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Posted by ブクログ
津本陽の書いた高橋是清の生涯を描いた作品を読み、興味を持って本書を読んだ。
津本はこの自伝を元に小説を書いた事は明白で、エピソードも全く重なっているが、やはり本人の書いたものの迫力は全然異なる。
是清活躍の背景に傑出した英語の語学力がある。幕府の御用絵師の子に生まれ、仙台藩足軽の家に生後すぐ養子に出されたにもかかわらず、何故に秀でた語学力を身につけたか?
12才で横浜の外資銀行のボーイとして雇われ、14才でアメリカに渡る。コミュニケーションは英語オンリーの環境に置かれ、座学ではない語学力を身に付けたことが大きい様だ。今の日本の座学主流の英語教育を根本的に考え直す必要がある。
アメリカに語学留学したはずが奴隷として売られ、艱難辛苦の末帰国した是清は大学南校(東大)の教官三等手伝いの職を得、英語教師となる。そこでも外国人教員から英語を学び続ける。
その後、放蕩茶屋遊びから退職、芸妓のヒモ、唐津の英語教師、大蔵省、翻訳・通訳業、を経て、語学力を買われ、新設の農商務省に採用される。ここで是清は商標登録と専売特許の法制化に取り組み、欧米4カ国に特許制度調査に向かう。
ここからあっと驚く変身でペルーの銀山経営のためペルーに向かうがヘタを打ち、失敗。全財産を失い途方に暮れる。というところまでが上巻。
笑ってしまうエピソードが満載で読んでいて全く飽きない。