あらすじ
松本清張賞作家の描く美大生の青春
美大合格を機に上京した友親に、やさしく接する先輩・若菜。しかし、二人はそれぞれに問題を抱えており――みずみずしい青春の日々。
恋をした。とても悲しい恋を。
美大に入学したての友親は、知り合った先輩の若菜と親交を深めるうちに、自らの中にある問題に向き合うことになる。一方、若菜も心に傷と秘密を抱えていて……。友親の前に現れた少女・恭子は何を知っているのか。かつての悲恋、家族との軋轢、才能への渇望と絶望――美大生たちがすごす、瑞々しくも痛切な日々を描いた、額賀澪の青春小説。
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Posted by ブクログ
自殺のシーンでもう少し、あっとなるような展開があったらよかったなと思った。
内容はとてもよかった。
価値観の押し付けをせず、歩み寄りまではせずとも理解をする努力をする大切さを学ぶことができた。
恋愛描写もとても甘酸っぱくて、ロマンチック、青春をぎゅっとつめたような書き方で好きだった。
Posted by ブクログ
私も母から「裁縫上手ね」と褒められて服飾専門に進んだ。ずっと服づくりしてきたから、この道に進むのが私のためであり親孝行でもあると信じていた。
それが入学してから思い知った、自分にはなにもない、アイディアもないし情熱もない。才能なんか勿論ない。
周りが輝いて見えて、自分なんかここに居ちゃいけない人間だろうと思えて毎日毎日苦しいだけだった。夢や目標ひとつも捻りだせぬまま4年通い卒業。全く関係のない業種に就いた。惨めで情けなくてしょうがない思い出。
この物語の主人公が、そんな当時の私の気持ちを代弁してくれて少しだけ救われた気もする。
正直いまだに引きずっていたし、自分だけが辛いと思っていたから。
でも「何もなかったから方向転換できたんだ」と知ることができた。これは大きな気づき。長年堂々巡りしていた脳みそに風穴開けられた感じ。
本を閉じた後ちょっとだけ泣いた。
あの頃の私に、卒業おめでとうって言いたい。