あらすじ
気鋭のミステリ作家が挑む「山岳×日常の謎」の新機軸!
架空の山小屋を舞台にそこで起こる不思議な事件を解決していく中編集。
第一話:晩秋。小屋の窓から見えた人魂の正体は?
第二話:3月。新雪が積もった離れの部屋で男が倒れていた。
周囲に足跡はない。これは密室?
第三話:梅雨。車を停めて山に登り、下りてきたら車の位置が変わっていた。
キーはロックされていたはずなのに。
第四話:7月。登山道の指導標が3年連続で故意に動かされた。
いったいなぜ?
第五話:9月。7年前に起きた失踪事件。
失踪した男が琴乃木山荘の従業員になっていた!?
第六話:晩秋。山荘玄関の看板が消えた。
見つかったのはなんと山頂だった。
第七話:冬。絵里は山荘のバイトを辞めるか迷っていた。
ある暗号を解けばその決断ができるはず。
暗号が解けたとき現われた驚愕の真実とは!
※本書は、山岳雑誌『山と溪谷』2017年4月号~2018年3月号に連載された山岳小説に書き下ろし一編を加えて単行本化したものです。
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Posted by ブクログ
バリエーションに富んでいて、飽きずに読めた。第一話から、主人公が下界に何か気掛かりなことを残していることが示唆されていて、それが7つの短編をゆるくつないでいたように思う。
山荘という容疑者もやれることも限られた条件で、よくぞここまで色とりどりのストーリーを作り上げるものだなぁと思った。
Posted by ブクログ
第一話は、琴乃木山荘の窓から見えた奇妙な光が話の中心。
人魂のようなその光は、幽霊ではないかと周囲をざわつかせる。
何が原因で光が生じたのか、その背後にある真相が探られる。
第二話は、雪に閉ざされた離れの部屋で男性が倒れているのが見つかる。
周囲には足跡がなく、完全な密室状態。
どうやってこの状況が生まれたのか、謎が解き明かされる。
第三話は、登山者が駐車場に停めた車が、戻ってきたときには別の場所に移動していたという事件。
車は施錠されており、誰がどうやって動かしたのかが問われる。
第四話は、登山道の指導標が3年連続で動かされているという不可解な出来事。
誰が何のためにそんなことをしているのか、その意図と方法が明らかになる。
第五話は、7年前に失踪した男性が突然、琴乃木山荘の従業員として現れる。
失踪の経緯と彼の再登場に隠された秘密が紐解かれる。
この短編集は、山の静けさや厳しさを感じさせる舞台設定が、ミステリーの雰囲気を一層引き立てている。
各話とも、日常の中の小さな違和感から始まり、論理的な推理で解決に至る展開が面白い。
山岳ミステリーが好きな人や、軽快で読みやすい短編を楽しみたい人に薦めたい一冊だ。