あらすじ
世界各国で、携帯電話やその基地局の電磁波(高周波)による健康被害を懸念する声が高まっている。健康影響への配慮から子供の使用を制限する動きも出ている。生体への悪影響があるとする研究結果と、それを否定する研究結果があるが、一部の研究者や研究機関は予防的措置を強く提唱している。また、長期にわたって使用した場合の影響は、まだよくわかっていない。海外の事例をふまえつつ、携帯電話の電磁波の問題について考察する。 【目次】はじめに/第一章 ついに米国議会が動き出した/第二章 携帯電話会社に対する訴訟/第三章 健康影響を示唆する調査結果/第四章 安全対策を加速させる欧州諸国/第五章 日本の政府は守ってくれるか/あとがき
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Posted by ブクログ
携帯電磁波がどの程度人体に影響があるのか、電磁波に対して世界各国ではどのような対応をとっているのかよくわかった。
日本の電波防護指針は、WHOや国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドラインと同等となっており安全とされる。しかし、これら基準自体が正確ではなく、基準強化を求める動きが世界各国で高まっている。特に、欧州やイスラエルでは国内での議論の高まりもあって国際基準よりも厳しい安全基準を独自に設けている。
各国の民間研究機関が電磁波が人体の健康に影響を与えていることを示す結果を出す一方で、ICNIRPの研究機関の調査結果では、人体の健康との関連はないと結論付けている。これは、単純な科学的調査不足というよりは、携帯電話業界からの圧力により、公平な評価ができなかったり、結果が歪曲・隠蔽されることによる人為的な理由によるものらしい。
翻って日本では、危険性についてメディアに取り上げられることもないし、そもそも危険性を疑う声すら上がらないのが現状だ。
携帯所有者が爆発的に増えていく中で実際に脳腫瘍の患者が増えてくれば、その関連を示すサンプルが十分出そろうと思うが、出そろった時点ではもう手遅れだ。タバコのように手遅れになる前に国をあげて予防的措置がなされることを切に願う。