あらすじ
それはたった二人だけのチームから始まった! JR東日本のIC乗車券カード「Suica」は、会社はおろか鉄道インフラという枠も超え、生活インフラの変革までもたらした。最初は誰からも期待されていなかったこのプロジェクトは、いかにして成功していったのか。研究開発の頓挫、試験の大失敗、気の遠くなるような作業、重大事故……限りなく無謀な挑戦の裏にはいつも、“理想の一念”があった。ますます進化するSuicaを創成期から支えてきた著者が明かす、激闘の記録。
椎橋章夫(しいばしあきお)
1953年、埼玉県生まれ。1976年、埼玉大学工学部機械工学科卒業。同年、日本国有鉄道入社。1987年、民営・分割化により東日本旅客鉄道入社。本社設備部旅客設備課長、同鉄道事業本部Suicaシステム推進プロジェクト担当部長、同IT・Suica事業本部副本部長などを歴任、Suicaプロジェクトの指揮を執る。2012年、JR東日本メカトロニクス(株)(JREM)入社。現在、同社代表取締役社長。2006年、東京工業大学大学院(博士課程)修了。工学博士。主な著書に『自動改札のひみつ』(成山堂書店)、『Suicaが世界を変える JR東日本が起こす生活革命』(東京新聞出版局)がある。
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Posted by ブクログ
SUICA開発物語
文章はこなれておらず、しかも前半部分にはやたらと「詳しくは後で述べるが」というような記載が多く、読みやすいとはいえないけれど、著者の粘り強い人柄が伺え、好感のもてる書きぶり
100戦100勝もしくは100分をよしとする社風の中、前人未到の巨大システムの構築、よくやったなぁという感じ。
SUICAの技術的な内容はあまり書かれていないがシステムの概要はよく分かる。ユーザーインターフェースについても普段われわれが意識していないような細かい検討を重ねた結果、今の形があるということもよく分かる。
・磁気式カードは機械にカードを通すので時間がかかる。非接触式ICカードは当時、リードオンリーのもののみであった。データセンターと通信をする必要があり、これも処理速度の点で無理があるのではないかと考えられた
・バッテリーは内蔵させると厚みが1センチぐらいになってしまうため、これはせずに通信ごとに電波で電力を供給する
・「かざす」と言っている時は人によっては0.2秒ほどしか通信領域にカードを留めず、読み書きに必要な時間が確保できなかったが、「タッチ・アンド・ゴー」と言うようにしてからはパネルに向かってV字型の動きになり時間が稼げるようになった
・SUICAカードは20件のデータを持っている。機器の端末は3日分のデータを持ち、センターサーバーは26週分(それを超えた分はデープにバックアップ)を持っている。各駅にもサーバーがあり、駅内の改札での情報は一旦、駅サーバーに貯められる。改札を通るたびに中央のサーバーにいくわけではない)
つまり、カードの不具合があっても20件分は復活できるし災害が起こっても三日間はネットワークなしで作動できる。
バスはネットにはつながっておらず、メモリーカード。運転手がバスを降りる時にこれをサーバーに転送している。