【感想・ネタバレ】シャーロック・ホームズの蒐集のレビュー

あらすじ

1927年、アーサー・コナン・ドイルによる最後のシャーロック・ホームズ活躍譚「〈ショスコム・オールド・プレース〉」が《ストランド・マガジン》に掲載されて以降も、この不滅の人気を誇る名探偵の贋作は、数多くの作家によって書かれてきた。本書はそれらに連なる至高の傑作である。大英帝国を縦横無尽に駆け巡るシャーロック・ホームズと相棒ワトスン博士の〈語られざる事件〉を、世界有数のホームズ・ファンが愛と敬意を込めて作品化した、最高水準のパスティーシュ。「ノーフォークの人狼卿の事件」「詮索好きな老婦人の事件」など6編を収録。【収録作】「遅刻しがちな荷馬車の事件」「結ばれた黄色いスカーフの事件」「ノーフォークの人狼卿の事件」「詮索好きな老婦人の事件」「憂慮する令嬢の事件」「曲馬団の醜聞の事件」/単行本版あとがき/単行本版解説=日暮雅通

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Posted by ブクログ

私はコナン・ドイルが書いたホームズ物語(正典:短編56、長編4)が大好きで、正典中にある「語られざる事件」(注2)をテーマにしたオーソドックス(正統派)・パスティーシュ(注1)も大好きです。
そして、本書は良くできた「語られざる事件」のオーソドックス・パスティーシュであり、英訳して逆輸出しても面白いのではないでしょうか。
もちろん、「ドイルならこういうテイストでは書かないだろうなぁ。」と思われる作品もありましたが、そこに作者の北原さんらしさが表れていて、むしろそれが面白かったです。
意外だったのは、収録作品6編中少なくとも4編は他の作家も手がけた「語られざる事件」でありました。そもそも執筆難易度が高いオーソドックス・パスティーシュ。さらにその上に他の作家の作品とも比較されうるわけですが、例えば、某「語られざる事件」についは短編の名手エドワード・D・ホックも書いていますが(『エドワード・D・ホックのシャーロック・ホームズ・ストーリーズ』(原書房)に収載)、個人的には本書の方が好みでした。
このように他のパスティーシュ(注2)とも比較できる楽しみもあり、もちろん、その「語られざる事件」に触れている正典を読み直す楽しみもあるので、この世界に興味を持たれた方はまず本書から入ってみるのもいいでしょう。

(注1)オーソドックス(正統派)・パスティーシュとは、本書解説にもあるとおり、「正典と同じテイストの贋作」を目指した作品で、特に「書き手がコナン・ドイルの文体やキャラクター、設定、構成を正確に再現したため、正典と区別のつかないところまで達したもの」。
(注2)「語られざる事件」とは、「正典中でワトスンが事件名や事件があったことを書いてはいるが、その中身に触れていない事件のこと」。短編集で有名なものに、(北原さんがお手本にした)ドイルの息子アドリアン・コナン・ドイルとジョン・ディクスン・カーの共著『シャーロック・ホームズの功績』(ハヤカワ・ミステリ)があり、また、『シャーロック・ホームズの秘密ファイル』(創元推理文庫)を始めとするジューン・トムスンの諸作も代表的な「語られざる事件」のシリーズです。

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2018年04月08日

Posted by ブクログ

小学生の頃からシャーロック・ホームズは大好きで、当時読んでいた全集を今も保管している。
いわゆるパスティーシュもいくつか読んだことはあるが、日本人の手によるものは未読だったので、シャーロキアンとして知られている著者の今作を手に取ってみた次第。

内容は良くも悪くも"正典"に忠実だなあという印象。
ミステリーとしてはいささかアンフェアな設定や、ウソやん! とツッコみたくなるご都合主義等も含めて。
オリジナルのファンとしては違和感なく、楽しく読むことができた。

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2018年06月07日

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