あらすじ
素朴なギモンは貴重な情報源/人に説明して自分の理解を深める/異分野の知恵を借りて停滞を破る/想定外の問いで本音を引き出す――記者から「週刊こどもニュース」キャスターへ“左遷”されるも、お茶の間の人気を獲得し、「分かりやすさ」を武器にしてフリージャーナリストに転身した著者が、普段の環境を離れ、領域を跨いで学び続けることの効用と、積極的に“移動”することの重要性を説く、私たちのための「越境のススメ」。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
時事問題をまとめた本ではなく、池上氏の仕事論
人生論を語った本です。
ここで言う「越境」とは、人生においては何が
役に立つかわからない。「こんなことをしても
ムダでは?」と思わず、目の前の課題をこなして
行きなさい。そうすればそれが役立つ日が必ず
くる。
スティーブジョブスも似たようなことを言って
いましたね。
それから、一つの場所に止まるな、力を蓄えた
のなら現状から飛び出して挑戦しろ、という
意味も込められています。
この時期、意にそぐわない人事異動を受けた人が
読むべき一冊です。
Posted by ブクログ
質問力を磨く、というより自分の関心の枠を広げるあるいは自分の関心と事物を結びつけてしまう能力を磨く本。
内容はかなり池上さんのキャリアを改めて振り返るものになっていて、ノウハウ的なものではない。でも、それがいい。体験性は良い本の条件だと思う。
しばしば政権に対する皮肉があるのもいい。自分は、おもねる言説も、叩くのが目的化した言説も入ってこない。けど、意味がある文脈で、何気なく皮肉が書いてるとスッと受け入れられる。
心に残ったのは、複雑なものを簡単にするのでは意味がなくて、複雑なものを複雑なままでわかりやすくする、といった記述。あと、本を読むのは「いつか」役に立つという記述。もどかしいけど、真理なんかな。
Posted by ブクログ
テーマは「越境」。自らの半生やリベラル・アーツの重要性などを、脱線を交えつつ語っている。
ビジネスパーソン向けということだが、まさに色々な分野にも応用できる考え方が書かれている。ネットでも、自らの好きなジャンルに固執してそこに閉じこもり、ほとんど精神病の様相を呈しているアニメファンの人をよく見かける。好きな気持ちをバネに「越境」すれば、もっと楽しいことがいっぱいあるだろうに、何とももったいないと思う。
Posted by ブクログ
何か読んでいて自分が情けなくなった。
池上さんのようにストイックに知を追及する生き方が必ずしも絶対素晴らしいという訳ではなくて、気楽に生きたい人達には全く参考にならない本だと思う。
でも自分のように、目標があり少しでも自分の人生を変えたい人種には頭を鈍器で何十回も叩かれたくらい衝撃的だった。
池上さんのため息が出るような努力には遠く及ばないものの、少しでも近づきたいと強く強く思った一冊。
それとその池上さんでさえ足元にも及ばないと言わしめる人物が数人いることは素直に驚き。
上には上がいるとはいえレベル高すぎ。
Posted by ブクログ
この1冊だけで、幅広い話題にふれることができ、これもまた「知の越境」の1つかもしれないと思う。
印象に残ったエッセンスは以下。
・アウトプットを意識したインプット
・日本は1つのことをやり通すことがいいという思想があるが、それが選択肢を狭めている可能性がある
・すぐに役立つものは、すぐに役立たなくなる
・質問を抑え込むのは、本人の成長の機会ばかりでなく、周りの人も賢くなる機会を奪う
・人をだしに使う質問法
・越境の醍醐味(無知の知、未知を知り停滞を破る、共通点を見出す、多数の視点を持つ/自分を相対化)
特に越境の醍醐味に関して、分野の狭間に橋を架ける発想や、トヨタとメルセデスの話で信頼関係の重要性と売りたいものの周りを演出するという視点は、ぜひ取り入れていきたい。
直接的に「質問力を磨く」ハウツー本ではないが、質問力を磨くためのマインドは少しわかった気がする。また、何より今の自分のおかれた環境からすると、励まされたのでよかった。
Posted by ブクログ
知の越境法~「質問力」を磨く~ (光文社新書) 2018/6/20
知らないことを知って、停滞を破る
2018年12月14日記述
池上彰氏による著作。
2018年6月20日初版1刷発行。
帯に左遷云々と書かれている。
しかし池上氏の経歴を見る限り左遷とは思えないが・・・
その辺りは方便のように感じた。
組織人である以上、何らかの人事異動は誰にとっても
発生するものに違いない。
はじめにに書かれているのだが、
「自分にとって異なる文化と接すること。
自分が所属している組織に異質な存在を送り込むこと。
それによって多様性を生み出すこと。
自分を、そして組織を活性化するには、それが必要なのではないでしょうか。
越境の意味はそこにあると考えます。」
本書の大半は池上氏の半生、職業人生の棚卸しとも言える。
内容的に「記者になりたい」と一部かぶる。
印象に残った部分を紹介してみたい
専門家と渡り合えるところまで来たなと自分で思えるのはどういうときか?
