んだ、タブラ・ラサ、なんてものは覚えているけれど、選択せよ、と言われるとちょっと怪しい。
でも、自分で興味を持って、絵を描いて、100分de名著を見る......何より楽しんで向き合ってみると、一旦頭のどこかに散らかっていたものが戻ってくる気がする。
これが生涯学習、反復練習の意義だなあと思うのだ。
さて、ディオゲネスの逸話で、『ONE PIECE』の初期の物語を思い出した。
宝箱にすっぽり入ってしまった男の話だ。
あるいは中島京子の『樽とタタン』。
繋がっていく記憶は面白い。
哲学は暗記科目、かもしれない。
どうせ使わない、かもしれない。
しかし、すぐ使える知識はすぐ使えなくなる。
スピードを求めるなら、回り道に見えるような道を行く方が早い場合もある。
センター試験の問題も、なかなか凝っていて、解いていて楽しかった。
人生は、思想でできている。
Posted by ブクログ
センター試験と銘打ってあるが、著者も一般向けとことわっている通り、本書は試験対策のための本ではない。センター試験の問題を通して、哲学を網羅的に理解する一般向けの哲学入門となっている。
学参のいいところは、解答を導くこと、つまり、質問に答えることが大前提となっているというまさにその点にあると思うのだが、質問に答えるという過程を通して、わかっていたつもりでわかっていなかった点が確認できてとても参考になった。
えてして、大人向けの、つまり一般向けの入門書というのは、哲学の関連書籍に限らず、説明が簡単すぎてかえってわかりにくかったり、内容が軽すぎて使えないような本が多い。その点、本書のような入門書は本質的な理解を助ける良書といえる。ただ一つ心配なのは、受験用と誤解されて敬遠されてしまうこと。編集の人はその辺もうちょっとうまい見出しをつけたほうがいい気もした。
Posted by ブクログ
「センター試験『倫理』で出題される問題をとっかかりとして、西洋哲学のあらましと大きな流れを解説した本」(p.3)。著者曰く、「大学生や社会人が哲学のあらましを知るうえで、高校倫理の内容は難易度としてちょうどいい塩梅」(p.259)らしく、センター試験の問題を解きながら、西洋思想史の流れを、哲学者の人物を中心に解説したもの。
おれは高校の時に、勝手に倫理を勉強して、センターの科目でも倫理を使って、自称倫理マスターみたいな感じになっていたので(今考えると結構痛いヤツだなあと思うけど、若さ故ということで…)、こういう本は今でも好き。でも社会人になってからは局所的に何かの思想や哲学の本を読んだとしても、高校倫理の内容を概観するようなことはそんなにやっていないので、なんかまたあの時に勉強した内容が色々蘇ってくる感じで、個人的には楽しかった。ベーコンの劇場のイドラ、とか、カントの定言命法とか、そうそうあったよなあ、みたいな。
あとは自分が勉強になったところのメモ。まず「プラトンの『イデア/現象』という区分は、『無限/有限』『魂(霊)/肉体』『理性/感覚』という区分に重ねられ、西洋思想の基本的な枠組みをつくりあげていくことになりました」(p.57)という部分。「二世界論」というらしいが、それこそソシュールの『ラング/パロール』とか、2つの世界を想定する、みたいな考え方って当たり前のようにたくさん出てくるけど、その源泉がプラトンなんだ、ということに納得した。「キリスト教神学の『神の国/地上の国』、カントの『物自体/現象』という区分もまた二世界論の延長にある考え方」(同)というのは分かりやすかった。そして、この上位の方の世界は「真理」という世界に通じると思うが、ニーチェは「さまざまな著作で『真理』という概念を攻撃し」(p.197)た、というのは分かりやすかった。ちなみにニーチェによれば、真理の世界の変遷は、「プラトンのイデア界→キリスト教の彼岸→カントの物自体→実証科学の真理」(同)となるらしい。高校の倫理って、少なくともおれの経験の中では、こういう、同じような概念が哲学者によってどう変遷していったか、っていう長い流れ、みたいなことってあんまり学習しない気がする。次にアリストテレスになると、プラトンよりちょっと難しい、という印象があるが、小阪修平という人の本の孫引きになるけど、「アリストテレスはプラトンのイデアから形相の概念を、イオニア自然学から質料の概念を継承し、この二つのアルケーの組み合せで、世界を考えた」(p.66)と考えると、確かにつながりがもっと分かりやすくなる。カントとかになると、あんまりよく分からずキーワードを暗記して終わった感じになってたけど、まず三つの著作「『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』という三批判書は、それぞれ『私は何を知りうるか』『私は何をすべきか』『私は何を望んでよいか』という問いに対応しています。いわば、神ぬきの理性や知性の働きと限界を見極めようとした」(p.103)という大枠を掴むことが大事だと思った。あとベーコンの「イドラ」が4つあったのは覚えてたけど、4つが何だったかは忘れていた。