あらすじ
「いまや有名大学・企業に入っても一生安泰ということは絶対ない」。国内外のビジネス事情を知り尽くす著者はそう断言する。では、わが子を「何があっても一生食べていける人間」に育てるにはどうすればいいのか──。本書は、二人の息子を育てた経営コンサルタントが、自身の実体験を交えて綴る家庭教育論。 ◎食事中はテレビを消して家族で会話 ◎年のはじめに「家族の年間計画」を立てる ◎小遣い・お年玉を廃止し、「家庭内利権」を与える ◎「家族旅行の計画」を子供に立てさせる……わが子の「自活力」を育てる実践的ヒント満載! 巻末に、長男・創希氏、次男・広樹氏のインタビューを特別収録。『親が反対しても、子どもはやる』を再編集。 『子育てでは私自身もまた、さまざまな壁にぶつかり、たくさんの失敗を経験しました。でも、子供の「生存力」という面では、「大前家の子育て」は百点満点とまでは言わないものの、なんとか及第点はもらえたのではないかと、ひそかに安堵のため息をついています』(本文より)
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Posted by ブクログ
大前氏の52歳の時の本。
人生におけるリベラルなバランス感覚が個人の好みと合い、1章ごとに気づきの多い1冊だった。
子ども側からの本音のフィードバックも興味深い。
やはり、親は子ども1人1人の個性を見つめ、最適と思われる働きかけを行うことしかできない。完璧は無理。努力はできる。
備忘録
・4つの責任。家族、自分自身、社会、会社。4つに均等に時間を割く。
・宵越しの悩みと怒りは持たない。
・全ての出発点は家庭。ファミリーバリューに重きを置く。
・30代の過ごし方が重要。田中角栄、松下幸之助、本田宗一郎しかり、40代になってからやり始めた人は少ない。(今後は20代に前倒しされる)
・本を書くときは常に孫に読んでもらうことを念頭に書く。孫に対して申し開きのできないような無責任な恥ずかしい書物は一切残さない。
・あらかじめレールを敷いてその上に子どもを乗せようとするのではなく、子どもが決めたベクトルの方向に新しくレールをどんどん敷いていく。
・無視されがちな子どもの覚悟、シグナルは忙しくてもちゃんと拾う。手取り足取りではなく、さりげなくサポートする。
Posted by ブクログ
一番面白い(記憶に残る)のは、巻末の息子さん2人のインタビューだった。
自分の力で生きていく力をつける、という割には重要なタイミングで親が手助けをしてきたようだが、考え方はとても勉強になった。アウトソースする仕事を子供に任せて報酬を、というのは取り入れてみたい。
Posted by ブクログ
大前研一らしく、育児・教育方針もフレームワークでザックリ。巻末にお子さん二人のインタビューも載っていますが、二人とも大学中退・起業と波乱の人生。必ずしも万人向けではないとしながらも、社会に出てから「ありがたかった」と思う事も多いとか。その意味で功罪では「功」がまさっているようで。
Posted by ブクログ
長女がもうすぐ3ヶ月になる。
子を持つ親をターゲットにした広告は、どれも不安な親心を刺激する。
今の時代、便利さを求めればいろいろな物があふれており、集め始めたらきりがない。
同じように英語教育論なども、油断すると買ってしまいそうになる瞬間が幾度となくやってくる。
そんなふらふらした心持ちに喝を入れるために本書を手に取った。
「子育て」と、仰々しく考えるから、雑念に振り回されてしまう。
悩むのではなく、解決策を考える時間を増やす。
家族一緒になって、そんな時間を増やすこと、これが肝。
Posted by ブクログ
国内外でグローバルに活躍する筆者が日本的な教育をぶった切っております。
レールに乗せるのではなく自分でレールを作らせましょうというのはよく聞く話だけれど、それを極端に本気ででやってるというか。
暗記勉強なんてやりたくなきゃしなくていいから、好きならゲームやってりゃいいよとか。。。凡人には真似しづらい。笑
子供に旅行の計画を建てさせてみるとか
家庭内利権を持たせて小遣い制にするとか。そういうのは面白いなと思ってみたり。
言うこと考えはグローバルな感じだけれど、お母さんを困らせて泣かせた息子をぶん殴ったり、昔の日本の親父っぽい。。。
でもこんなすごい方なのに家庭と家族の時間を大事にしたり、
息子と一緒に新しいスポーツに挑戦するのが若返りの秘訣だと楽しんだり、アグレッシブで素敵だなぁ!
