あらすじ
戦後日本が高度成長期にあった15年間、成績はパッとしなかったが、独特の存在感でファンを魅了した球団があった。その名は、400勝投手・金田正一を擁した「国鉄スワローズ」。本書は、エース金田正一を含む国鉄スワローズ15年間の歴史を軸に、日本プロ野球創成期、隆盛期のエピソードを、新たな取材成果とともに振り返る。巻末には、歴代監督、全登録選手、15年間の全スコアを掲載。
堤 哲(つつみ さとし)
東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。1964年毎日新聞社入社。編集委員、紙面審査委員長。社会部時代、都市対抗・選抜高校野球取材のキャップ。毎日新聞の草野球チーム「大東京竹橋野球団」名目オーナーで、正三塁手。東日印刷(株)監査役。野球文化學會会員。交通ペンクラブ事務局長。(財)日本ナショナルトラスト、(財)アジア刑政財団各評議員。「アジア刑政通信」編集長。
※電子書籍の仕様による紙版と異なる図版・表・写真の移動、本文中の参照指示の変更、ほか一部修正・訂正を行っている箇所があります。予めご了承ください。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
国鉄がなぜ「スワローズ」というチームを持つことができたのか,あるいは国鉄と野球(プロアマ問わず)との深くて長い関係性について解明した一冊。巻末には,国鉄が球団を設置するときの要項案や,国鉄スワローズ登録選手・監督・勝敗の一覧が付いており,一次史料として見ても興味深い。スワローズファンは必読。つば九郎は,もう読んだのかな?
140頁の「当時金田の年俸は900万円だから,10年選手のボーナスは1800円(ママ――評者註)プラス1080万円の計2880万円が上限となる」は,「1800万円プラス180万円の計1980万円」の誤記だと思われる。なぜなら,「ボーナスは年俸の2倍,プラスアルファの参稼報酬は年俸の20パーセントまで」と前述されているからである。であるならば,阪神・田宮謙次郎の大毎オリオンズへの移籍金3000万円が,いかに高額だったか,より明確になるだろう。
Posted by ブクログ
興味深い内容。なぜ国鉄という公共企業体が読売新聞などが引っ張るプロ野球に参入したのか前から疑問だったが、これはその歴史が非常によくわかった。
交通新聞社の新書なので、鉄道業界からの視点があるというのが他にはできないことだと思う。読んで損はなかった。
Posted by ブクログ
この本、滅茶苦茶面白い。国鉄スワローズは、今のヤクルトスワローズの前身。とても興味深い内容。初代監督が法政OB。金田正一は名古屋は享栄商業の出身。スワローズという名前に決まった経緯。などなど興味深い内容満載だ。
Posted by ブクログ
我らが東京ヤクルトスワローズの御先祖様である国鉄スワローズのお話。国鉄はカネヤン頼みの単なる弱小球団ではなくて、国鉄対読売はセ・リーグの名物カードだったとか、知らなかった話が色々。
国鉄が崩壊したから読売に移籍したのであって、その逆ではない、ということで、カネヤン観がちょっと変わった。
国鉄にいたから王・長島と真剣勝負ができたわけだし、読売移籍後はよそ者として辛い目にもあった(つくづく読売は嫌なチームだ)という話からしても、真相はそんな感じなのだろう。
それにしても。
いたずらにスター選手を追わず、温厚な監督のもとチームワークで戦い、清貧で、家族的温かみがあって、アンチ巨人で、そしてなにより弱い。でも、ファンに愛される。
我らがスワローズは昔からそんなチームだったのだ。
もう一つのテーマであるノンプロ国鉄野球の話も意外と面白かった。都市対抗野球ネタがやたらと多いのは、著者が元毎日記者ということで、ご愛嬌か。
JRがプロチームを買収する可能性があったとか、さらっと、ものすごいことも書いてある。