【感想・ネタバレ】ルポ東大女子のレビュー

あらすじ

一学年あたり約3000人いる東大生のうち、約600人しかいない希少な存在「東大女子」。「女子なのに東大行ってどうするの?」という世間の偏見をかわし、努力の末に合格。しかし学内のテニスサークルの男子からは無視され、他大生の男子からは高学歴ゆえに避けられがち。理解力や処理能力が高く優秀なため、比較的出世するが、それでも最後は「男社会」の壁に結局ぶち当たる。かといって就職せずに“女性らしく”専業主婦を選べば、世帯の生涯収入が3億減るという現実。偏差値ヒエラルキーの頂点に君臨する“究極の高学歴女子”ゆえのジレンマと、その実像に迫る

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Posted by ブクログ

■東大生の強み「東大力」
・与えられた課題の本質をきちんと理解し,
・課題の達成に影響する要因を掌握し,うまく調整した上で,
・スケジュールをきっちり立てて,その通りにひたすら邁進し,
・誰からも文句を言われないような形で完遂することができる力
■東大生の弱点
①寄り道せずに損をする
②人生の「お題」が立てられない
③流行オンチと貧乏性
■女性の活躍を阻む4つのバイアス
①パフォーマンス・バイアス(成果に対するバイアス)
・女性は男性よりも厳しい評価を受けやすい
・男性は能力を見込まれて雇用されたり昇進したりするが女性が雇用されたり昇進したりするためには実績が求められる
②パフォーマンス・アトリビューション・バイアス(成果の理由に対するバイアス)
・男性の成功は本人の実力によるものと認められやすいが女性の成功はそうとは認められにくい
・男女で同じ仕事をしていても男性の・貢献度の方が高く評価されやすく逆に女性は失敗を責められやすい
③コンピタンス/ライカビリティ・トレードオフ・バイアス(能力か好感か二者択一のバイアス)
・能力が高い女性は嫌われるという傾向
・女性的な面を示す場合のみ女性のリーダーが効果的だとみなされる
・女性は女性として好感を持たれながら結果も出さなければならないということが強力なリーダーシップを発揮することを困難にし雇用にも昇進にも交渉にも影響を与えてしまう
④マターナル・バイアス(母性に対するバイアス)
・母親はよき労働者になれないという思い込み
■「働き方改革」と「大学入試改革」は車の両輪
・高度成長期からバブル景気の時期くらいまでの昭和型成長社会において過度な競争社会を勝ち抜くためには,高い偏差値と専業主婦が必要だった
・「働き方改革」とは要するに専業主婦に頼らずに社会を回す方法を考えようということ
・「大学入試改革」とは要するに偏差値の差に対する過敏症を治そうということ

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2018年09月17日

Posted by ブクログ

東大に在籍する女子を東大生と呼ばず東大女子と呼ぶことに、この国のジェンダー問題の根源があるのではないか、という。
東大卒女性の著書やインタビュー、一時期話題になったアメリカのスーパーキャリアウーマン、シェリル・サンドバーグの著書「LEAN IN」などからも引用があるのだが、これらの女性たちが語っていることが、問題の核心を見事に突いていて、鳥肌ものなのだ。
「私たちの社会は、性別に拘らず、他者の面倒を見る人より、自分のキャリアに時間をかける人を上だと考えている」(プリンストン大学教授アン=マリー・スローター)
という一文は、本当に突き刺さった。

しかし、女性でなく男性がこの問題を掘り下げて新書として世に送り出してくれたことに、小さな明かりが灯っていることを感じる。2019.1.26

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2019年01月26日

Posted by ブクログ

東大女子というタイトルから、これだけ色々な示唆を含んだ内容になるとは予想してなかった。 途中のジェンダー論に関連するインタビューが印象深く、共働きの部分は自分も近い将来起こりうることとして、話をする必要があると感じた。

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2018年12月31日

Posted by ブクログ

私がその大学と縁が無いからですが、この本の主題となっている、東大生女子と縁が私にはありません。なので、現役及び卒業生と実際に取材して書かれたこの本の内容は非常に興味がありました。

この本を読んで感じたことは、東大の女性は、東大の男性とも、他の大学を卒業した女性とも、違う対象として世間から見られていて、そのことを十分に理解している彼女たちは、それに対して、どうすべきかを考えた結果、行動をしている人が多いということです。

私が社会人になって30年になりますが、少なくとも日系の会社及び日本人男性が多くを占める会社では、男性を基準に制度がつくられていて、女性には不利な面が多く、この30年、ほとんど改善されてきてないように思います。その中で、彼女たちは何かを犠牲にしながら必死に頑張っていることがよくわかりました。

また、東大卒業生ではないものの、会社に勤務している女性は、結婚・出産(子育て)について同様の悩みを持っていることにも気づきました。妻には大変な思いをさせてしまったことを、今更ですが気づきました。

