あらすじ
話題の映画原作、待望の増補新版!
濱口竜介監督 東出昌大主演
第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品
2018年9月1日全国公開
運命の人は二人いた……
芥川賞作家の代表長篇に加え、
森泉岳土のマンガとコラボした魅惑の書き下ろし小説を収録。
謎の男・麦に出会いたちまち恋に落ちた朝子。だが彼はほどなく姿を消す。三年後、東京に引っ越した朝子は、麦に生き写しの男と出会う……そっくりだから好きになったのか?好きになったから、そっくりに見えるのか?運命の恋を描く野間文芸新人賞受賞作。
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Posted by ブクログ
主人公の置かれているその瞬間の情景と空気感を文章で伝えられる珍しいタイプの作家だと思います。
主人公が若い時は「若い」と分かる空気感と情景の表現であるため、昔を思い出し郷愁にかられる描写がいくつもありました。(当方トシなので)
しかしこれは甘い恋愛小説ではない!
主人公は(おそらく)守ってあげたいタイプの可愛い女の子で、自己中な性格でも友だちがいて男性にも好意を持ってもらえて…
若い女性特有の「根拠のない無敵感」が分かる描写が中盤まで続き、後半で30歳を超えた主人公を取り巻く現実が徐々に読者に開示されます。
これまでやってきた事のツケが回ってきており、職や友達を失い、貯金もない。
「根拠のない無敵感」が通用するのは若い時だけ。
人間性に難があっても若い時はノリで恋人や友達になれるけど、歳を重ねると付き合う人間を選ぶようになる。
しかしそのことに気づいていない主人公の未来が想像できるラストまで、秀逸でした。
Posted by ブクログ
描写の精緻さ、爽快さに対して周りの人間への淡々とした無関心さが凄まじい。ただし、麦をのぞく。
主人公の目(さあちゃんずアイ)を通して見た話だと思えば、納得できるが、では主人公は何を考えて何をしてるのかほとんどわからない。
彼女の選択した仕事や行動に対する心理描写はほぼわからない。わかるのは麦の外見や行動、表面に出るところが好きということだけ。
その好きに至るプロセスもほぼわからない。最短距離で好きになるため、読者からすると理解できないため怖いとすら思う。
しかし、周りの人間や環境、風景の描写は綺麗で巧みなため、周辺の細部は浮き上がるが、主人公は空白という形で浮かびあがってくる。
浮かびあがってくるのは主人公の異常に見える行動(本人の中では好きに対して合理的)に対して、それを怖いと感じさせる積み上げと説得力があってすごい作品でした。
Posted by ブクログ
朝子は優柔不断でひどい人かもしれないけれど、恋愛の局面でそういうのが出てこないだけで、誰にでも(私にも)そういうずるさはあるだろうから、朝子のことを責められないなぁ…と思った。誰に何を言われても、何もかも失っても、自分を貫く強さを見習いたいと思う。
Posted by ブクログ
何でこんな映画を観たのだろう、とまず思いました。
一人でどこか遠くへ行きたくて、久しぶりに何か映画を観に行こうと決めました。
映画は内容は本当に何でもよかったので、当てずっぽうでこれにしました。
内容を知っていたらむしろ観なかったと思います。
ストーリー云々より、主人公たちは、みんな若くてきらきらしていました。
まぶしかったです。
やっぱり若者の恋愛映画なんてやめておけばよかったのかな?と悲しくなってしまいました。
帰りのバスの中から見た街中のクリスマスのイルミネーションの夜景までとってもまぶしすぎて、見ていて淋しくなってしまいました。