あらすじ
木陰に立ち並ぶ数十体の地蔵の、ある法則に気づいた瞬間に戦慄する「顔なし地蔵」。風雨と霧に閉ざされたヒュッテの乾燥室にうずくまる青い雨具の男の正体が切ない「乾燥室」、奇妙なほど行く先々の山で遭遇する女性の言動が謎と不安を誘う「ポニーテールの女」他。避難小屋、山奥のトンネル、テント――心身ともに強靭な山男たちを震撼させる、恐ろしくも不可解なできごとを山の霊気とともにつづる。文庫オリジナル作品2篇を収録。
※本書は二〇一三年四月に小社よりMF文庫ダ・ヴィンチで刊行された作品を、加筆・修正して再文庫化したものです。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
著者の怪談を動画サイトで聴き、その語りの心地よさに惹かれて興味を持った。
この手の本を読んだのは初めてだが、程よい怖さを味わえた。一部動画で聴いたことのある話もあったが、文字で追うとまた違う感じがする。文章自体は簡潔で読みやすいが、自然の美しさなど、山登りの醍醐味を感じさせる描写もあり、ただ怖いだけの話になっていない点がよいと思う。ただ、自分に登山の経験がないためか、イメージしにくい描写もあった。
怪談を聴いた時、「いい人そうだな」と思ったが、本を読んでもその印象は変わらなかった。飾るところのない、素朴な”山ヤ”なんだろうなと。
Posted by ブクログ
2018061
山の怪談話ですが山好きならば、描写を読んだだけで楽しくなってきてしまう。怖いけれどホロリとするお話もあり。
乾燥室、霧幻魍魎なんかはグロテスクで本当に怖かったし、青いテント、三途のトロなんかはテントやツェルトの中からひとり異様な外の世界に恐怖する。
ポニーテールの女は面白い話だと思うし、櫛はホロッとする話。
舞台が丹沢や白馬、アルプスなど山好きとしては嬉しく思う一冊。怖いけど。