以下は気になったポイントです。

・働き方改革と、大学入試改革が同時に議論されている、働き方改革とは、要するに、専業主婦に頼らないで社会を回す方法を考えようということ、大学入試改革は、偏差値の差に対する過敏症を治そうということ(p3)

・何かで満点を取ろうと思ったら、何かを捨てなければならない、女の人生は5教科七科目でバランス良く得点すれば勝ち残れる東大入試のようにはいかない(p25)

・東大の卒業生は、20代前半までずっと勝ち続けている、だから評価されなったとき、自分を立て直す術を持っていない。自分を立て直す必要のないキャリアを歩いてきたから(p29)

・妻が年間1000万円稼いで来たら、家事労働の時給は1万円となる、1日3時間365日として考える(p38)

・ライフコースをどのように考えるかの分かれ目は、第一子の出産後にある(p43)

・女子はバカだと思われている方が東大の中でもうまくいく気がする(p65)

・東大女子と結婚した男性が家事をして共働きを継続できれば、生涯世帯収入は3億円増える(p78)

・男性の成功は本人の実力によるものと認められやすいが、女性の成功はそうとは認められにくい傾向がある(p124)

・キャリアを続けたいという思いがあるなら、結婚を決める時点でその先の人生設計をパートナーと話し合い、合意する必要がある(p154)

・いままでは、キャリアをスローダウンする役割を主に女性が引き受けることで、この社会は回っていた、これからは男性もその役割を担うべきである、そうすることで女性の活躍が推進され、同時に男性の生き方も多様化する(p156)

2018年4月15日作成

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2018年04月15日

Posted by ブクログ

目新しかったもの
・東大の男女比
・ジェンダー論
・赤文字系ファッション、青文字系ファッション
・専業主婦に頼らないで社会を回す方法を考える
・偏差値の差に対する過敏症をなおす

個人的にジェンダー論の教授の話が興味深く、講義を受けてみたいと思った。

特にわたし自身が30代、40代の頃、組織も世の中も男性中心の社会であることを体感し、強いストレスになっていたことを思い出す。

専業主婦となった今は、そのようなストレスは無くなったけれど、時代の流れは専業主婦をなくす方向で進んでいっているようで、風当たりも強く感じている。

年齢を重ねた今、一筋縄ではいかないさまざまな事柄を、若い頃より大きな枠で考えることが増えてきたなと思っています。

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2024年09月10日

Posted by ブクログ

2021年ですら、東大入学者の女性の割合は20%だと知って驚愕。医学部はほぼ5割なので医学部の感覚だと30-40年くらい前の世界だなぁと。

家事や、育児と仕事とのジレンマの内容については世間はまだこんなことでジタバタしてたのかと正直思ってしまいました。コレはまだまだ大変だぞ、と。医療界はまた別の問題がありますけどね…。

しかしながら、労働人口は減少の一途で四の五の言ってられない状況に追い込まれることは確実で、男女ともに学力の他に、生活能力を身につけることと、ケア労働を軽視しないこと。ケア労働(育児と介護)を外注するにせよ、分担するにせよリスペクトの気持ちを持つことが大事だと言うことなのかなと思いました。

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2021年08月22日

Posted by ブクログ

「男の子なのに東大」と言われたことのない東大男子が、「女の子なのに東大」と言われてきた東大女子に出会ってびっくりするという話があったが、覆いにびっくりして欲しいものだと思う。
女の子は「最高のもの」「最高の地位」を望んではならないという空気が日本にあることに自覚的な若者が増えるのはいいこと。
次世代を育てる人に読んでほしい。
(もちろん、社会の構成者である誰が読んでも無駄ではないです)

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2021年02月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

東大女子の卒業後

就職、結婚、子育て

男の方が学歴が高くなきゃいけないという
プライド
女は子供ができたら仕事を辞めなきゃいけないという
先入観と葛藤

今の男女平等は女が男に合わせてる
だけど、男が女に合わせるべき。

東大に来たのは将来の選択肢を増やすためだが、
それまでの頑張りを考えると
その選択肢の中で他の人には選べないものを
選びたくなる。

が、専業主婦(主夫)よりも働く方が偉いとかは無い。

育児と仕事、どちらも人生にとって大切なこと。

夫婦でお互いに支え合い、
お互いがどうすれば物事が上手くいくかを考える。
逆算して考える。
どちらかが育児休暇をとっている間
どちらかは働ける。

また、お金があればベビーシッターや家政婦(夫)を雇って
効率的に生きれる。


東大を頂点にした
偏差値のピラミッド

働き方改革と大学入試改革

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2020年12月29日

Posted by ブクログ

東大女子自体はややこしい存在のようだが、それを切り口として、男女の「働き方」「家事分担」のありかたに切り込んだ一冊になっている。「東大女子って女っ気がなくて・・・」という論調の本ではないので、これから読むかたはお気を付けください。

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2018年05月31日

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