【感想・ネタバレ】六〇年安保 センチメンタル・ジャーニーのレビュー

あらすじ

かつて保守派の論客としてマスコミを賑わせた西部邁氏が、今年1月、78歳で自死した。
その言論活動の原点は、日米安保条約に反対する武力闘争「六〇年安保」。
本書は、1986(昭和61)年に著者がはじめて当時の闘争を振り返ったもので、共に戦った盟友たちの内面の葛藤にまで踏み込み、あの闘争とは何だったのかを問い直す。そこには崇高な思想よりも若者としての焦燥感、虚無感などが色濃く現れざるを得ない。「空虚な祭典」の中にいた「哀しき勇者たち」を、著者は時に愛をもって、時に突き放して語っていく。

【目次】
序章 空虚な祭典―-安保闘争 ブント 私
第一章 哀しき勇者――唐牛健太郎
第二章 優しい破壊者――篠田邦雄
第三章 純な「裏切者」――東原吉伸
第四章 苦悩せる理想家――島成郎
第五章 善良なる策略家――森田実
第六章 寡黙な煽動家――長崎浩
終章 充実への幻想――思い出の人々
あとがき

解説 保阪正康

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Posted by ブクログ

2018年初頭に入水自殺した60年安保世代のセンチメンタルジャーニー。同時代のブント同志諸氏への追悼文。
一読した印象で強く感じたのは、著者が60年安保闘争に関わったのは東大入学直ぐの教養部時代であり、本郷のブント中心部とのズレがあり、教養部手握の必要性から行動左翼的に運動に関わっている。このあたりは、本郷のブント中心部が前歴に武装共産党時代の精神を引き継ぐものとしての自己確立と趣きを異にしており、それが著者の後年の思想展開(保守派)に繋がっていると考えている。
更には、自己確立の末の他者を巻き込んでの入水自殺という自己処理の曖昧さに繋がっている。
しかしながら、著者の人間把握は本書で秀逸なまでに書き込まれており、間違い無く時代を代表する論客であったと思っている。青春時代の行動については赤裸々に自己体験を語っていて、駒場時代のボルシェビーキー選挙の票の誤魔化しなど現代の暗部に通じるメカニズムを熟知している。半批判しながら敬愛の念を込めて!

0
2018年09月25日

Posted by ブクログ

センチメンタルジャーニーとはうまい表題を付けたもんだ。
西部氏の20前後がよくわかる。
それに比べて同年代の時の我を見ると、全く自分がない池に浮かぶ落ち葉のように浮遊しているだけだった。
これをよく理解してから連合赤軍やあさま山荘事件の一連の出来事を見ていかなないと、点での理解で線や面の理解ができなと思う。
自裁されずの、もっと過去を語ってほしかったと思う。
西部氏をテレビに出して自由にしゃべらしたデレクターに御礼を言いたい。
それに引き換え最近のテレビは本当につまらない

0
2021年12月24日

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