【感想・ネタバレ】望月のあと 覚書源氏物語『若菜』のレビュー

あらすじ

平安の都は盗賊やつけ火が横行し、乱れはじめていた。だが、そんな世情をよそに、藤原道長は「この世をばわが世とぞ思う……」と歌に詠むほど、栄華を極めていた。紫式部はといえば『源氏物語』の人気に困惑気味の日々。そんななか、式部が訪れたあるお屋敷に、道長が瑠璃という謎の姫君を密かに住まわせていることを知る。式部はこの瑠璃姫と道長になぞらえて物語を書きはじめたものの、次第に現実と物語が重なってきて……。瑠璃姫とはいったい何者なのか? 式部が時の権力者に対して仕掛けた雅な意趣返しとは? 『源氏物語』をめぐる謎を解き明かす、平安王朝推理絵巻第3弾!/解説=荻原規子

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Posted by ブクログ

ネタバレ

あとがきで作者自身が書いているが“筆者の書きたいのは「源氏物語メイキング」なのだ”。ということで玉鬘十帖のメイキング秘話が描かれている。これは先日読んだ荻原規子の『私の源氏物語ノート』とほぼ一致する(玉鬘系はスピンオフとして書かれたとする説)。森谷説は「源氏物語の熱心な読者から空白の期間を指摘され、その時期を埋めるための挿入話として玉鬘系が書かれた。かつ『若菜』上下が長く暗い話なので執筆に時間がかかるため煙幕としての提供された」というもの。やっぱり作家の頭の中って凄いなぁと感服。

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2024年10月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

シリーズ3作目
来年の大河ドラマを前に「源氏物語」に因んだ本を読もうかと探していたら、出てた!知らなかった!あわてて読む。
すでに前作の記憶が怪しくて残念だけど、この本だけでもかなり楽しめる。

和泉からの依頼により、式部は道長が瑠璃という姫を密かに住まわせていることを知る。瑠璃姫とは何者なのか。
源氏物語の続編を周囲から催促されていた式部は、瑠璃姫をモデルにした物語を描き始め。

前半は道長サイドから話が進んでいく。
一条帝が儚くなり、東宮に孫をつけたものの、新帝とは合わず、娘・姸子には姫しか誕生せず、悶々とする道長。
それに合わせたように、京では天候不順と付け火が相次いでいた。
傲慢でどれもこれも「俺がやってやった」とふんぞり返ってる道長が憎たらしくて、思い通りにならないことにイラついてることすらも、腹立たしい展開。
そんな道長の栄華の陰で内裏や館の再建に駆り出される貧しい人々。
今回も活躍する阿手木の快活さにホッとして、童子の糸丸の純粋さに救われる。
式部の描く「源氏物語」が効果的に出てきて楽しい。
玉鬘で道長を翻弄して、若菜上下でヒヤリとさせている。行動が制限されながらも強かにやり返す女性たちにニヤニヤする。
もう一度最初から読もうかなこのシリーズ。

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2023年12月16日

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