あらすじ
いま話題の乱歩賞作家の原点が詰まった、著者初の短編小説。「純文学ミステリー」の旗手が繰り出す、人間心理を鋭くえぐる全10話。名越康文氏絶賛!
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Posted by ブクログ
2018/3/24
短編集。
短編集は感想書きにくいよね。
もやっと終わるのが特徴なの?
解説の名越さんが言ってた。
最後の能の話は結局凡人が天才を殺してしまったの残念。
もったいない。
芸事に囚われて狂っていく話は美しいけど、このタイプはどうだろう。
読んだばっかりのときは、凡人が自分の居場所を失うことを恐れて天才を殺すとか身の程知らずめとちょっと怒りを覚えたけど、よくよく考えるとこの人も取り憑かれてるよな。
才能はなくても夢中になる人には惹かれるよね。
Posted by ブクログ
人の心情をうまく描く印象のある点で、数多のミステリ作家の中では頭一つ以上抜きん出ていると個人的に感じている作家の短編集。
けれど、最初の作品にして表題作の「黒い鶴」ではその片鱗が見られない、トリック重視な印象の苦手なタイプの作品。ホントに同じ作者?と疑問に思うほど作風が違っていて驚きます。
ただ、それを除けば概ね期待通りの内容で、個人的には5番目に掲載された「魚の時間」の侘しさと切なさにノックアウト。それ以降は完全に魔法にかかったように読みふけりました。
一番楽しんで読んだのは「白砂」のスピンオフにあたる「京都猫カフェ推理日記」。「白砂」の主人公父娘との再開がこんなに楽しめるとは… 人物描写の巧みさがなせる技でしょうか。予想はしていましたがそれを超える面白さで、こうしたスピンオフをドンドン描いてほしいと思った次第。