あらすじ
わたしはこのギターから全てを教わった――
いつも俯きながら生きてきた。
音楽がわたしに光を与えてくれた。
熱情、誇り、挫折、才能――青春の全てがここにある。
心を掻き鳴らす、珠玉の青春音楽小説。
朝倉桜は京都の私立校に通う高校二年生。同級生の「モーゼ」こと百瀬は幼い頃から天才ギタリストとしてもてはやされ、今はプロで活躍中だ。学校に居場所を見いだせない桜はいつのころからか目立たぬように行動するのが習い性になっていたが、モーゼの強い勧めでギターを始めることに。すぐにギターの虜になった桜は高校を中退し、モーゼ率いるバンド「モーゼス」に加入。プロのミュージシャンになると決意するが……。
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Posted by ブクログ
天才が天才の原石を磨く小説。
ワクワク感よりも焦燥感でジリジリしてくる。
何も持っていない自分にジリジリする。
若い時に読んでいたら腿のトコロをンギー!ってガシガシしたはず。
渇望?
憧憬?
磨かれてゆく原石に待ち受ける栄光と
時折顔を覗かせる破滅に残るページは僅か。
思わず、本当に思いもかけず涙が流れたのが
最前列で主人公「桜」を追いかけていた「ストーカー紛い」に思われていた男の発した
「よかったです。最高です。その、もう、最高です」
の言葉に思わず流れた涙。
不器用で不格好でも愚直に吐き出す言葉。
おそらく何も持たず希望も持てない中の僅かな、でも強烈な光に吸い寄せられた言葉。
光を進む者には見えない悲しみと喜びに反応したんだろう。
何も持たない僕だから反応したのだろう。
悲しみはない。
残り僅かのページに僕の偏屈で鬱屈した琴線(全音落とし)に触れるフレーズはあるだろうか?
Posted by ブクログ
勢いで読みきりました。桜の成長物語としては面白かったのですが、メイン題材の音楽に関するところはかなり冷めた感覚でしか読めませんでした。
端的に言うと"オールド・ファッション”。スマートフォンが登場するような2000年代以降の時代設定なのに、語られている音楽のほとんどが60年代、70年代のもの。バンドメンバーの言動もヒッピー的なイメージのそれ。
書き手の好みが現れているのでしょうけれど、比較的最近のバンドが好きな自分としては(被害妄想かもですが)それを否定されている気がしてしまいますし、登場人物たちに今の若い人っぽくない非現実さを強く感じてしまいました。
また、著者は音楽の造詣が相当深いと思われるのですが、書き連ねられた音楽理論の話などは音楽素人の自分には全く面白みがわからなかったのも、正直キツかったです。
自分程度の読み手には、もっと単純なお話の方が合っているようです。