【感想・ネタバレ】タイトルはそこにあるのレビュー

あらすじ

謎の人物が主催する、行方不明の女性の誕生会。そこで浮かび上がる醜い人間関係――第一話「主役のいない誕生会」。クリスマスイブの夜、ホテルで繰り広げられる過去の暴露大会――第二話「ニンジンなんてキュウリなんだよ」。互いに何かを隠しつつ進む、二人の男の愛憎渦巻く会話劇――第三話「おしゃべりな男たち」。あなたは必ずやり直せる。さあ立って。自首する前に、ご家族に会いに行きましょう――第四話「雪月花の女たち」。大女優の舞台出演を実現させるため、大御所脚本家が遺した最後のクイズに五人の男女が挑む――第五話「タイトルはそこにある」。編集者が次々繰り出す難題に、鬼才はどう応えたか? ベストセラーとなった『公開処刑人 森のくまさん』の著者が贈る、全編書き下ろしの作品集。巻末には本書の成立過程を記したあとがきを収録する。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 失礼ながら、初めて聞く名前だったが、編集者から「お題」を課せられたという点に興味を持った。本作が、初の四六版単行本での刊行だという。

 最初のお題は、「演劇を扱った中編、登場人物は四、五人程度の少人数に絞る」。前例もあるし、さほど困難とは思えない。しかし、終盤のどんでん返しと嫌な読後感は、自分が読んだ似た設定の作品と比較しても、かなり高レベルと感じた。

 続くお題は「回想、場面変更、一行空き一切なしのワンシミュレーション・ミステリ、登場人物は三人で」。いわゆる一幕劇のミステリも前例は少なくないが、本来、ミステリとは文章ならではのずるさを許容するジャンルである。手枷足枷が増えていく。

 次に「会話文のみで書かれた作品(地の文は削除)、登場人物は二人で」。お題の制約と同時に、作品そのものの苦しさも上がっているのが涙ぐましい。この長さまで、よく引っ張ったと言うべきか。それにしても、この二人、どちらが勝者なのか。

 ところが、続く作品にはやられた。お題は、念のため伏せておこう。個人的に、本作中のNo.1で、お題とミステリとしての驚きを見事に両立させている。お題を遵守すると同時に、お題の抜け穴を突いた作品と言えるだろう。著者の柔軟な発想力の勝利。

 最後の作品に至り、おやと思った。自分はたまたま元ネタを知っていたので、にやにやしながら読んでいたが、知らなくても謎解き部分は十分に楽しめる。ややこじつけっぽいのはご愛嬌。あなたが元ネタを未読ならば、そちらもお薦めしたい。

 全5編、お題そのものはいずれも前例がある。それだけに、難しかっただろうし、時間がかかって当然である。堀内公太郎という作家に依頼した、編集者の慧眼。編集者と作家の二人三脚で完成した苦労の結晶を、見逃すのはもったいない。

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2018年07月09日

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