あらすじ
書き下ろし短編も! 本屋大賞受賞作『羊と鋼の森』の著者がおくる食エッセイ
「毎月一回食べもののことを書く。食べることと書くことが、拠りどころだった気がする。」(「まえがき」より)
月刊誌『ESSE』の人気連載が、待望の書籍化! 北海道のトムラウシに1年間移住したり、本屋大賞を受賞したり……。さまざまな変化があった6年半の月日を、「食」をとおして温かく描き出す。ふっと笑えて、ちょっと泣けて、最後にはおなかが空く。やさしく背中を押してくれるエッセイ78編に、書き下ろし短編1編を収録。全編イラストつき
【内容紹介】
◆一章 つくること、食べること◆「豆を煮る」、「泰然自若シチュウ」、「100%オレンジゼリー」、「お正月のカレー」、「ローガンと出汁」、「キノコ嫌い」、「楽譜とレシピ」、「塩鮭の注文」、「大雪のパンケーキ」ほか
◆二章 なんでもない日のごはんとおやつ◆「最強ハンバーグ」、「スイカの種」、「おいしい朝ごはん」、「ミルクティーとスリッパ」、「山の中のお正月」、「ゆかりたん」、「餃子とアジフライ」、「お金持ちのサラダ」ほか
◆三章 思い出の食べもの◆「君の名前」、「水ようかん」、「まぼろしのオムライス」、「おついたち」、「鹿まんじゅう」、「読書会のメニュウ」、「スープを煮込む」、「四月のかき氷」、「黄金色のジャム」ほか
◆短編 ウミガメのスープ◆イラストの公募展で大賞を受賞した私。うれしいはずなのに、がんばらなきゃならないのに、心細くて怖いのはなぜ? お祝いすら心の重荷になるのはどうして? 「お姉ちゃん、一緒にお菓子を焼こうよ――」ある日、家にやってきた妹と話すうち、私にとっての「描く」ことを取り戻していく。
※本書は、『ESSE』2011年9月号~2012年12月号の連載「宮下奈都の台所日和」と、2013年1月号~連載中の「とりあえずウミガメのスープを仕込もう。」に加筆・修正したものです。短編「ウミガメのスープ」は書き下ろしです。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
食にまつわるエッセイ集。山村留学のエッセイと比べて笑える感じではないのだけど、一編一編、丁寧に作られた栄養たっぷりでおいしい料理のようで、心が満足する。
短いエッセイばかりだけど、短編小説を読んだような気持ちになる。初めの一編、「豆を煮る」、すごく好き。
気持ちがささくれたり、不安な時は、宮下さんのエッセイを読めば大丈夫かも、と思った。
Posted by ブクログ
先日、娘の授業参観で、
「何の食べ物か、伏せられていても何かがわかるような文章を書く」
というテーマで、子ども達が文章を書いていた。
これがなかなか面白く、食べ物に対する思い入れは人それぞれだなぁ…と実感。
宮下奈都さんの食べ物エッセイなら、きっと面白いはずと思い手に。
「生きることと食べることがあまりにも深く結びついているから、何のことを書いても食べることにつながってるんだと思う。」
とまえがきで書かれているけれど、
日常をテーマにしたエッセイでも、食べ物の話題があまり出てこない作家さんもいるわけで…
やはり、宮下さんがどれだけ食べることを大切にして暮らしているかということなのだと思う。
私自身も、毎日子ども達に食べさせることで頭がいっぱいの日々だったから、宮下さんの様々な想いに共感することばかり。
「うつ病だと診断されても、人に食べさせことが義務付けられている母親業とは、なんと重い任務だろうか。『とにかく食べさせること』その裁量は母親に任されている。もしも私が主治医にそんなアドバイスをされたら、逆に追いつめられてしまう気がした」
まさに…である。
三人の子どもがそれぞれの好みも違う。
それでも
「ひとりひとりのリクエストに応えながら、この朝のにぎやかなひとときがどれほど貴重で楽しいことかと思う。この子たちも、『焼いて・バター・はちみつ』などと口に出さずに自分でトーストを準備する日が来るのか。まだしばらくは誰も巣立たない子供たちの未来を想像して、胸がいっぱいになったりするのだ。」
なんだか、私自身の想いを代弁してくれているかのようで、ほんとに胸熱である。
たとえ子どもが美味しいと言ってくれなくても、美味しいものを食べさせてあげたい。
少しだけでも手間をかけて毎日のごはんを作る。
あたりまえのことだけれど、毎日するのはやはり大変だ。だけど、
