【感想・ネタバレ】パンツが見える。 羞恥心の現代史のレビュー

あらすじ

人がパンチラを喜ぶようになったのは、たかだか50年前のこと。パンツをはいていない女店員が、陰部を見られるのを恥じて墜落死したという「白木屋ズロース伝説」は眉唾だ……。「パンツ」をめぐる感性の興亡をたどる、思索の結実。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルと表紙だけ見ると「引く」タイプの本ですが、非常に真面目に「パンツが見えることに対する女性たちの羞恥心」がいつ頃、どのように作られていったのかについて述べられています。著者が(多少のスケベ心は当然あるにしろ)真剣にこのテーマに取り組んでいるということは、本書で取り上げられている参考文献や新聞記事などが非常に多いことからも分かります。

女性が下着を日常的に身につけるようになったのは洋装が普及してから、という漠然とした知識はありましたが、その辺は服飾史とかを繙けば簡単に調べられるのでしょう。一方で、羞恥心などといった人の「感覚」に関する歴史は、調べようと思ってもなかなか難しいと思います。その点、注目されにくい(と言うか、特にこのテーマについては注目しても表に出そうと思わない人が恐らく大多数)と思われるテーマを引き合いに出して一冊の本にした著者の気力に脱帽です。

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2014年05月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

小説や新聞,漫画などに書かれているパンツがらみの文を丁寧に拾って,ノーパンからズロース,パンツ,そしてパンチラへと変遷する女性,男性の意識を論証していて,もうパンツは結構というぐらい読み応えあり.

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2023年01月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

井上氏は建築史の専門家だそうですが、後書きでこれからは風俗史の専門家と名乗ろうかとのこと。確かに日本の女性がパンツをはく歴史の研究はそれに値する内容でしょう。良くもここまで調べたと思う執念で過去の新聞・雑誌・小説から探査しています。1933年の白木屋の火災まではノンズロで全て丸見えだったが、白木屋火災をきっかけとして日本女性がズロースを穿くようになったという言い伝えは一部が事実だとしても、恥ずかしくて飛び降りることが出来ずに死亡したのは俗説であると否定します。当時の風習から丸見えになることは度々あり、死ぬ危険を前にして決して恥ずかしがっていたわけではないのだそうです。それを繊維会社が宣伝目的で使ったことは事実であり、広まっていったとのことです。白木屋火災で死亡した8人の女性の死因を探求から本は始まります。白木屋以降もパンツがなかなか普及しなかった理由。そしてパンツが局部を隠すようになって安心感で、パンツが見えることを恥ずかっていたわけではないこと、それを恥ずかしいと思い出したのは1950年代になってからだということ。そして男性もパンツが見えることに喜びを見出したのは1950年代までであり、それまではむしろ「丸見えでなくなったことへの淋しさ」を訴える文章が多く見えること。そしてズロースからスキャンティ、そしてパンティの歴史なども詳細に調べています。よくもここまで、と一寸呆れてしまうような迫力です。そしてそのことへの言い訳ともいうべき後書きも面白いです。井上氏は「つくられた桂離宮神話」の研究においても恥ずかしい部分への探究の喜びを追求しているということなのです。

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2013年08月24日

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