【感想・ネタバレ】ワルキューレ 巡査長 真行寺弘道のレビュー

あらすじ

モデル事務所に所属していた17歳の少女・麻倉瞳が誘拐された。彼女の母親は、評論家デボラ・ヨハンソンの秘書を務めているだけでなく、レズビアンであるデボラのパートナーでもあった。母娘とデボラは同居しており、瞳はデボラのことも「ママ」と呼んでいる。
鑑取りの結果、誘拐犯のターゲットはデボラであり、その要求は前代未聞のものであることがわかった。出世を拒否し、50代ながら警視庁捜査一課のヒラ刑事である真行寺弘道巡査長は、元捜査一課の刑事で現在は杉並署に異動している同期の四竈とともに、捜査を始めるが――。
年末のミステリーランキングで評論家や翻訳家に注目されたニュータイプの警察小説シリーズ、待望の第3弾

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

本シリーズの3作目となる本作、相変わらず安定の面白さです。今回はフェミニズムや男女の性差、LGBTといったあたりに絡んだ事件が起こるのですが、こういった社会系トレンドネタが織り込まれているのも毎度のお約束、著者の視点の鋭さがうかがえます。
フェミニズムや性差に関する登場人物の持論や真行寺、水野が展開する論については少々難しいところもあるので、この点、個人による好みがわかれるところかもしれません。
とはいえ、そういった点を差し引いても本シリーズの魅力が色あせることはなく、真行寺の鋭い観察眼や仮説構築力は相変わらずですし、黒木のハッキング技術も手伝って事件が解決されてゆく展開、そしてこれも毎度のことですが、主犯格の人物を逮捕できないもどかしさ・やるせなさが残るのも、安心して読み進めることができる構成です。もはや様式美という、ある種の”型”ではないかとさえ思ってしまいます(←わかりにくいかもしれませんが、ほめてます)。
たまに話しの展開に退屈してしまう著作ですと読みながらもページ数が気になることがあります、あと何ページか、とかですが、本シリーズはそういった雑念に惑わされることなく読み進めることができる数少ない作品であると思います。とにかく読みながら真行寺のアタマの中の思考を追いかけてゆくのが本当に心地よいのです。たまに登場人物の思考内容を回りくどい持って回った表現でながながと説明している著作もありますが、本シリーズではそういったこともなく、極めて読みやすい書きっぷり。それでいて真行寺という人物の持つ矜持も十二分に表現されていて、次回作にも期待が高まろうというものです。前作や前々作のレビューにも書きましたがドラマ化、映画化してほしい作品ですね。

0
2020年01月21日

「小説」ランキング