あらすじ
猫の血をこじらせて人間相手に恋をした!?
「不意に猫の血をこじらせて、人間相手の恋に落ちた」猫町夫妻に助けられた捨て猫の僕は、人間に化けられるという特技と、猫ゆえの成長の早さで、二歳半ながら高校に通っている。そして密かに同級生に恋心を抱いていた。
そんなある日、転校生がやってきた。そいつの正体は黒い化け猫で、僕にしつこく絡んでくる。それが面倒な日々のはじまりだった。二つ上には、白猫になってしまった先輩もいて、受験のために先輩を人間に戻すべく奮闘するのだが……。
猫町君の切ない恋の行方と短すぎる青春模様を活写し、第17回小学館文庫小説賞優秀賞を受賞。尾道出身作家のデビュー作は、「読んだ人が、もっとペットを好きになる」尾道と猫への愛に満ちあふれたファンタジックな青春小説の傑作です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
猫や犬が人間として暮らしているのが当たり前の世界。猫と人間では生きられる時間が違う。それでも猫の少年が人間の女の子に恋をした。2人の恋はどうなるのか?ラストの彼女の言葉に感動した。
Posted by ブクログ
穏やかな瀬戸内海に面した急坂とノスタルジックな路地の多い、尾道を舞台にした小説。人間の姿に化けることのできる「化け猫」が存在し、神社の狛犬が動き出してヒトの言葉を話すのだが、普通の人間が日常の一部として受け入れている。ちょっと不思議な(というか猫好きにとっては都合の良い)シチュエーション。
人間よりも8倍速で人生が進んでいくオス猫と、女子高生との恋愛はちょっと甘酸っぱく切ない。相手が30代を迎えるころには、寿命を全うするわけである。一緒に過ごせる今を大事にするために、思い切った人生の決断をするところは少し感動した。
猫の仕草とか、猫の好きな食事とか、猫の作り上げたパラレルワールドとか、「猫好き」な人の妄想を徹底的に盛り込んだ小説。作者の、尾道と猫への愛情が半端ない。
Posted by ブクログ
人間よりも猫の方が登場人物が多い、けど訳ありの猫の方が多い、そんな小説。尾道を舞台とした青春小説だけれど、ドタバタ笑いあり、涙あり、ちょっとどころじゃない不思議あり。
3話目が他と違ってファンタジーな要素多めだったけど、どの話もおもしろかった。猫町くんの能力?があやふやな感じだし、続いたら読みたい。
Posted by ブクログ
ローファンタジー
青春小説
オスの三毛猫が人間の女性に恋をした
さて、この恋の行方は…?
珈琲店を営む夫妻に拾われた仔猫の光太郎は、ぐんぐん大きくなり人間に化けて高校に通っている
クラスメイトの女子を好きになった
でも猫は絶対に人間より長く生きることはできない…
生きる相対的な速度の違いに悩む光太郎
何気なく過ごしている1日が
猫とっては人間の何倍にも相当する大切な時間
尾道を舞台にしたかけがえのない日々を描いた良作品
Posted by ブクログ
生まれつき人間に化けられる化け猫の性質を持つ主人公(猫町)が、人間になって高校生活を送りながら恋人を作ったり、主人公と同じく、高校生として生活している化け猫仲間を作ったり、なぜ化け猫の素質があるのか、その秘密を調べたりする物語だった。
化け猫が高校生として学校に通っているなど、普通の物語ではあり得ない設定だったため、少し戸惑い、驚いたが読み進めていくうちに面白いなと思った。
Posted by ブクログ
人に化けられる特技を生かして高校に通っている猫の猫町くんをはじめ、転校生の黒い化け猫、元人間の白猫、マタタビに群がる猫の大群や、裏社会を牛耳る老猫など、とにかく猫まみれのお話。
同級生に恋をしたり、転校生にしつこく絡まれたり、白猫になった先輩を人間に戻すお手伝いをしたりと、面倒事に巻き込まれながらも青春を謳歌している猫町くんの毎日が描かれている。
短命さであったり、血統であったり、立場であったりと、猫たちそれぞれが思い悩みながら日々を大切に生きている様子が愛くるしかった。
夙川先生と狛犬たちがお気に入りです。