→専門用語を使って説明する専門家の言葉を瞬時に小学生にも分かる言葉に翻訳して説明できることです。
他人に説明できるまでに理解できたと言えるようになる為には自分が学んだり見聞きしたりした内容をどう相手に伝えるかを常に意識することが重要です。
そうだったのか現代史の参考図書は131冊に及んだ。
そうだったのかアメリカの主要参考文献は146冊。
(今、自称通史として売り出している百田尚樹氏の日本国紀には参考文献の記載がまるで無い。Wikipediaからの引用も多いと判明。百田尚樹氏には池上彰氏の姿勢を見習って欲しいものだ)
質問をする為には何が分からないか分かっていないと駄目なのです。
越境の醍醐味
1知らないということを知る。
「無知の知」(こどもの視点)
2知らないことを知って、停滞を破る
(未知の人や土地に越境する)
3離れているものどうしに共通点を見出す
(イランの聖者廟(びょう)
4知らないことを知ることで多数の視点を持つ。自分を相対化する
こういう多角的な視点を持つことは、本来は非常に大事なことなのですが、いまは多くの人が、その面倒くさい作業に耐えられなくなりつつあります。
自分のいままでの意見は変えたくない。世界が複雑化し、物事の白黒が簡単にはつけられなくなってきているだけに、人は複雑なことを考えたくなくなっています。
フェイクニュースに惑わさらないためには、面倒臭く、地味で、長い時間がかかっても、意見を突き合わせ、つまり越境して自分の視点を鍛えるしかありません。
そのときに役立つのは、信頼性のある新聞などのメディアだろうと思います。
個人がやっている、聞いたこともないようなウェブサイトは、注意が必要です。
裏を取る、つまり確認をとることを知らない人たちが、大勢ネットに関わっているからです。
もう一つ、記事以外にアーカイブがしっかりしているかどうか、というのもサイトを判断する基準になります。
そのサイトに、過去の記事が検証できる形で掲載されているか、ということです。
過去の記事を検索すれば、とんでもないことを主張していたりしないか、見通しを間違えていたりしなかったか検証できます。
検証できなければ、検証に耐えられない文章ばかりを書いてきたのではないかと疑ってかかることです。
過去の予測が外れたことを率直に認める記事を掲載していた場合は、信頼度が高まります。
予測が外れた記事をこっそり削除する。
こういう態度を取っていては、信頼できません。
↑の池上氏の指摘は大変重要だと思う。
本書で一番重要な点だと思う。
今でも、いや昔以上にネット上で胡散臭いニュースが増加したように思う。
皮肉にも大手メディアがなぜ大切なのかを示していると思う。
自分もNHKオンラインをまず確認するし。
Posted by ブクログ
なんとなくタイトルに惹かれて購入。
池上さんの本はいくつか読んだことがあるので、
同じような内容も散見された。
が、
最後にきて、びっくり。
不本意な仕事を任された時の心構え。
「越境」したと思って、がんばる。
まさに、今の私の状況ではありませんか。
そうか、読むべくして読んだ本だったのか。
きっと、この先も「越境」は続く。
その時に、人間の真価が現れる。
頑張れ、私。
Posted by ブクログ
一度身につけた知識は別の領域でいきることもある。自らが望んだ業務でなくとも、そこで身につけたことはかならず将来なにかに活かすことができるのだと思う。
置かれた場所で咲きなさい、を思い出した。
サブタイトルが質問力であることを読後に知ったが、タイトルにするほど質問力には触れられていない。
Posted by ブクログ
池上さんが、自らのキャリアを振り返り、いろいろな分野で能動的に知識を身に着け、経験を積んできたことが役に立ったとアドバイスされている一冊。確かに、会社で意にそぐわない仕事をすることになっても、前向きに取り組んでいけば、あとで必ず何かの役に立つ。また、いろんな人とつきあったり、さまざまな分野の本も読むことは、自然と自分ができることの幅を広げてくれる。
池上さんがおっしゃる越境というのは、好奇心と勇気がベースに必要となるものと思いますが、それらは年をとってくると、徐々に失いがちなものでもありますね。人生100年といわれますが、いつまでも好奇心と勇気を持って、越境していきたいものです。
Posted by ブクログ
<目次>
はじめに
第1章 「越境する人間」の時代
第2章 私はこうして越境してきた
第3章 リベラルアーツは越境を誘う
第4章 異境へ、未知の人へ
第5章 「越境」の醍醐味
第6章 越境のために質問力を磨く
終章 越境=左遷論
<内容>
