あらすじ
時は、徳川が築いた太平の世。江戸一番の遊郭・吉原に、文字通り「君臨」している最高級の遊女がいた。ある日、彼女が自身の「禿」に選んだのは、琥珀色の瞳を持つ少女だった。そこで少女が巻き込まれて行く「禿」と「遊女」に纏わる無限ループ――。
「遊女」と「禿」が交代で語る、遊女と禿と客の人間模様とそこに絡み付く一筋の影――あなたは、作者の仕掛けたトリックに気が付くだろうか? 時代小説の仮面をかぶったミステリ、登場。
感情タグBEST3
目新しさはあるけど違和感多
時代小説というよりは江戸時代を舞台にしたラノベという印象。
吉原の遊女とその禿の物語なのに、この作品の舞台はこれまでに読んだ時代小説と異なる雰囲気の『吉原』です。郭言葉で話すシーンがない、三好の遊女としての格、吉原内に夜鷹など時代小説を読みなれた方は様々な点に違和感を感じるのではないでしょうか。
遊女と禿が交互に独白するスタイルで物語が進んでいくところは新鮮に感じましたし、郭抜けの相手が同性というのも目新しく今時感があります。
が、残念ながら物語は今一つ盛り上がりにかける印象です。郭ものからイメージしがちなドロドロの女同士の争い的な描写もありません。淡々と進みすぎて、きよと三好のどちらにも思い入れるほどのエピソードがなく、物語の世界に入り込めませんでした。