あらすじ
銀座は南紺屋町にある下宿屋「静修館」。若き大家の梨木桃介は無類の世話好きだ。家事万端を見事にこなし美味しい食事を作ってくれる桃介の元を追い出されるわけにはいかぬと、小説家の仙道湧水は我儘を封印して生活している。ある日、湧水は馴染みの記者から粗悪品の醤油を打っている店があるという噂を聞きつける。それは桃介とも縁の深い店だった。桃介の曇った顔は見たくない。湧水は探偵のごとく真相解明に乗り出すのだが――。明治の下宿屋を舞台に贈る、心あたたまるミステリ。
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明治時代の東京を舞台にした連作ミステリー。それなりに有名な小説家・仙道湧水が世話になっている下宿屋は、年若い大家の梨木桃介の甲斐甲斐しさと料理上手のおかげでとても住み心地が良い。我儘で横暴な湧水も、桃介には頭が上がらない。湧水のところに次々と持ち込まれる"謎"を、桃介の手前、解いてみせることとなる。
面白かった。明治時代の東京にはまだまだ下宿屋さんが多かったんだな。家の掃除とか食事の世話とか身の回りのことをやってくれる下宿屋が、小説家とかの仕事をしている人にとっては便利なんだろう。他の人たちには、割りと強気な湧水が桃介には一生懸命気を遣っている様子がおかしかった。
「永遠の市」では、鴨川さんが不憫。鴨川さんも自身のこれまでを反省したんだろうが、謙虚な"いい人"が貧乏くじを引いたようで気の毒にも思える。明治の世に女性が好き勝手に生きるには、サチのような強かさが必要だったんだろうが。
「怪しの家」では、湧水以外に下宿屋に住む人たちも大勢登場し、湧水と桃介、過去に下宿していた蒔絵師の秋草と共にみんなで賑やかに宴会している様子が楽しそうだった。秋草が話し出した現在の家の近くにある"怪しい家"の怪談めいた話も面白い。
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表紙のイケメンに魅かれて。
美味しい食事を出してくれる下宿屋、最高ーじゃん。
出ていきたくない気持ちわかる。
別に猫かぶらなくてもいいような気もするんだが。
若干安楽椅子探偵っぽい話かな。
一応捜査、というか、色々調べてはいるけど、
読み感としては、そっち。
軽く読めるミステリー。
おもしろかった
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装丁が素敵だなぁと思って読みました。
うっすら謎解きほっこり下宿物語。
湧水さんが桃介さんのことを大好きすぎていじらしい。もはやこれは恋では!笑
そして坂口さんの毒舌に対して何かにつけて本を投げつけちゃう湧水さんに思わず笑ってしまったり。
たぶんこちらの作家さんの本は2冊目くらいなのだけど、読みやすくて登場人物が素敵で良いなぁと思います。
桃介さんと湧水さんと坂口さん、もう少し見ていたいなぁと思わせてくれるお話でした。
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帝都探偵絵図のスピンオフ?
口の悪い作家、出不精のようにいってましたが、フットワーク軽くいろいろ出かけてました。
三木笙子さんの書く人間が好き
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最初の人物紹介、背景を読んで、何か読んだ事があるなぁと思い、似たような本を読んだのか?或いはまた同じ本を手に取ったのか?