基本的なこととしては
子供を一人前の人間として見て、自分、社会、会社、家庭 に責任をもつことを叩き込む。
あとは、好きなことを見つけて自由にさせ自立を促す。
なかなか息子さん達も、本当に自由に育ったようだけど、それを受け入れてるのがすごい。(実際お金があって筆者のサポートがあるから出来てるところもある気がします。。。)
Posted by ブクログ
[読んだ理由]==================
本を紹介するメルマガで進められているのを見かけた。この著者の子育て本っていう異色さが気になった。
[読んだ後の感想]==============
(なかなか大前家のようには行かないけど、)子供に自分で考える力を付けさせる、子供に責任を取らせる、親の成功体験を押し付けないとか、原則にはとても共感。
[読書録]======================
■少し眺めのプロローグ
教育というものに対する考え方を変える。「あれはするな、これはいけない」と子供を枠に押し込め、そこからはみ出さないようにしつけることが教育なのだと思っていませんか。私に言わせればそれは「調教」であって、自分で考える力を持たせる教育とは似て非なるものです。
子供の自立心とマネー感覚を磨くには、小遣いを廃止し、代わりに「家庭内利権」を与えることをおすすめします。例えば、家の窓掃除をアウトソーシングすると5000円なら、親はその利権を息子に与え、業者が磨いたようにピカピカにしたら5000円を払う。
がっっこうでは同学年の集団経験はできても、年齢差が大きな集団の経験がなかなか出来ません。其の点、サマーキャンプなどはまさに雑多集団での生活を体験できるのでオススメです。
■1.愛情は時間ではかれる
私は、愛情の基本は時間をどのくらい家族のために作るかだと思っています。言葉だけで「愛しているからね。済まないな。お前」などと言っているだけでは、ダメなのです。家に帰ってくるのはいつもみんなが寝てしまってからで、家族とろくに話をしないのでは意味がありません。仕事、仕事で三十代、四十代と家族のために時間も割かず、会議も不在のままにしておいて、年をとってから、夫婦二人でしょうがなくて一緒にいるというのでは、人生の一番いい時間を逃してしまっていることになります
■2.料理もラマーズ法も
二人の息子の出産にもしっかりと立ち会った。日頃はひ所に忙しくても、こういうことに私が時間を使うことによって、妻にフラストレーションがたまらないように配慮しているわけです。
■3.息子たちはベストフレンド
■4.「カリカリおやじ」と「ほのぼの息子」
■5.暗記するほどバカになる
■6.「勉強するよりゲームをやれ」
■7.人生は「ファイナルファンタジー」
先生や親は「いま勉強しなかったら将来大変になる。今の勉強が将来を決めるのだ」という言い方をしています。しかし、それは違うと思います。もし、今勉強したくないのなら「一年間放浪のたびに出てご覧。今の日本なら路頭に迷うことはないし、どこかのファーストフードショップでアルバイトをしながら日本中をめぐってみるとイイ。それで又勉強をしたくなったら戻っておいで」といってみたらどうでしょうか。とっぴに聞こえるかもしれませんが、これがこれからの正しい生き方だと思います。将来のことが分かっている親なんか、実はイないのですから。
■8.子供の得意技を見つける
■9.息子が出した退学届
■10.アメリカ発、息子の通信簿
アメリカの大学生はよく勉強すると言われますが、アメリカの学校教育は、日本よりももっとリズムがあります。「のべつくまなしに勉強、勉強ではなくて、高校時代くらいは遊びなさい。どう生成に目覚める時期なんだから」と動物の生殖本能を認めて、男女交際をオープンにやらせてしまう。三年になると、さすが大学入試ということもあってがーんと勉強して、延びるやつ、その一年で見違えるようになります。
日本御英語教育は何が問題か。教え方のどこが違うのかを調べてみたら、アメリカの語学学校では英文和訳や和文英訳などはしないで、あくまでも自分の考えを書くことが英語習得の基本になっている。つまりエクスプレッション(自己表現)をさせるわけです。「自分は何が言いたいのか」これを言えるようにすることが主眼なのです。
■11.それでも学歴は大切か
■12.子供の将来を定食メニューで考えない
家族がテレビを見ながら食事をするのはおかしい。私が思うには、普段はテレビが食卓の司会者のようになっていて、なんとなく話があっているふりをする。おそらく、そこでの共通の話題は、出演者のゴシップだったり、番組の内容だったりですから、お互いの話題は勢い少なくなってしまうでしょう。
