あらすじ
1980年から現代の日本へ、記憶の円盤に乗って時間の旅!日本の人口減少と超高齢化社会を予言したあの『なんクリ』から33年―大学生だった彼女たちは、いま50代になった。ある夏の日、自分の小説のモデルだった由利と再会したヤスオは、ふたたび恋に落ちる…日本社会の未来を透視する438の“註”に加え「文庫本化に際しての、ひとつの新たな長い註」を書き下ろし。
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Posted by ブクログ
読み出したら、しっくりくる、作者は僕の5歳年上、尊敬していたな、僕は若い頃から田中康夫を。共感できるし、でも、作者みたいにクリスタルでなかったけど、今の若者よりも楽しいことがたくさんあって、森博嗣じゃないが、いい時代だったのですね。
74ページ。引用。
”目を開けていても閉じていても、哀しいときも苦しい時も、そして嬉しい時も愉しいときも、一分一秒、時は常に変わらず過ぎていくのだ。ならば、どんなにか辛くとも目を背けず真正面から向き合い、自分で考え、自分で動くしかないじゃないか。弁解したところで、愚痴ったところで詮方ない。”
ありきたりなフレーズのようだが、僕はとても沁みた。結局、そうなんだ、自分で考えて行動するしかないんだ。
僕は入学した1980年のことをいまだに夢に見たり、考えたり、懐かしがる。それが青春ってことだろうと思うんだ。戻ろう、昔の人に会いたいとは思わないけど、当時のいろんなことを、今も考える。元クリの「なんとなくクリスタル」を過ごして、今、「33年後のなんとなく、クリスタル」がたまらなく、愛おしく、じわじわ感動してます。他の田中康夫作品を読まねばと思う。
感動しました。
時々手にとって、再読します。
ありがとうございました。
Posted by ブクログ
「なんとなく、クリスタル」を読んで、へー、田中さんってこんな文章書くんだ、面白い!と思った。
続き?なのかはわからないけど、本人(ヤスオさん)が出てくると、急にエッセイのような感じがしてヤボく感じた。小説としてはイマイチ。
Posted by ブクログ
田中康夫氏が一橋大学在学中の1980年に発表した処女作『なんとなく、クリスタル』に登場した、東京に暮らす女子大生兼ファッションモデルの主人公・由利とその女友達と、『なんとなく、クリスタル』には登場しなかった田中氏本人の33年後を、一人称で描いた作品。『文藝』2013年冬号から2014年冬号に連載、2014年11月に単行本として出版され、今般文庫化されたもの。
尚、『なんとなく、クリスタル』は、1980年の文藝賞(河出書房新社の新人賞)を受賞、1981年の芥川賞候補にもなり、発行部数100万部を超えるベストセラーとなった小説。
本文庫版では、更に、社会学者・大澤真幸と作詞家・なかにし礼による「解説にかえて」と、著者による「文庫本化に際しての、ひとつの新たな長い註」が加えられている。
私は、1980年代半ばに東京で大学生活を送ったが、当時、『なんとなく、クリスタル』(『もとクリ』)から間違いなく影響を受けたし、現在は、本作品(『いまクリ』)に登場する由利たちと同じ50代(在東京)である。
2014年に単行本が出版された直後、懐かしさのあまりに手に取ったのだが、読み切ったときは奇妙な感覚に捕らわれた。私小説である本作品には、当然ながら著者の感性・価値観がストレートに表現されており、それらに対しては少なからぬ違和感を覚えたのであるが、一方で、登場人物たちが、『もとクリ』以後の33年間、自分と同じように時代に関わってきた(関わり方の細部は問わず)ことに対して、それ以上の不思議な共感を抱かずにはいられなかったのである。
そうした意味では、本書は、読み手の世代や、『もとクリ』に近い世界を進行形で知っているか否かにより、印象の多分に異なる作品なのであろう。
そして、私にとっては、自分の33年間を振り返り、更には、由利のように「あと10年たったら、私はどうなっているんだろう」と考えるきっかけとなったことは間違いない。
(2018年7月了)
Posted by ブクログ
世代ではないけどオリジナルに衝撃を受けて続編を読みました。
著者本人の過去の栄光や、政治家としての活動の正しさ、現代日本の問題点を主張するのに登場人物達が利用されてしまったような印象。
彼女たちがどう生きてきたか、どう生きているのか、ではなく、著者本人の自伝のようでしたね。
もう少し、クリスタルの先の女性達の生き様を読みたかったな。
Posted by ブクログ
『なんとなくクリスタル』(「なんクリ」改め「もとクリ」だそう)後編のこの本『33年後のなんとなくクリスタル』(いまクリ」)は1950年後半生まれの人たちの20代前半から50代前半への軌跡。
わたしは1988年、46歳の時に「もとクリ」を読みました。1980年~81年にかけての沸騰した話題から少々遅れて。
登場人物みたいに若くはなかったけれど、それでもまだバブル期、ちょっと軽薄だけどそんな雰囲気わかると思いましたよ。なんにも考えていなかったわけでもないけど、肩パット入り大きめの洋服、ふわふわの髪型、アクセサリーをごちゃごちゃつけて、いい中年なのに派手。
さて「いまクリ」の感想。
50代になった女性たちは何かを考える女性になっていた。当たり前です。そう、いっちゃえば身も蓋もないんですが。
この本の読ませどころはページ数にして三分の一にもなる”註”とか。
しかし、その巻末に置いた”註”が読みにくかった!!「もとクリ」のように右側本文、左側”註”にすればよいのにと思いました。”註”が作者の言いたいことであるのだからなおのこと。
TVなどの映像ではわからない行動や考えが伝わっています。大病をなさってもめげずに明るくしゃれ心を失わず前向き。そういう人が多くなりました。