今、それができることこそが
どれほど幸せなことなのか
に、改めて気づかせてくれた。
「神さまたちの遊ぶ庭」のその後の家族の様子もほんのり描かれていて、それもまた楽しい。
Posted by ブクログ
2016年本屋大賞受賞(『羊と鋼の森』)作家、宮下奈都さんの食エッセイ。
一編あたり3ページほどなので、隙間時間に読むのにちょうどいい感じ。
…なのですが、3編に1編ほど心にグサッときて、鼻の奥がツーン。
さすが人気作家…人前で読むのは要注意ですね。
Posted by ブクログ
初めての宮下奈都さん
食べることと生活をテーマに優しく暖かい文章でいっぱいな一冊
小松菜を食べていれば大丈夫とかひな祭りの特別な献立とか共感する部分が多くて、でも宮下さんの自然体な丁寧さや北海道での一年に憧れる
大きな鍋私も欲しいなあ
Posted by ブクログ
宮下奈都さんのエッセイ、すごく読みやすくて読みごたえがあって大好きだなあ。
神さまたちの遊ぶ庭に続いて、こちらを読みました。
食事ひとつにしてもそこに含まれる物語が優しくて、だけどスパイスで切なさと笑いがあって、宮下さんのあたたかさが伺える日常がとっても素敵。
食べ物は自分の体だけではなく、そこに附随するエピソードから過去や未来にも大きな影響を与えていて、私ももう少しゆっくりと食事の時間に向き合いたいなあと思いました。
Posted by ブクログ
一編が短めなので、最初は少し物足りない気がして、最初の数編のあと1週間ほど空けてからもう一度、読み始めてすっかり宮下ワールドにどっぷりとなりました。出てくる食べ物の思い出を一緒に著者と会話してる気分になって、残り5分の4を一気読みして、おまけに代表作の「羊と鋼の森」を注文することに……しばらく宮下さんの作品を楽しみたいと思う2022年春でした。
Posted by ブクログ
ああ〜宮下奈都の本、やさしくてあたたかくて好きだなあ
読む毎にどんどん好きになる
この本は食エッセイなのですが、宮下さんの人柄がよく伝わってくる一冊でもありました
3人の子ども達のお母さんとして優しい眼差しと心意気で書いている宮下さんも素敵だし、1人の人間として宮下奈都個人のエピソードも本来の宮下さんってこんな人なんだろうということを感じられて楽しい
失敗ごはんの話が特に好きでした
学校で勇気を出して挙手→発表するも答えが間違ったために笑われ落ち込んで帰宅した娘に、「なんでも好きなもの作ってあげる」と励ましたエピソード
お兄ちゃんが「僕の時は秋刀魚だった」と会話に加わってくるところも宮下さんのお母さんとしての優しさや家族の仲の良さを感じて微笑ましい
添えられていた『笑われたことのない人は脆い。失敗したことのない人は危ない。』には、散々失敗してやはり落ち込んだ過去の私まで救われた気分
前書きに「普通のことばかり書いていている。回数にして八十回弱。誰の中にも八十回くらいは食べ物の話がひそんでいると思っている」と書いてあって、読んでみてなるほど確かに…
私にも思い入れの程度に差はあれど、思い出のある食べ物はたくさんあった
改めて、生きることは食べることだなあ
Posted by ブクログ
家族のつながりと食事に関するエッセイ。家族愛と常に何か食事が結びついている。おいしいものをみんなで食べれば、家族のつながりが深くなるなるのか。
Posted by ブクログ
ウミガメのスープってなんだろうと言う気持ちと、温かい言葉に惹かれて読み始めた。
一つ一つがほっとする家族とのエピソードになっていて、料理の楽しみ、一緒に過ごす人の存在の温かさに気付かされました。
お正月三が日に読んだすてきな一冊でした。
Posted by ブクログ
雑誌ESSEに連載していた食に関する80弱のエッセイと、書き下ろし短編。
昔の話も最近の話もある。
食に対して大きなこだわりはないと言いつつも、レシピ本だけで何千冊?!も持っていたり色々な料理を手作りされていて、作家業でお忙しいはずなのに凄いなぁ。
Posted by ブクログ
宮下さんの、食べ物に対して丁寧に向き合う姿が素敵だなと思う。
旦那さんやお子さんたちとのエピソードも微笑ましい。
肌寒い季節に温かいお茶でも飲みながら読みたい一冊。
Posted by ブクログ
家族愛に満ちた食べ物エッセイ
「きれいに生きられるくらいなら、小説はいらない。」
