【感想・ネタバレ】雪ぐ人 えん罪弁護士 今村 核のレビュー

あらすじ

感動を呼んだドキュメンタリー番組、NHK『ブレイブ 勇敢なる者「えん罪弁護士」』(2016年11月放送)の出版化。大きな身体に、白髪交じりのボサボサ頭。ドラマなどで観る敏腕弁護士とはかけ離れた風貌をしたその男は、「罪を負わされた被告人のえん罪」と、「自身の中に積った心のおり」の両者を雪ぐために司法の壁に立ち向かう──。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

この弁護士さん自身が書かれた著書を読みたくなりましたね。

この先生の、「信念を貫くこと=生きる意味」は採算を度外視しなくては成り立たない。しかし採算度外視のままでそれをし続けていけば自分の人生は破滅してしまう。その葛藤がすごかった。描かれた孤独の様相が壮絶だった。
ここに描かれたこの弁護士さんの孤独は私たちがこの著書を読んで知るものよりもはるかに実質は過酷だと感じます。私たちはかろうじて一端を知るのみで、体感では理解しえないでしょう。

冤罪事件の実際、そしてそれを覆すことの想像を絶する困難と日本の司法の現状、読めば読むほど無実である人間が犯罪に巻き込まれることの恐ろしさを感じます。

そしてこの弁護士さんの人間性の真摯さもさることながら、そのお父さんの人間的魅力にも大変心惹かれました。
こういう親子関係、というのもあるんだなということを知ることが出来てそこまで掘り下げて取材した著者にも敬意を感じます。愛情表現というものの一筋縄ではいかない人間の感情の複雑さを垣間見た気がしました。

司法制度、感情を交えず冷徹に事実を積み上げていくという科学捜査とその根拠の信頼性、それを行う執念と根気、人としての真摯な生き方、信念を貫く方法、信じられる人間を得るということ、家族との関係性などなど…いろいろな点から「生きる」ということを考えさせられる良著です。中々手に取られにくい一冊かと思いますが、たくさんの方に読んで欲しいですね。

0
2018年11月11日

「ノンフィクション」ランキング