親の最も大切な役割は、子供に「生きていく自信」を与えること。「成績が良くなければダメだ」「いい大学に受かりなさい」「宿題を早くやりなさい」という文脈の中に、生きていく自信につながる言葉があるでしょうか。やはり子供の考え方を訊いてみて、その子を一人の人間として理解してあげる事からはじめなければならないと思います。其の結果、子供の考え方に賛成できなければ、大人としての考え方を述べる。それでも子供が自分の考えを主張すれば、今度は「責任」が子供に写ります。其の責任を自分で取るから自分の道を歩みたいと子供が言えば、親はそれを「祝福」してあげるべきです。
子供はだれでも、その子、その子で特徴があります。其の特徴さえ見抜けないような親は、もう愚か者としか言い用がありません。そういうしょうがない親は「定食メニューで大学まで行け。そうしたらなんとかなる」と子供にいうわけです。私に言わせれば、それは親の責任放棄です。
子供をじっと見ていたら、なにかいい点が一つや2つ有る。「あなたはこういう点が凄くいいから、将来こんな方向に行くとうまくいくんじゃないの」と勧めれば、子供はその分野に興味を持ちます。それでも「俺は嫌だ、大企業へ行きたい」と言ったら、この場合はこどもの責任になります。そうではなく、「あなたはいい大学へ言って、いい会社に行くのが運命よ」と親が頭ごなしに言うから、おかしくなるのです。
■13.親が反対しても、子供はやる
■14.なぜ女性の就職が冬の時代か
女子学生の就職がないということも、それは「種族」として淘汰されつつ有るということです。つまり企業が使いたくなるスキルがないわけで、企業社会の論理から行けば当然のことなのです。それにもかかわらず、女性の就職難を女性問題として捉えるから問題の本質が見えなくなるのです。スキルがあれば、取らない会社はない。
■15.リーダーシップの取れない日本の若者たち
■16.世界を舞台に活躍できる人間づくり
■17.「外人」といじめられた子供たち
■18.公開しない生き方
■19.夫と妻のフェアな関係
■20.悩みをオールクリアする
■21.すべての出発点は家庭である
■22.おふくろの悪口はおやじが許さない
考え方が足りないとか、無精だとか、思いやりが不足している時には怒りますが、その人が育ってくる家庭で、経験していないもの、能力的に持っていないものに対して非難するのは間違いだ、という信条が私には強くあります。
■23.三十代は人生の分岐点
今人生はスタートしたと思うこと。全て今日の自分というのは明日への原点で、今日の生き方次第でどんな明日でも出てくるのです。
社会に出た時は、平凡な安定した仮定があるから、かなりリスクが有る非凡なこともできるのです。気苦労ばかりが続く不安定な仮定絵したら、そういう余裕は出てこないかもしれません。
安定した自分の支えになるような家庭を作るためには、時間の投資をしなければダメです、翌々考えて時間を費やし、自分の理想と思う仮定を作り上げる。それは自分の事業です。自分に課せられた一つのチャレンジです。
■24.まだ見ぬ孫への伝言
■特別インタビュー
子供のことをよく観察して、個々の性格や特性をちゃんンと見ぬいて、何がやりたいのかを自分で考えさせ、本気でやりたいことが分かったら、最善と思われる方法でそれができるようにサポートしてくれていたのです。
大人や親の目で今正しいことも、二十年、三十年先もそれが正解であるかどうかなんてわかりません。其の頃には子供の感覚のほうが正しかった、ということだって、大いにありえます。なのに、親が知っている方法論や、親の成功体験を子供に強いるというのは、やっぱりおかしいですよね。
それが自分の意に沿わない道や選択であっても、子供が自分でベクトルを決めて動き出したら、それを敏感に察知する。そして、最初から最後まで手取り足取りではなく、子供をよく見ていて、一人ではできそうもない所をさり気なくサポートしてくれる。
「相手が自分の組織の人であってもなくても関係ない。自分が怒るのは、過ちを見過ごさず直させることは社会的責任であり、それが大人の優しさだからだ」
Posted by ブクログ
「何があっても一生食べていける人間」というビジョンでの子育て。
近視眼的でないところが非常に共感できる。
「禁止するとやりたがる、やれというとやらなくなる」
→本当にその通りだと思う。しかし、そういう考えのもと育つとおそらく既存の教育体系やサラリーマンとして企業人間になることは我慢ならないことだろう。それがいいかどうかは微妙な気もする。
得意なことを探してやるという姿勢を徹底しているところがすばらしい。ゲームをもっとしろと言える親はなかなかいないだろう。多かれ少なかれ、わが子がなにかに過剰にのめり込むことを妨げているのは親であり、それが成長を妨げ普通の人化していっている気がする。
子どもを子として尊重するということも大切。これもなかなかできない。所有物のように考え扱っている人がどれほど多いことか。しかも無自覚なだけに害が大きい。