純旋律に不協和音をまぜること、音楽でも小説でも料理(アク)でも共通しているのか。不協和音ばかりの音楽は苦手だけれど。
勇気を出して手を挙げて間違ってしまい笑われてしまった子に、「おめでとう。失敗ポイントが貯まったね」と声をかけるお母さん。そして失敗ポイントが貯まると、ごはんのリクエストができるなんて素敵すぎる。
「ものすごくおいしい」ものを食べて無口になる宮下さん。「お口に合いませんでしたか」
「家族にも食べさせてあげたいと思いました」
付箋がいっぱいすぎて書ききれない感心、感動ポイント。
あ、これだけはつけ加えたい。
オフコースの『ワインの匂い』に13歳の時に夢中になり、身体のすべての細胞が新しく生まれ変わるような気さえしたという。オフコースは私にとっても青春だったけど、この曲かとビックリ。じっくり聴き返そう。
Posted by ブクログ
宮下奈都さんのエッセイは、ワンサブ子に続き2冊目かな。あちらの方が子どものことも多く描かれていて面白いけど、こちらは食に関することなので、じんわり温かくなる話が多いかな。
丁寧な暮らしをされていて素晴らしい。
Posted by ブクログ
楽しい食に関するエッセイ
本屋大賞の作品は読んだけど
著者が北海道で暮らしたことが
あるなんて それも大雪山の麓で
夏にしばらく泊まったことを
思いだした 懐かしい
またしばらく泊まって
山に登ってみたい
日々の暮らしを丁寧に食を通して
教えてもらった
Posted by ブクログ
宮下奈都さんのおいしいものに纏わるエッセイ。
宮下さんのエッセイは柔らかで、あたたかい。
とくに『にこにこ』という表現からは、
ほんとうに可愛らしくにこにこした子供のまーるい顔が思い浮かぶ。
どんな子どもたちかも知らないのに。
栗ごはんの話がとても好き。
そういうことって、あるんだな。
でてくる料理が美味しそうで。
とくに、コトコト煮込んだ系の料理はおいしそう。
素材のおだしが、濃い色に溶け出したのを想像してしまう。
辰巳芳子さんの昆布と椎茸のスープや
竹内冨貴子さんのひじきのマリネを思わずメモってしまった。
おいしい料理と柔らかな人々の情景に、
また頑張ろうと思えました。
Posted by ブクログ
食べ物にまつわるエッセイ
どれも温かくなるような話でした。
特にシャケの切り身の話が残りました。
雑誌で数回読んでいて、好きな文章だなと思っていたものがまとめて読めて満足。
著者のお子さんたちがみなそれぞれ良い子で、染みる話ばかりでした。
Posted by ブクログ
約50年生きていると”食”にまつわるエピソードがこんなにも豊かにあるんだ。文章にできるか否かは別として誰にでもかけがえのない食にまつわる思い出はあるんだろうな。
どれもほっこりするエッセイ。
中でも知り合いの”栗ごはん”の話し。父親が珍しく栗ごはんを食べたいといい、その季節じゃないのであきらめようとしたけど和菓子屋さんから冷凍の栗を分けてもらい、無事作って夕飯においしく食べて、次の日父親は布団から起きてこなかった(亡くなってたという話し)なんていいお見送りができたんだろう。お父さんからの贈り物…。
でも、もしこの時”栗の季節になったら作るね”と先延ばししていたら…どんだけ後悔しただろう。
でも、その後悔を抱えて生きている人の方がきっと多いんだとも思う。
息子が高校受験でひどく落ち込んで帰ってきてかける言葉もなく…結果、合格してたり、
バレンタインデーに遠距離の彼にカップ&ソーサーにチョコを入れて送ったけど、ホワイトデーになんのお返しもなく…結果、今の旦那さんだったり、
オチはいつもメデタシでいいんだけどね。
祖父母が洋館に住んでいて手作りのスコーンが出てきたりと…いいとこのセレブママなのかしらんとチラっと思ってしまうのは私のひがみだけどね。
Posted by ブクログ
優しい本だったな。
どんなに笑えても、どんなに泣いても、結局ご飯は食べなきゃ生きていけないわけで。
食事って思い出が残りやすい場面だと思う。
誰かが好きな料理、私が好きな料理、喧嘩した日に食べた料理、
それを見るだけで、匂いを嗅ぐだけで、食べるだけでその思い出が思い出せる。
生きているとそんな料理がどんどん増えてくる。
このエッセイは、そんな人生の食を覗かせてくれる。
おいしくて、あたたかくて、いとしいエッセイだったし、
