あらすじ
トップリーダー必読。今、昭和に学べ! 長年にわたって日本の鉄道経営の中枢にいて、それぞれの時代の舵取りをしてきた著者が、環境問題、エネルギー問題などで鉄道に対する新たな期待が高まっている現在、今後のあるべき鉄道の展開を視野に入れながら、あらためて振り返った昭和の鉄道史。明治・大正の前史から、戦前の興隆期、戦時下、戦後復興期、高度経済成長期、昭和40年代以降の転換期までの、それぞれの時代の実像を多彩な資料とともに解説する。
須田 寛(すだひろし)
昭和6年生まれ。29年3月京都大学法学部卒。同年4月日本国有鉄道入社、昭和62年4月東海旅客鉄道株式会社代表取締役社長、平成7年6月同社代表取締役会長、16年6月同相談役。主な著書に『産業観光』『新・観光資源論』『東海道新幹線50年』『新・産業観光論』(交通新聞社)など。
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Posted by ブクログ
昭和を中心とする時代(=国鉄があった時代)までの鉄道会社のサービスを時代ごとに分析した一冊。
本の冒頭でも書いているとおり、鉄道の技術史的な本は多いのですが、サービス・経営の変遷はあまり取り上げられない。それをまとめた本としては貴重。
主に国鉄の経営を営業面から取り上げている本なのですが、「対策が後手後手に回りやすい組織」の例としても興味深かった。特に、「戦後は運賃決定が法律(=決定者が議員)だが独立採算」という状態で、さまざまな対策が後回しになり、それがスト権ストなどの形で噴出した」という流れは、ある意味いまの多くの企業の現状でもあり、興味深かった。
ただ、状況変化に合わせた経営判断を適当なタイミングでできる経営者がいるか否かが、成功した私鉄との違いでもあったんだろうな、と。
大正期に整備された幹線・準幹線以外が、平成のこの世では微妙に要らない子扱いなのを見つつ、「100年を見抜くことって難しいな」と。「成功であれ失敗であれ鉄路は残る」鉄道の興味深さを再確認した一冊でした。