あらすじ
とある地方都市でSNSコミュニティ、『現代詩人卵の会』のオフ会が開かれた。九人の参加者は別れ際に、これからも創作を続け、十年後に再会する約束を交わした。しかし当日集まったのは五人で、残りが自殺などの不審死を遂げていた。なぜ彼らは死ななければならなかったのか。細々と創作を続けながらも、詩を書いて生きていくことに疑問を抱き始めていた僕は、彼らの死にまつわる事情を探り始めるが……。生きることと詩作の両立に悩む孤独な探偵が、創作に取り憑かれた人々の生きた軌跡を辿り、見た光景とは? 気鋭の著者が描くミステリ長編。/解説=宇田川拓也
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
1-4章までは正直それほど面白くなかった
上滑りする感傷的な文と動機しかないトリックで評価としては☆2くらい
でも最後の終章で主人公がやっと見えてきてそれはかなり良かった
感傷的な文に初めて少し私(読み手)5感情がのった
叙述トリックが上手かった
知ってから読むと矛盾してないのに初見で読んでも自然に読める
あと明日田さんの詩はどれも好き
終章の盛り上がりはかなり熱かったけど、それまでのそこに行き着くまでの道があまり惹かれなかった
☆4としたけど、気持ち的には☆3.5かな
Posted by ブクログ
自殺した詩人たちのことを調べる「探偵くん」。なぜ死んだのか、死なないと詩人になれないのか、生きて詩を書くことはできないのか。調べたからといって答えはないし、「謎を解いて遺された人を救う」なんてことにもならない。遺されたひとの「どうして」は永遠に解消されない。
どうしてそこまで拘るのだろうと、途中からちょっと思い始めてしまったけれど、最後で腑に落ちた。
「生きて、書いて、いいんだよ」
棗のようにそう言ってしまいたくなるし、そう言うしかないと思う。
その、棗。
健康的で、なんでも持っていて、いつだって日の当たる場所をなんの疑問もなく歩いていける、だいきらいな親友。
棗の執着は、本当に草間の思ったところにあるのかなあ。
棗視点のはなしがぜひ読みたい。
言葉を尽くしているのに言葉が足りない。
最初から最後まで、そんな印象。
そしてそれでいいのだろうな、と思う。
草間が絞り出すように紡いでいく言葉だから。
その言葉たちが、まだ私の心にも響くことが分かって、そのことがとても嬉しくて、ありがとう、という気持ちになった。
Posted by ブクログ
私もミステリーに対してホワイダニットに重きをおく。その悲劇性か人間の心理が好きだし、なんだったらトリックやアリバイは二の次でいい。それは物語の探偵が解いてくれるものだ。
主人公「僕」の異様なまでの探究心の正体を知った時、あぁ、と私は物悲しくなった。
Posted by ブクログ
面白かったです。
始終、鬱々とした空気でした。でも、好きな鬱々です。
探偵くんが詩人で、詩人仲間…というには薄い関係ですが、彼らの死の真相を調べていきます。
各章の冒頭に詩が載っているのですが、どれもそれぞれ良いです。死が香る言葉たちで。遠野昼夜さんの詩が好みでした。
死について調べていくことで、何を探るんだろう…詩人とは死ぬことで完成する、永遠になる、ということ?と、これは推理小説なのか…?と思いながら読んでいたら、すっかりやられました。
探偵くんは10年前の探偵くんではないなんて。。
蒼ざめた馬≠蓮見くん。
盗作…自分の創造したものではないもので称賛されても誇らしくなれるのだろうか。わたしにはわからない感覚です。。
探偵くんは言葉を紡ぐかは分からないですが、これこらも生きていくのだろうなと思いました。
病んでいるから、言葉を紡げるという感覚はわかる気がします。