私もこんな思い出になるような人生を送りたいと思った。
Posted by ブクログ
エッセイ。福井在住だって。
なんか泣いたとこあったな。「朝起きて空を見るたびに、きれいだなあと思うよ」というあたり。そんなところに住めたら、そんな風に毎日目の前のことを、心をひらいてうけとめられたらいいよね、と思ったのだ。
Posted by ブクログ
気取っていない、日常のごはんのエッセイという感じが肌馴染みが良かった。子どもが生まれて、献立に悩むことがあったり以前のように料理に時間をかけることができなくなったりがあるなかでも、それすらも幸せといった感じの作者の子どもへの愛が感じられるエッセイであった。
Posted by ブクログ
ESSE掲載の食にまつわるエッセイを1冊にしたもの。ナチュラルで少しだけドジだけど芯があって優しい。
※一度失敗したことは繰り返さない。そうゆう具体的な効用もあるけれど失敗して笑われることそのものに意義がある。恥ずかしい、悔しいが人を強くする。
Posted by ブクログ
宮下さんにとって普通のありふれたご飯の話なのだろうけど、読み手にとっては宮下さんのいろんな思い出の詰まったご飯なんだなぁと思った。誰にでも思い出のご飯があるし、私にも、今までとこれからの思い出の詰まったご飯ができるんだろうなぁと思うと温かく楽しみである。
Posted by ブクログ
最後の話にあった水平思考ゲームの「ウミガメのスープ」が入ったタイトルだったので思わず手に取る。
はじめの方の話は上手くいえないけど少し食に関する宗教っぽさがあって苦手かもしれないと思ったけど、段々読みやすくなってきた。
ハンバーグを作った時の「食べておいしい食パンの内側だけを使いましょう。贅沢ですね。おいしくなるに決まっていますね」がかわいい。
雪国で暮らしてきた作家さんなのと、読んだ時期が冬だったのでスープを作りたくなった。それも、ことことと静かに煮込んで、毛布にくるんで放置しておくやつ。
あと、帆立と大根のサラダ。
どのお話も、冬にスープを飲んだ時みたいな気持ちになった。
Posted by ブクログ
『羊と鋼の森』を読んだとき、宮下奈都さんの情景描写が豊かで、好きだと思いました。この方の書いたエッセイならきっと素晴らしいと、読むのを楽しみにしていた本です。
『ESSE』2011年9月号から2012年12月号まで連載されていたエッセイだそうで、テーマは「食」。それに、書き下ろし短編「ウミガメのスープ」が収録されています。
タイトルとテーマから、きっとほっこりと幸せな気持ちになれるエッセイなのだろうと思いながら読み始めてみると、あれ、なんだか薄暗い不安が漂っている……。このエッセイが書き始められたのは、同年3月の東日本大震災の直後で、しかもこのときは宮下さんの出産と引っ越し、さらに多忙な夫の不在により、心の中は不安でいっぱいだったようですね。
でも読んでいくと、子供たちも成長し、新しい土地にもなじみ、ふるさと福井での思い出も語られ、少しずつほほえましいエピソードも増えていきます。
中東の豆料理フムス、高校生になった長男が名付けた紫蘇のふりかけ「ゆかりたん」、喫茶店で見つけた「君の名前」、福井の手作り水ようかん、公園でおじさんがくれたホットワイン、祖母が作ってくれたホットサンド、20年前にプレゼントしたカップアンドソーサー、などなど、じんわりと後から効いてくるほのかな優しさに満ちています。
雑誌のスペースが小さかったのか、一編が短いですね。急にストンと終わってしまってその後が気になるものや、この話はもうちょっとじっくり読みたかったと思うものがたくさんありました。
そして最後に収録されている書き下ろし短編「ウミガメのスープ」、これが良い! 本書のタイトルになっている一文にはいろいろな気持ちが込められていることがわかり、じーん、としてしまいました。やっぱり宮下奈都さんの書く物語は好きだなあ。
本書はソフトカバーの単行本で、いつどの書店だったかは覚えていませんが、偶然見つけて買ったサイン本です。とっくに文庫化されているだろうと思っていたら、まだ文庫にはなっていないようです(2023年7月現在)。
Posted by ブクログ
雛祭りの話が一番心に残ったかな。脇役だった女の子が主役になれる日。「なにより嬉しい」雛祭り。それ以外はさらりと読めたけど、たいして残らなかった。