途中、やはりこれは読んだ事があるぞとなり、しかしどんな話だったっけ?と思い、結局最後まで読んだ。自分の記憶力の無さにあきれ、ある意味読んだと分かったのだからまだましか?と自分を慰める。
梨木桃介のような人物になりたい、もしくは静修館に住みたいと思う。
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2022-12これはシリーズにするのかな。主人公のキャラが弱く、周りの登場人物と並列くらいになっているのが残念です。でもこの時代の雰囲気が少し感じられて良作です。
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著者の作品は数冊読んでいますが、真っ先に思ったのが、
著者はツンデレ探偵がお好みなのかな
でした。
◉永遠の市…桃介が贔屓にしている醤油が、最近になって味が劣化しているという噂が流れ、心を痛める心優しい大屋を見た湧水は、彼のために真相究明に乗り出す。
◉障子張り替えの名手…申請前の特許の機密情報を記した書類が忽然と消失した。
◉怪しの家…内覧も多く、好条件の物件なのに、一向に売れない物件の謎。
Posted by ブクログ
銀座は南紺屋町にある下宿屋「静修館」。若き大家の梨木桃介は無類の世話好きだ。家事万端を見事にこなし美味しい食事を作ってくれる桃介の元を追い出されるわけにはいかぬと、小説家の仙道湧水は我侭を封印して生活している。ある日、湧水は馴染みの記者から粗悪品の醤油を売っている店があるという噂を聞きつける。それは桃介とも縁の深い店だった。桃介の曇った顔は見たくない。湧水は探偵のごとく真相解明に乗り出すのだが―。明治の下宿屋を舞台に贈る、心あたたまるミステリ。
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下宿に住む小説家が謎解きをする。男性大家の料理が美味しすぎて、作家として成功しているのに出ていけず、大家の前ではお行儀よくなってしまうという設定。それほどはまらなかったが雰囲気は好き。
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「帝都探偵絵図」シリーズの番外編。とは気づかないまま読み進み、最終話でようやくわかった。
探偵役は下宿屋「静修館」に住む小説家の仙道で、大家の桃介のために謎の解明に奔走する。
桃介が探偵活動には何ら関与しないのが珍しいタイプかも。
どの話も読後感がよい。
最終話では他の下宿人たちも登場するが、ほかにもスピンオフができるのだろうか。
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家事万能、何よりが飯がうまいと評判の下宿屋の大家と、下宿人、小説家。
日常の謎系ミステリー。雰囲気の良い連作でした。
大家さんにもうちょっと出張って欲しかった。笑。
シリーズになるのかしら?
Posted by ブクログ
時は明治、銀座は南紺屋町にある古いけれど居心地の良い下宿屋「静修館」。5人の若者が住むこの下宿屋を舞台にした4つの連作短編。
家事万能の大家・梨木桃介の天真爛漫な人柄と美味い料理に心酔し、人気作家になった後も離れがたく下宿している仙道湧水が、何かと持ち込まれる日常の謎を明晰な推理とふとした会話の中から解き明かす。
表紙から、もしやBLもの?と少し期待したけれどさにあらず。桃介の万能ぶりと、彼の美味しい料理に胃袋を掴まれ猫をかぶっている湧水のやり取りが好ましい。
桃介と湧水、湧水と担当編集者・坂口、それぞれのやり取りにニンマリしながら、ラストは坂口の人生を変えた「小説の力」に感じ入り、読み終わる頃にはもう、このシリーズの次作が楽しみになっている。
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『帝都』というタイトルに反応して読んでみた。
『帝都シリーズ』と同じ時期設定なのかな、と思いつつ読み進めていくと…正にその『帝都シリーズ』に登場するあの人が!こんなところに住んでいたのか。
ただ内容的にはイマイチ。
『帝都シリーズ』のようなテンポの良さと、一応人情的にケリをつける感じはあるものの、何しろ探偵役の小説家が好きになれなくて。
むしろ、大家の桃介を探偵役にして欲しかったような。ただそれだと出来すぎてて面白くないのかな。
『帝都シリーズ』でも高飛車なワトソンだから魅力的なのだし。
魅力的な貸家なのに借り手がいない『怪しの家』が一番面白かった。
Posted by ブクログ
【収録作品】永遠の市/障子張り替えの名手/怪しの家/
妖怪白湯気
〈帝都探偵絵図〉と同じ世界。「怪しの家」には、下宿人として里見高広も登場。
Posted by ブクログ
良かったけど、買うほどでもないかなぁ。
謎自体はそそられるし、種明かしも良いのだけど湧水がどうにも微妙。桃介も湧水もいいのに、この二人が絡むとなんとなくちがうよなぁと感じてしまう
Posted by ブクログ
明治時代の下宿屋「静修館」。世話好きの大家である梨木桃介(家事万能。料理が絶品)と、そこへ下宿する小説家の仙道湧水(普段はガラが悪いが大家の前では猫かぶり)が、静修館へと持ち込まれる謎を解決するために奔走する連作短編集。
湧水が小説を連載している新聞社の担当、坂口もこれまた良い感じに一筋縄ではいかない性格の白皙の青年で、この三人の下宿での描写を想像するだけで大変心が潤います。ブロマンス成分満載。
4編の短篇が入っていますが、どれも美しい物語でした。(この作家さんのお話はいつも、かならずどこかに『救い』のある物語なので心がほんわかするのです)
帝都探偵絵図シリーズの方のメインキャラであるあの人もお世話になってる下宿だけあって、チョイ役で出てきてくれてこれまた嬉しいくすぐりですね。