あらすじ
裁かれるのも「人」なら、裁くのも「人」のはず。しかし、私たちにとって裁判と裁判官はいまだ遠い存在だ。有罪率99%といわれる日本の刑事裁判で、20件以上の無罪判決を言い渡した元東京高裁判事が、思わず笑いを誘う法廷での一コマもまじえながら、裁判員制度、冤罪、死刑などをめぐり、裁判官の知られざる仕事と胸のうちを綴る。
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Posted by ブクログ
元東京高裁判事が雑誌に連載した法廷エッセーを集めたもの。裁判官や検事は普通、一般人との交流も制限されているのでなかなかナマの声を聞く機会もないが、裁判官にも迷いや悩みがあることがよく分かる。
・裁判の事実認定が難しいのは、真実は神のみぞではなく、目の前の被告人が一番よく知っているというところにある
・人を裁くというのはどういうことなのか、間違った判断を下したらどうすべきなのか。こういった難問をいくら考えても正解は得られないが、正解を得られない問題を考え抜くこと自体が重要である。一種の謙虚さが生まれるからだ。自分は人を裁く資格などないのかもしれないと自覚することで自分の判断が専横になることを防ぐことができる
・死刑の場合は主文を最後に読む。最初に読んで被告人が失神でもしてしまうと言い渡し手続きが未完になってしまうからだ。他にも判決文は「被告人を」で始まると有罪だが、「被告人は無罪。」というように「は」になると無罪。判決文では「被告人を無罪にする」という言い方はしない