そのうち「市場のイドラ」については、「コミュニケーションのなかで生じる言葉の誤用や不適切な使用がもたらす先入観です。流言やデマを信じたり、抽象的な概念をもてあそんだりする際に、市場のイドラは生じます」(p.113)ということだが、流言とデマは分かるけど、「抽象的な概念をもてあそぶ」ことも「市場のイドラ」というのは、ちょっと意外だった。カントやヘーゲル以上に、ライプニッツとかスピノザになるともっとお手上げで訳分からん思想だなあと思ってたけど、まずライプニッツの「モナド論」について、「いってみれば、神は超絶プログラマーです。個々のモナドには、世界が最善となるようなプログラムがあらかじめ書き込まれている。世界はあらかじめ予定調和になるようにできている」(p.138)ということらしい。次に観念論の学習の次に経験論をやったら分かりやすい、単純、って思うけど、バークリーとかヒュームになったらまたよく分からなくなる。けどこれは「経験論は、その言葉から感じるニュアンスに反して、純度が高まるほど、観念論的になっていきます。経験を知識の基盤とする以上、事物が客観的に実在することを論証できないから」(p.148)というのは納得。確かに理屈がこねくりまわされている感がすごい。あと道徳論の「理性は情念の奴隷である」はヒュームの言葉らしい。「ヒトは結局感情で動く」とおれは常々思っているが、それってここに遡るのかなあと思ったり。あとはマルクスの話になるが、「マルクスは、精神が成長するから物質的に豊かになるのではなく、物質的な生活や条件の変化が、精神的な営みの変化も生み出すと考えた」(p.187)ということが、なんとなく最近読んだ『体育ぎらい』という新書で書いてあった、身体によって世界の見え方が変わる、という発想と似ている?と思った。何ができる体か(物質的な世界や条件)、ということになるのではないか、と思ったり。そのあとのニーチェの思想の、「身体こそがより根源的な『大いなる理性』として、精神や感覚を通じて自我(自己意識)を支配する」(p.206)というのも、身体が世界の見方を変える、という考えに似ていると思うのだけど…。そしていよいよ最後い実存主義、ハイデガーやサルトルになっていくと、高校の時も思ったけど、やっぱりカッコイイな、と思ってしまう。なんか生き方の話、っていうのは認識論とかよりも頭に入ってきやすい、というか。ハイデガーは、「過去を引き受けたうえで、将来の自分の可能性を選ぶ取っていく本来的な時間性に対して、ダス・マンは、のっぺりとした単調な時間性のなかに安住してしまっている」(p.224)みたいな話は、高校の時もおーって思った気がする。そしてデンマークの哲学者、『死に至る病』のキルケゴールの話(キルケゴールの方がハイデガーより前だけど)になるが、「キルケゴール自身がこの死に至る病に冒されていた人でした。彼は、父の秘密や自身の結婚破棄などを通じて、つねに深い罪の意識にとらわれ、絶望の真っ只中にありました。」(p233)ということだそうだけど、父の秘密って何??と思って調べたら、母をレイプした、みたいなことだそうだ。
ということで、西洋思想史が手軽に復習できる感じも良かったし、できるだけ平易なことばで説明しようとする感じもよく、時々出てくるイラストも分かりやすかった。東洋思想編、現代思想編、というのがあるようなので、ぜひそちらに進んでみたい。巻末にブックガイドがあって興味をそそられるし、この本が十分橋渡しの役目を果たしているように思う。同時に、やっぱりこれくらい本読まないと思想史って語れないのか、と思った。(24/09/16)
Posted by ブクログ
どこかのブックガイドから。たまたま今、ちょっとずつ哲学用語図鑑を読み進めているところだったから、タイミングとしてもバッチリかな。本新書は、あちらの図鑑から更に主要な人物にターゲットを絞り、一方で、その各人についてはもう少し掘り下げて解説する、みたいな結構。センター試験を縦軸にっていうのも、なるほど確かに、入門にはうってつけだな、と。高校卒業に至るまで、ほぼ全くノータッチの分野だから、まだまだ分からないことだらけ。けど、色んなところで目にしてきたあれやこれが、実は哲学思想から来ていた、みたいなことの多さに改めて感銘を受けた。もっと掘り下げてみないと、って気にもなる。
Posted by ブクログ
センター試験の倫理の問題を各章の冒頭にかかげて、西洋哲学史をいろどる思想家たちについての基本的な解説をおこなっている本です。
読者自身が哲学の問題に直面して考えるということを重視する、教養主義的な態度とはまったくかけ離れたスタイルの入門書です。著者の文章は、受験参考書的なわかりやすさが感じられる説明のしかたになっており、西洋哲学史についてざっくりとした知識を得ることのできます。これもまた、入門書が果たすべき目的のひとつではあるはずです。
巻末にはブックガイドが付されているので、より踏み込んで勉強してみたいという読者は、そこからもっと深く哲学の世界に入っていくことができるのではないかと思います。