あらすじ
中国の唐代末期。遊牧民の有力者を父親に持つボギレは、その能力を河東の王・李克用に見いだされ、その仮子となる。やがて、李克用の息子・李存勗が皇帝になるが、彼の政治を顧みない態度に、李嗣源の不満は高まっていく。稀代の名君を描く中国歴史巨編。
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Posted by ブクログ
上下巻あわせての感想です。
李嗣源がとても地味で黙々と任務を果たすタイプなので、あまり主人公っぽくはありません。上巻は、拾った少女とのロマンスなどがありますが、下巻は結ばれたはずの少女の出番は最後の最後の方までさっぱりありませんし、それどころか50ページ以上、李嗣源自身の出番が無かったりします。
ですから、李嗣源の小説というより、李嗣源の生きた時代の小説と見たほうが正しいです。場面も周りの十国にポンポンとびますし。既刊に「朱温」というのがでてますが、これが李嗣源より少し前の人なので、おそらく、続けて読めば唐末からの流れが小説で読めそうです。
残念なところを上げれば
・あまり主人公としての活躍が無い。名将って言われてますけど、作品中華々しい勝利のシーンとかの記憶がない。青年期に15年一気に話が進むので、中年を飛ばして、いきなり初老になります。
・主語が変わってるのに書いてなかったりする文章があって読みづらい。
・場面転換が急だったりする。また、十国の話が色々入ってきます。五代十国という時代をみるにはいいのですが、李嗣源の活躍を増やしたほうが小説的には面白いと思う。例えば、楚と南漢の戦争の描写なんかはほんとにいるのかと思う。