あらすじ
ゴールデンウィーク明けの朝、出勤した警視庁捜査一課・碓氷警部補の元に、都内で起こった二件の自殺と二件の殺人の報が入る。一見関連性がないように見える各事件だが、発生時刻はすべて同じ日の午後十一時だという。さらにその後、同日同時刻に別で三件の事件が起きていたことが判明。第五係と、再度捜査協力に訪れた心理調査官・藤森は、意外な共通点に気づくが。
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Posted by ブクログ
シリーズ第6弾にして心理調査官藤森紗英が再登場し、またも碓氷とのコンビで、同じ日付、同じ時刻に発生した殺人事件2件、自殺2件、そして強姦2件、盗撮1件、計7件の事件のつながりの解明に挑みます。
殺人事件で確保した被疑者の供述が要領を得ない様子があり、だったらあの心理調査官が出てくればいいのに、と思っていたところに登場したものですから、個人的にはすごく盛り上がりました。
タイトルの「マインド」、また7つの事件の裏になにかつながりがありそう、被疑者は犯行当時のことをよく覚えていない、となればマインドコントロール的なものが介在しているであろうことは、かなりの読者が気付いていたのではないかと思いますが、それでも容疑者の水沢とのやりとりはさながら高度な心理戦の様相を呈していて、次々とページを読み進めてしまいます。
そして黒幕である持田と藤森の対峙も非常に読み応えがありました。直接対面しているシーンよりもむしろ、持田の足取りや行動を読み解こうと藤森が推理力を駆使するシーンをこそ推します。果たして、藤森の読み通りの結果であるのかが知りたくて、またしてもページをめくる手が止まりません。
いわば”静”なる戦いというべきでしょうか、力や迫力を感じさせる”動”の展開とはまた違った魅力がありますね。
それにしてもシリーズが進むにつれて、碓氷による自身の内面を描写するシーンが増えましたね。また捜査一課の係長や課長など碓氷の周辺の人物の登場シーンも増えました。1作目ではちょっぴりアウトローなイメージがあった碓氷ですが、なかなかどうして組織、いやチームといったほうがしっくりくるでしょうか、そのなかで自身の居場所を確立し、周囲からもその実力を認められ、碓氷本人が思っている以上の存在感なのだと思います。
そして家庭でも、本人が思っている以上に家族は碓氷のことを父親として、夫として想っている、そんなことが伝わってくるラストシーンでした。