あらすじ
「特捜検察や尖閣問題のデタラメは、なぜ生じるのか?制度だけ輸入し、近代のエートスを知らないからだ。民主主義への無理解が日本を滅ぼすことを完全論証!」偉大な政治家と政治屋との違い。官僚の本質。民主主義のコスト。近代裁判の原則。等など、稀代の大学者が田中角栄を俎上に、解りやすく論じる。
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Posted by ブクログ
川島武宣の弟子である小室直樹による現在 日本への憂国の書。
人民を国家権力から守るための「チェック・アンド・バランシズ」のポイントは何か。司法権力による行政権力の抑止である。裁判所こそ、行政権力の恣意から人民(国民)の権利を守る城塞であるからである。
~しかし、佐藤優の「国家の罠」ではないが、現状は司法は行政にべったりだ。~
デモクラシー諸国における裁判は、近代科学と同じ方法論的構成を取っているのである。昔の科学とは違って、「此処に真理があって、それを発見する」のだとは考えない。仮説をたてて、その仮説が真理であるかどうかは、科学が決める。
「真理(事実)を発見する(模写する)」という考え方は、素朴模写説となる。カントの認識論以前の考え方なのである。
デモクラシー諸国における裁判の要は手続きにある。手続きだけにある。
~つまるところ、明治以降の日本近代化は上からの近代化であり、庶民には、このような行政と司法とのチェックアンドバランスや、近代科学の考え方などが根付いていない、日本は法化社会とはならないだろう。~