あらすじ
内戦が続き無政府状態のソマリア。だがそこには、現代のテクノロジーと伝統的な氏族社会が融合した摩訶不思議な世界が広がっていた。ベテランジャーナリスト・ワイヤッブや22歳にして南部ソマリアの首都で支局長を務める剛腕美女ハムディらに導かれて、著者はソマリ世界に深く足を踏み入れていく――。世界で最も危険なエリアの真実見たり! “片想い”炸裂の過激ノンフィクション。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
2018年に読んだ本BEST10
(発行年が2018年というわけではない)
第10位 : 『恋するソマリア / 高野秀行』
・ジャーナリスト高野秀行氏による、アフリカ大陸東部の国「ソマリア」を取材したノンフィクション。
・ソマリアという国は、内戦状態の「南部ソマリア」と、平和な地域「ソマリランド」(国際的には未承認でソマリア連邦共和国の一部)など、独立した地域から構成される。描かれるのは、民主化のために言論で戦うジャーナリストたち、南部ソマリアで命の危険にさらされながらも平然と暮らす市民、それとは対照的に、ソマリランドの平和な家族の食卓など。混乱と平和の隣り合わせ、そのギャップに読み手側の想像力がなかなか追いつかない。そして、過去の民族・国境の歴史的経緯を知ると、今の状況を変えることの難しさに、やるせない気持ちになる。
・世界各国を飛び回る著者曰く、民族・国民を理解するためには人間集団を形作る三大要素「言語」「料理」「音楽(+踊り)」を身に付けること。納得。
・とにかく著者の「謎の国ソマリアを知りたい」「ソマリ人と触れ合いたい」という、知的好奇心・行動力には驚かされる。ただし、ソマリ人たちは彼にそんなに興味ないので、一方通行な片思いなのが切ない。それ程までに著者が恋い焦がれるソマリア。でも、この本を読んでも、ソマリアに行きたいとは一切思わないけど、、、
・この手の海外ルポルタージュを読むと、「我々日本人が理解できない世界の存在」を意識させられる。そして、こちらとあちら、どちらが幸せで、どちらが人間として正しい姿なのか、みたいな俯瞰した視点を持つことが出来る(ような気がする)。