専門分野のプロは多くいるが、ちょっと越境すると「私は専門外」となってしまう。しかし池上氏は、NHKの記者からキャスター、「こどもニュース」と必然的に越境してきたが、そのたびに自らに課題を課して、自らを磨いてきた結果、現在のような活躍に繋がっている。その過程の話と、「リベラルアーツ」=「越境者」の観点から、スペシャリストよりもゼネラリストをめざせ、と説く。役に立つフレーズが多くちりばめられている、役に立つ本である。
Posted by ブクログ
TVなどでおなじみの池上さんの1冊。
冒頭に「年齢を重ねれば越境の機会が減る。
無理にでもその機会を作る必要がある。」
「進歩が止まった、どうも沈みがちだ、すっきしない。
そう思ったときにちょっといつもの道を外れ、
隣の道を進んでみる。角度が違っただけで風景が
違って見えます。」と書かれていたのがすごく印象的だった。
Posted by ブクログ
左遷など、自らが望まない境遇に置かれても、前向きに取り組む姿勢には脱帽する。それによって、ジェネラリストとしての経験を積んだという。
著者は、NHK入社後、地方勤務を経て、東京の社会部で10年勤務した後、「首都圏ニュース」をキャスターとして5年、「週刊こどもニュース」を11年担当した。解説委員になることを希望したが叶わず、専門性がない反面、幅広く何でも知っているおり、基本からわかりやすく解説することが自分の強みと気づいた。本を書く仕事が少しずつ来るようになったことから、54歳でNHKを退職した。
Posted by ブクログ
池上さんが、いかに学んできたのか、自伝的な内容を中心とした本。
これはこれで読み応えがあって面白いのだけど、「質問力」は全体の1/6もないかな。質問の考え方について解説があるわけでもないので注意。
異分野に身をおく時に、学び、糧にするポイント4つ
・無知の知。知らないということを知る
・知らないことを知って、停滞を破る(行動する)
・既知のものとの共通点を見出す
・自分を相対化する。多数の視点を持つ。
「愚かな質問はない、あるのは愚かな答えだけだ」(だから積極的に質問を)との言葉が紹介されていたけど、出所はどこだろう。
良い質問ができなければならない、という価値観の意見や本ばかりみてきたので新鮮だった。
質問力として紹介されてる事例は、相当に相手との距離感を読む力を要求されるもののような気がする。
・遠慮しない。ぬけぬけとした質問
・臨機応変に。事前の準備に固執せず、深掘りできそうな時はつっこむ
・アイスブレイク大事。相手との距離感を詰めるには45度の位置に座る
・馬鹿な質問、初歩の質問をする。
相手の反応で、相手の程度が分かる。
・人をダシに使う。「視聴者に分かるように〜」、「うちのカミさんが〜」みたいな。
・相手への尊敬
・想定外の質問をする。警戒心を解いたり、アイスブレイク的に。
Posted by ブクログ
池上さんの経歴をよく知らなかったが、あれだけ広く知識を持っていることに納得した。どこで何をすることになっても謙虚に学び続けた結果だと思う。
越境を肯定している内容を読んで少し安堵出来た。
部署異動のタイミングにこの本を差し出してくれた同僚に心から感謝したい。
Posted by ブクログ
質問の仕方に関する本というよりは、池上彰の自伝のような本だった。期待した内容とはちょっと違ったが、これはこれで興味深い。人間の記憶は神経細胞が物理的に繋がり、パターンを作ることで形成されるという話を思い出した。パターンには複数の記憶が結びついているため、ある記憶が呼び水となって思いもよらないひらめきが生まれるという話だったと思う。越境を繰り返すことで、より複雑なネットワークが頭の中に作られるのだろう。個人的には「ゆるやかな演繹法」というアイデアが面白かった。結局のところ、偶然の産物を得るためには周到な準備が必要ということなのか。もっと勉強しよう。
Posted by ブクログ
池上さんの相変わらず読みやすい文章。
内容としては以前の本と似ていて「週刊こどもニュース」をやっていた時の経験から子供にもわかるように説明できるようになって初めて自分の知識になるということ。
学生時代のジャーナリスト下積み時代に触れてるのはこの本が最初じゃないかなと。
左遷について非常にポジティブに書かれているので会社などで今そういうポジションの方にもオススメです。
Posted by ブクログ
知の巨人、池上彰さんが越境を繰り返してきたことによって今があると語り自らの越境方法について語っている本書。
ターゲットがビジネスマン向けだからかいつもの池上さんの本より少し難解。
老若男女、様々な階層の人に向けて話ができるのが池上さんのすごいところ。
内容としては自発的、受動的かは関係なくそこで新たな知識を手にし、それらを組み合わせることによって一段階自分の教養力を上げることができるという話。
ホリエモンの語っている多動力とほとんど同じ話のように感じる。
一見すると対照的に見える2人が同じようなことを話しているのはとても興味深い。
きっとこれが真理なのだろう。